年収の何割の借金で自己破産ができる?
『借金がいくらなら自己破産ができるか』という質問は間違いです。『借金がいくらあるかではなく、本人が支払い不能に陥っていることが条件』ということになります。
しかし、『支払い不能』のある程度の目安はあります。それは例えば、『借金が年収の3割(30%)を超える場合』などと考えられています。
自己破産をするのに『年収の何割の借金があるか』とか、そういう決まりはないね!大体のことを想像することはできるけど!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
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『借金がいくらなら自己破産ができるか』という質問は間違い
『借金がいくらなら自己破産ができるか』という質問があった場合は、その質問にこう答えることになります。
『借金がいくらあるかではなく、本人が
に陥っていることが条件』
ということになります。それでは法律を見てみましょう。
破産法第15条にはこうあります。
債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。※破産法(第十五条)
先ほど言った支払い不能という言葉が出てきました。更にその言葉の意味を法律で見てみましょう。
破産法第2条11項にはこうあります。(要点のみ抜粋)
この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。※破産法(第二条 十一)
つまり、『借金がいくらあるか』ではなく、『支払い不能かどうか』がポイントになるということですね。
支払い不能に陥っていなければ、自己破産は認められません。例えば、『1億円の借金』があったとします。普通、それくらいの借金があったら、自己破産をしてもおかしくはありません。
自己破産をする為に必要なのは謝金の額ではなく、『支払不能かどうか』だね!だからもし1億円の借金があっても支払不能になっていなければ、自己破産はできないよ!
ぴよぴよ(次で親分が更に説明するっす)!
『普通』の定義は人によって違う
しかし、ここで出てきた『普通』という言葉は、何の信憑性もありません。資産家の子供として生まれた人間は、『家にシェフが来るのが普通』なのです。そう考えると、この『1億円の借金は自己破産の対象で間違いない』という考え方は、平等な考え方ではありません。
ある人には100万円でも自己破産をする必要があるでしょうし、ある人は1億円あっても資産の何かを売ればそれで解決する場合があります。従って、
借金がいくらなら自己破産ができるか?
という質問はあまり的を射ないものとなります。
アインシュタインは言いました。
『普通』というのはあまり信憑性のない概念ですね。
概念の定義がそれぞれで相対的である以上、絶対的なものを用意しなければ統制が取れない。だから『法律』という絶対的なものがあるわけだね!それなら曖昧で相対的な解釈が統一されるから!
ぴよぴよ(親分、ちょっと何言ってるかわかんないっす)!
『支払い不能』のある程度の目安はある
それでは具体的に考えていきましょう。年収の何割の借金の支払いがあれば、自己破産をした方がいいという計算になるでしょうか。
前述した『資産家』は、1億円あっても資産を売れば借金が解決します。また、給料や報酬も多く貰っているかもしれません。不動産、株、様々な部分から報酬を得ていて、それであっという間に1億円のお金を用意できるかもしれません。しかしそういうお金持ちはほとんどいませんので、ここでは考えないようにします。
一般の人で考えてみましょう。
がいくつかあります。
- 年収の3割(30%)を超える
- 手取り年収から居住費を引いて、3で割った金額が借金の年間返済額を超える
- 月額手取り給与の約20倍の借金を負っている
- 負債総額が年収の1.5~2倍以上
年収の3割(30%)を超える
一般の人で考えてみましょう。たとえば、年収300万円の人がいたとします。
- 25万円×12か月=300万円
ですね。月給が25万円となります。
- 300万円÷3=100万円
つまり、年間に100万円の支払いがある状態にある人ですね。それを毎月で計算してみましょう。
- 100万円÷12カ月=83,333円
8.3万円です。これは大変ですね。25万円が手取りの人が、毎月8.3万円も借金の返済をするわけです。その他の支払いをざっと計算しましょう。
- 家賃=8万円
- 水道光熱費=3万円
- 通信費=1万円
- 食費=5万円
