自己破産の管財事件と異時廃止って何?
管財事件とは、破産者に『処分する財産』がある場合に行う手続きです。もし処分する財産が何もない場合は、同時廃止事件として手続きを行います。
管財事件で手続きをしたところ、『どうも手続きの費用が払えない』、あるいは、『処分する財産はない』と途中で判断された場合は、異時廃止事件として手続きを行います。
異時廃止になると管財事件ではなく、同時廃止事件と同じ内容での手続きを行います。
管財事件→異時廃止事件っていう流れだね!いきなり異時廃止ではなく、管財事件ができなくなると、途中で異時廃止として手続きを踏むんだね!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
Contents
同時廃止で自己破産をする場合
同時廃止で自己破産をする場合は費用が安く抑えられますので、自己破産をする時はこちらの種類で行いたい、という方も少なくありません。
また、同時廃止を行う時は手続きがとても簡単になり、自己破産による問題がすぐに解決するというメリットがあります。この場合には申し立てから2~3ヶ月程度で免責許可が決定しますので、多くの弁護士は同時廃止で自己破産の手続きを進めていこう、と考えることが多いです。
しかし、自己破産をしようと思っている人が不動産などを所有していたり自営業を行っているなど、高い財産価値が見込める際には、同時廃止によって自己破産することができないと判断されることがあります。
では、財産を持っている人は自己破産ができないのではないか、と思う人もいるでしょう。財産を持っていても自己破産をして借金を整理したい場合には、管財事件によって自己破産をすることができます。
同時廃止事件と管財事件があるってことだね!っていうか基本的には管財事件で解決するのが原則なんだ!だけど、本人にお金がない場合は、同時廃止事件になるんだね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
管財事件と異時廃止
異時廃止は、管財事件で破産手続きをしようとしたとき、結局それらにかかる費用の捻出や、相応な財産を持っていないことがわかったときにつく名前です。したがって、『大体の管財事件は異時廃止事件となって終わる』と表現することもできます。
不動産や自営業を行っていて高い財産価値が見込めると思われてしまう場合、普通はまず『管財事件』として手続きをします。そのため、財産を所有している不動産や自営業の場合でも、借金の額が大きい場合は自己破産をすることは十分に可能です。
しかし、管財事件の際には破産管財人が選任され調査を行わなければなりませんので、個人の管財事件となってしまう時には、手続きにかかる期間が長期にわたることもあります。同時廃止で手続きを行う場合は2~3ヶ月程度なのに対し、管財事件で自己破産をする場合には、手続きに半年~1年程度かかってしまうこともあるのです。
また、裁判所への予納金も同時廃止とは異なり、1~2万円程度の予納金で済む同時廃止とは違い、管財事件の場合は20~50万円の予納金が必要となります。これは裁判所から破産管財人が選任されることにより、調査にかかる費用だと考えると良いでしょう。
さらに、裁判所だけでなく自分を弁護してくれる弁護士にも費用が掛かってしまいますので、支払う額が多くなるというデメリットも考えられます。異時廃止とは、これらの手続きの際にかかる費用が払えないと途中で判明した場合につく名称ですね。
管財事件で手続きをすると、期間も費用も、負担が大きいんだ!だから途中で異時廃止になってくれれば都合がいいね!同時廃止事件でやった方が負担が軽いから!
ぴよぴよ(異時廃止と同時廃止は、ほぼ同じ感じっすね)!
管財事件によって処分される財産と処分されない財産がある
管財事件によって自己破産をする場合、財産のすべてを失ってしまうということではありません。自己破産をしようと考えている人に自動車や住宅、土地などの不動産がある場合、また現金や貯金、証券などがある際には、これらの財産が処分されてしまうでしょう。
しかし、自由財産を持つ者に対しては処分されない場合が多いです。自由財産とは、自己破産による手続き開始決定後に取得した財産や、新規で取得したもののことを指します。
さらに、食器棚や冷暖房器具などの家具や家電類、生活に必要な衣類や仕事に必要な物も処分されてしまうことはありません。自由財産に関しては、99万円以下の現金は預金があるとは言われません。
また、預貯金が20万円に満たない金額であったとしても、自由財産として扱われますので処分されることはないのですが、自己破産の手続きが開始される前に口座から引き出してしまうと自由財産として認められないこともあります。
ですので預貯金が20万円以下の場合は、手続きが完了するまで口座に入れておいた方が良いでしょう。次に、管財事件による自己破産の流れを見ていきます。
換価20万円以下の物と、99万円以下の現金が保有できるわけだ!それって結構あるよね!うちなんかほとんど物が残るよ!
