白紙の領収書を用意する際に最も懸念されることと言えば、誰もが真っ先に思い浮かぶはずだが、『経費の水増し』である。もう、『白紙の領収書』という考え方を知っている時点で、その事実を知らないというのはかなり苦しい言い訳となるわけだ。
かつてバブル時代には、『領収書に金額書かないで』、などと主張する人々が大勢いた。それはなぜかというと、その後自分で、実際に支払った額よりも多めの金額を書き込んで、会社で清算して差額を自分のものにしたいわけである。だが、実はこれは完全に犯罪なのだ。数千円という少額なら大騒ぎされる確率は低いが、これが何十万、何百万になれば、業務上横領罪。あるいは脱税行為として粒立てられ、大きな騒ぎとなる。
また、白紙や空欄とした領収書を受け取り側で記入するというのは改ざん訂正の恐れもあり、文書偽造に該当する恐れもあるのだ。税務調査が入れば、筆跡鑑定が行われるのは当然なので、厳重に注意するべきである。ちなみに刑法では、
- 詐欺罪は10年以下の懲役
- 背任罪は5年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 業務上横領罪は10年以下の懲役
に処されるので、覚えておいた方が良い。
領収書は、
- 日時
- 価額
- 取引内容
- 取引場所
が記載されていることが最低の条件である。これらが満たされていれば領収書として認められるわけだ。だが、但し書きが必要であればもらう側からあらかじめ要求した方がいい。但し書きがなくても支払い内容は飲食代であることは考えればわかるのだが、たとえ正しい金額を書いたとしても手書きの領収書の場合は税務調査でチェックされる可能性がある。
従って、自分で領収書に手書きで何かを書き加えるという発想は、最初から『無い』と思った方が賢明である。