だとした場合、これで17万円です。そして、
- 17万+8.3万=25.3万円
です。そこから更に、所得税等の税金が引かれます。これはもう支払うことが出来ません。
- 美容院
- 映画
- 書籍
- ゲーム
- 誕生会
の料金はさることながら、
- 交通費
- 洋服代
- 医療費
- 交際費
そういった支払いは当然一切できません。怪我でもしたら大変です。
こういう計算をすると、おおよそ年収の3割ほどの支払いがある人は、自己破産をした方がよく、またそれが認められやすいということになります。当然、これはボーダーラインですから、4割、5割、6割と増えるにつれて、更に『支払い不能』と判断される可能性が高くなるわけですね。
手取り年収から居住費を引いて、3で割った金額が借金の年間返済額を超える
こういう計算方法もあります。例えば前述した例で考えた場合、
- 年収=300万円
- 居住費=96万円(8万円×12ヵ月)
- 300万ー96万=204万円
- 204万÷3=68万円
この68万円が、借金の年間支払い額を超える場合は、自己破産をした方がいいということですね。毎月で計算してみましょう。
- 68万÷12カ月=5,7万円
です。毎月5.7万円の支払いがある人ということですね。この場合、上の計算から居住費を引いて計算します。
- 水道光熱費=3万円
- 通信費=1万円
- 食費=5万円
こうなると、支払いは9万円になります。そして支払いを足します。
- 9万+5.7万=14.7万
ということになります。まあどちらにせよここから居住費の8万円を足して、
- 14.7万+8万=22.7万円
となります。そこから更に所得税等の税金や、イレギュラーな出費を支払うわけです。25万円が手取りの人にとってこの金額は、かなり痛いですね。
月額手取り給与の約20倍の借金を負っている
同じように考えていきましょう。
- 25万円×20倍=500万円
です。それをどれだけの期間で返していくかによって違いますが、クレジットカードのローンが長くて2年、個人再生で分割返済することを考えると3年、中には5年で分割できるという話もありますが、ここは平均して、『3年』ということにしましょう。実際には、3年で分割返済できないケースもあるほどです。
- 500万÷3=166万円
です。そして、
- 166万÷12カ月=138,888円
です。およそ14万円ですね。毎月14万円を支払うことになるわけです。これはもう計算する必要はないですね。完全に『支払い不能』です。もっと言えば、『10倍』でもきついですよね。その半分で計算します。
- 14万÷2=7万円
毎月7万円です。先ほど計算した通り、5.7万円でもきつかったわけですから、これでもかなりきつい支払いです。
負債総額が年収の1.5~2倍以上
最後に、この考え方で計算しましょう。
- 300万×1.5=450万円
- 300万×2=600万円
先ほど、500万円で計算しました。それで毎月14万円の支払いでした。その後に、半分の10倍、つまり250万円で計算したら、毎月7万円の支払いでした。これでもきついとわかりました。
ですから、この450万円、600万円も同じように厳しいですね。
- 450万÷3=150万円
- 600万÷3=200万円
です。そして、
- 150万÷12カ月=125,000円
- 200万÷12カ月=166,666円
です。毎月12.5万と、16.6万ですね。7万円が厳しいと言っているのですから、これはもっと無理です。
つまり、
- 年収の3割(30%)を超える
- 手取り年収から居住費を引いて、3で割った金額が借金の年間返済額を超える
- 月額手取り給与の約20倍の借金を負っている
- 負債総額が年収の1.5~2倍以上
このどれで考えても、計算をすると確かにかなり無理のある借金を負っていることがわかります。ということで、
なのではないか、という計算がされれているわけですね。
ですが実際にはこういう基準があるわけではありません。ケースバイケースですからね。裁判所が公正に判断することになります。過去には、60万円の借金しかなくても『返済不能』だと判断されたケースもあるので、あくまでもここでの計算は推測ということになりますね。
実際にこういう基準があるわけじゃないから、それは覚えておいてね!あくまでも計算してみて、確かにこれならつじつまが合い、妥当である、という判断の下、このような基準を推測しているってこと!
ぴよぴよ(なるへそ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!