ぴよぴよ(たしかに)!
管財事件による自己破産の手続きの流れとは?
まず、自己破産をしようと考える場合は、弁護士に相談するところから始まります。
弁護士に相談をする際には無料で行ってもらうことができ、自己破産をするべきなのか債務整理の手続きを行うのかを選べるようになっています。弁護士とも話し合い、自己破産を選択した場合はその判断が受任され、弁護士との委任契約を結びます。
委任契約を結ぶまでの期間は、相談をしてから1日という人も中にはいます。委任契約を結んだ後は、弁護士が債権者と言われるお金を出資している人に対し、弁護士が受任したことを通知します。
これにより月々の返済をする必要がなくなり、法律で守られている以上、借金の取り立てが行われることもありません。
これは管財事件に限らず、同時廃止事件でも同じだけどね!自己破産の手続きをするときの流れだね!
ぴよ(ふむ)!
場合によっては過払い金が戻ることもある
受任通知を債務者側に通知すると、弁護士は出資していた会社に対して取引した履歴を取り寄せることができるようになります。これにより過払い金が発生したとみなされる場合には、その過払い金が戻ってくることもあります。
これを債権調査と言い、債権調査が終わると自己破産に対する申し立ての準備が行われるようになります。
自己破産による申し立ての準備では、自己破産をしようとする本人が必要な書類を集めたり、原案作成をしなければなりません。弁護士側は、その書類に基づき裁判所に提出する破産申立書を作成してくれます。
破産申立書を作成ができた時点で、実際に裁判所に申し立てを行うのですが、大体受任通知をしてから裁判所に申し立てを行うまでに2~3ヶ月程度かかると思っておいた方が良いでしょう。
だからこれを全部ひとりでやるとなると、更に負担が大きいからね!弁護士に依頼してもこれだけの期間を要するんだからね!
ぴよぴよ(たしかに)!
自己破産を行えるか裁判所で検討される
裁判所に申し立てを行うと裁判所側で検討され、自己破産ができるのかできないのかを判断されます。裁判所では、自己破産を許可しないという免責不許可事由によって、自己破産が認められないケースもあります。
しかし、ギャンブルではなく生活に不自由で借金をしたということであれば、自己破産ができないということは少ないでしょう。
この段階で同時廃止による自己破産なのか、管財事件による自己破産なのかを決められます。管財事件となる場合は管財人が選任され、管財人との面接や業務の遂行、免責審尋などが行われ、裁判所で選任された管財人が許可すると認めた段階で自己破産をすることが確定します。
免責許可が決定してから免責が確定するまでは約1ヶ月程度かかり、その後自己破産が完了する、という手続きの流れになります。管財事件の場合は、管財人による面接や業務の遂行によって大体3ヶ月程度かかってしまいます。
そのため、同時廃止よりも免責許可が下りるのが遅くなり、長期間かかってしまうと考えられます。最短でも半年から長くて1年程度、自己破産による手続きや申し立て、管財人による業務などが必要になりますので、免責確定が出るまでに長期になってしまうケースが多いようです。
管財事件についてや自己破産による仕組み、財産として処分される物や手続きの流れなどしっかり把握しておく必要があります。
管財事件は、財産がある人でも破産申し立てを行える手段です。財産になる物を取得していても、場合によっては処分されないこともありますので自己破産をすると最初から決めつけるのではなく、弁護士の方と相談したり検討して、結果を求めた方が良いのではないかと思われます。
自己破産をすることは容易なことではありませんので、じっくりと今後を見据えた上で、最も良い判断は何なのかを導き出していきましょう。
管財事件の後に異時廃止になる。異時廃止は同時廃止事件と同じ内容。ただ、『管財事件の途中で同時廃止事件になると、名称が異時廃止になる』っていうことだね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!