株の飛びつき買いをする素人は『魚』。それを釣るのは『人間』
人は依存症になる。ギャンブルや酒や麻薬で依存症になる。それはどうしてだろうか。自分の脳内に、『ドーパミン』という快楽物質が放出されるからだ。ドーパミン、ノルアドレナリン、β-エンドルフィン、セロトニン等、様々な報酬系物質があるが、それらの物質が出ている間は、人は多幸感に包まれ、快感を覚える。例えばギャンブルで言うならば、賭けに大勝ちをすると脳内は快楽に包まれ、人は自分に酔いしれる。そしてその快感を得る為に、また自分の資金をつぎ込む。時には、借金をしてまで資金をつぎ込む。
『恋』も同じだ。よく、『恋は盲目』と言うだろう。それもそのはず、西洋史上最も有名な格言家、リヒテンブルグはこう言っている。
それを裏打ちするかのように、権威ある脳科学者が非常に興味深いことを言うのだ。
『ヘロインをやっているときと、恋をしているときの脳の状態が、瓜二つなんです。』
実は、『恋は盲目』という言葉は、本当なのである。
恋をするとき、脳内の『テグメンタ』という部分が活性化していて、実は、これがヘロインを使用しているときの脳の状態と酷似しているというのだ。
そう考えた時、恋に麻薬にギャンブルで、人が『血迷った』行動を取り、いつの間にか超えてはならない一線を越えてしまう人間心理が、浮き彫りになるわけである。株の『飛びつき買い』をしてはならない。勢いよく上昇する株にいっせいに飛びつく投資家をみると、まるで『魚』だ。魚を釣る際、おびき寄せる為に大量の撒き餌をするが、蒔いたエサの匂いや味に連れてたくさんの魚が集まってきたところで、釣り人に竿をいれて釣られてしまうことになる。
自分が『冷静沈着で賢い投資家』だと自負するなら、その状態に陥る自分を軽蔑視出来ていないとつじつまが合わない。急騰しだした株に対し、(急げ!)とばかりに高値で飛びついた投資家を『提灯、提灯筋』というが、文字通り、『提灯アンコウ』は魚だ。そしてそれを釣るのは、人間だ。人間こそは、この地球で最も脳が発達した生物、食物連鎖の頂点にいる動物。だとしたら当然、株の世界で『勝者』の称号を得られるのは、『魚』ではない。