会社が社員に車を購入し、それを支給することは可能だろうか。
答えは、Yesである。
税法上としては、可能なのだ。まず、会社の経営者に許されるのに、社員には許されないというのは、原則的にあり得ない考え方である。福利厚生や社員旅行等も同じ考え方で、『社員全員が同じ条件で受けられるようになっている』ことが大前提なのである。
むしろ厳密には、役員や社長という上層部は、そうした権利が『認められない』というケースさえあるぐらいだ。それだけ普段高給を貰っているということや、その会社の責任を最も背負っている人間だということで、厳しい目で見られるのである。
ただしもちろん全ての経費の考え方と同じで、『事業に関連することの証明』が出来なければならない。例えば不動産屋なら、お客を案内する為に車が必要になるのが普通なので、十分認められる条件が揃っている。だが、そうした条件とは全く縁がない人間が車を買うということになると、
『あなたの仕事の一体どこで車を使う機会があるんだ。』
として、目を付けられることがある。
基本的に、少額の場合ならわざわざ粒立てて話をすることはないが、賄賂でも裏金でも不正会計でも脱税でも、金額が大きければ大きいほど、社会通念上に考えて、それを野放しにすることはできない。この世の中から全ての犯罪をなくすことは出来ないが、大きな犯罪と小さな犯罪があったとき、もちろん小さな犯罪も立派な犯罪だが、しかし、大きな犯罪をたくさん取り締まった方が、その波及効果で小さな犯罪も減っていく、という効果が認められる以上、やはり、目を付けられるのは大きな犯罪。
組織で言えば、元締めや、大元の人間が一番マークされるわけである。従って、車という大きな買い物の際に動くお金は、消しゴムを買うのとはちょっとわけが違ってくるのである。
また、車を経費で落とす際に気を付けたいのは、その車を『会社名義であり会社所有にする』ということである。そうでないならそれは個人への支給と見られてもおかしくはなく、その分の税金がかかってしまうことにもなる。
逆に言えば、その従業員のボーナスの代わりに車を買えば、その分社会保険料の節税にもなり、消費税の課税仕入に該当するので消費税の節税にもなる。同額のボーナスを支給するよりも15%以上経費が少なくて済む。社員も所得税と社会保険料を引かれないで済むわけだ。