キャバクラを経費で落とすのは簡単なことである。普通の飲食店と同じく、交際費でいい。そもそも、『キャバクラ』というキーワードにこだわりすぎである。その店が、例えば『クラブ』や『スナック』という名称をうたっていたらどうだろうか。
『バー』と『ガールズバー』はどうだ。『居酒屋』は?『焼き鳥屋』は?どちらにせよ、そこで『接待交際』が行われるのであれば、どんなところでも経費として認められることになる。
だがそもそも、『接待交際』の意味を理解していないのであれば、本末転倒である。例えば、風俗で女性から性的サービスを受ける、ということを交際費で落とそうというのなら、その行為の一体どこが『接待交際』なのか、ということになるわけだから、交際費で落ちることはない。では、
『いや、その風俗代は、お客さんの為に使ったんだよ。つまり客を接待するために、風俗を紹介したんだ。肉体接待だね。』
とした場合、その主張は通ることになるだろうか。
いや、それが通るなら武器や麻薬、インサイダー取引や人身売買、賄賂に裏金に『チョコレートを2万個買う』という、明らかに一線を越えた対応も、『接待』として認めなければならない。しかし、それが認められることはない。なぜなら、『犯罪』だからであり、チョコレートに関しては、常軌を逸しているからである。
だが、『常軌を逸している』というのはそもそも人間それぞれの独自の解釈にも聞こえる。風俗やキャバクラは、女性からすればすべて常軌を逸していると言ってもいいわけだ。そんな中、何が認められ、何が認められないか、という規範意識の迷いが、このようなテーマの疑問を人々の頭の中に浮上させるわけである。
そんな中、例えば『ライター』という職業に就いている人、あるいは、映画俳優で、今度キャバクラ嬢の役をやる人、あるいは、映画やドラマ関係者で、キャバクラを舞台にした作品を手掛けようという人、または、同じキャバクラを営もうという人が、その視察として他店に見学、あるいは店を体験しに来るということがあるが、そういう事情があるなら、キャバクラに行き、その料金を経費で落とすということは、別に常軌を逸しているようには思えない。
むしろ、それが仕事として認められている以上、これらの仕事を差別して考えるのは、無知である。これなら前述した『肉体接待』という、倫理を完全に無視した主張とは一線を画す、真っ当な言い分となる。
また、そもそもキャバクラ=悪という図式を想像している人間も、無知の烙印を押させることになる。そりゃあ確かに暴力団がらみのぼったくりな悪質業者もいるだろうが、中には健全で良質な店もある。それなのに、一辺倒にこの業界を切り捨てるような発想を持つことは、いささか思慮浅いということになる。どんな業界にも悪い話はあるだろう。世界的な大企業が不正会計をしていることだってある。
考え方として、もしそのキャバクラで、会議の話よりも女生と盛り上がっている時間の方が多かったと思うのであれば、経費として計上するのは、全体の50%程度にしておけばいい。あくまでも、仕事としてその場所に行き、そこでお金がかからないならよかったが、かかってしまった。では、そのお金はどこから出せばいいのかというと、普通に考えて、仕事上必要な出費なのであれば、経費として計上できるのである。
もちろん、会社の経費で落とす為には会社の事業に関連する経費でなければならない。しかし逆にいえばそれは、会社の業務に関連するものであればどんな支出でも会社の経費に計上できる、ということでもあるわけだ。当然キャバクラ代もその範囲内だ。何の関連性もないように見えるキャバクラも、やり方によっては関連付けられるはずだ。例えば、
- 接待の場として
- 商品開発のため
- 研修のため
一つ目の接待はそのままの意味。取引先などの接待に利用する。二つ目はマーケティングなどを含めて商品開発の調査のために利用する。三つめは社員のスキルアップやビジネス知識習得のために利用する。
そのどれもが、普通に考えれば当たり前に経費計上できる条件となっている。それが、なぜ『キャバクラ、風俗』になると出来ないと思うのか。『風俗雑誌のライター』は、一体何の仕事をしているというのか。この辺りのことを考えたら、キャバクラや風俗代を経費で落とす、落とさないということについて、知識強化されるはずである。
まとめると、つまりこういうことだ。
警察に、
『僕たちは、キャバクラでお客さんを接待をしていただけなのに、何が間違っているというんですか?接待交際費で落とせますよね?』
と言ったとき、警察が、
『何言ってんだお前。そりゃあ落とせばいいだろう。だけどお前、俺たちが来たのはお前がここで麻薬の密売をしていたからだぞ?逮捕する。』
と言うのであれば、ここで勉強したことは何の意味もないものになる。