『交際費』の範囲というものは、どうなっているのだろうか。『交際』というのは、実に広い範囲が含まれる言葉であり、正直、一つ一つルールブックかなにかに記載してもらい、事細かく明確にしてもらいたいものだ。
あくまでも『社会通念上』に考えて常識の範囲内で、とか、漠然としていることが、交際費の乱用に繋がってしまってい一つの理由でもあるのだ。そこで、微妙なラインとされる問題に対して、今回は一つ一つ考えていくことにする。
例えば、接待時のお得意先のタクシー代はどうろうか。交通関係だから、『旅費交通費』ではないのだろうか。だが、この場合は『接待、得意先、社外の人』というキーワードがある以上、交際費ということになる。
同じ考え方で、取引先とのゴルフもそうだ。その場合、合間に食べる飲食も全て交際費の扱いになる。この辺りのことは、『接待交際』という考え方の範囲内として、想像にた易いわけだ。慶弔金や見舞金や手土産も全て、社外の人に対する費用は、交際費ということになる。だが、これが社内なら、福利厚生費となる。
では、社内の新年会や忘年会、決起会やパーティー、あるいは懇親会や親睦会等となるとどうなるだろうか。その場合は、全員参加であれば『福利厚生費』となり、全員ではなく、特定の人間が対象の場合は、いわゆる『社内交際費』扱いとなり、『交際費』という計上となるのが原則的な考え方である。またパーティーなら、創立記念パーティーとして 対外的で開催すれば『交際費』となり、会議室などで行う社内でのパーティは『福利厚生費』となる。
こうして考えると、だんだん『福利厚生費』と『交際費』の境目が見えて来ることになる。つまり、
- 社内=福利厚生費
- 社外=交際費
という考え方が原則としてあるわけだ。更に言うと、社内は社内でも、『全員が参加できず、特定の社員だけ』ということになると公平ではない為、福利厚生費として認められない、ということになる。そう考えると、社員旅行等でも同じ考え方となる。
社員旅行も、原則として『全員参加』が条件となるわけだが、それはつまり、
『福利厚生費が認められるのは、ある一定の範囲内で行動することが条件』
となっていることを示唆していて、その範囲を超えてしまうものは認められず、例えば『交際費』扱いとなる。その一定の範囲というのは、『全員が平等に受けられる公明正大な道徳』であり、例えば社員旅行で言えば、『行き過ぎた豪華なホテルや遊興』がその範囲外で、そこまで行かない範囲の娯楽であれば、範囲内ということになる。
つまり、全員が受けられることが前提であり、度が過ぎた娯楽の為に使わないのであれば、そこにあるのは公明正大な規範。まるで、法律や人としての道徳を守ろうという誠実な人の心が垣間見えるわけで、そういう人には福利厚生費を使用することは認められるが、逆に、その範囲を超えてしまうという人は、『福利厚生』という便利な恩恵を得ることはできないのである。
そう考えると、交際費というのは、社外に関して言えば、大体のことに当てはまり、社内に関して言えば、福利厚生として認められない欠落した要素の穴埋め材料である。その材料には限りがあるから、注意が必要だ。