会社のお金を横領しても、自己破産をすれば損害賠償金を免除できる?
できません。損害賠償金は自己破産の免責不許可事由に該当します。また、横領自体が犯罪ですので、法律が犯罪の片棒を担ぐようなことはしません。
横領したのに自己破産でその賠償金を帳消しにしちゃうようなことを認めると、この国は犯罪大国になっちゃうからね!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
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損害賠償金は自己破産の免責不許可事由に該当する
会社のお金を横領して、それが発覚して損害賠償金を命じられた場合、自己破産をすればその支払いを免除できるでしょうか。
答えは、Noです。
基本的にこの記事にあるような項目は自己破産の免責不許可事由となります。自己破産で他の借金は帳消しにできても、税金や損害賠償金は免除にならないんですね。
法律は犯罪の援護をしない
破産法第253条にはこうあります。
免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権。※破産法(第二百五十三条 三)
故意に起こした不法行為である横領は、当然免除の対象になりません。そんなことがまかり通ったら、法律が犯罪の援護をすることになりますからね。1億でも2億でも横領して、そのお金で遊ぶだけ遊んですっからかんにして、『返すお金がない』と言って自己破産をして、その支払いを免除してもらうなんてことが通用したら、大変ですよね。
そんなことがないように法律はがんじがらめにしています。
免責不許可事由について
まず、破産法第252条にはこうあります。
裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
四 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。※破産法(第二百五十二条 四)
これによって、その散財させた理由が『娯楽費、遊興費』などによるもの、あるいはギャンブル等によるものであれば、『著しく財産を減少させた』ということもあり、高い確率で自己破産の許可が下りません。
自己破産の許可がおりないということは、そのお金を自力で返していく人生を余儀なくされます。どれだけ長い時間をかけても返していくことになります。自己破産という『最後の救済措置』が使えないということは、とても重いことだということを理解しなければなりません。
詐欺破産罪について
また、破産法第265条にはこうあります。
破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者について破産手続開始の決定が確定したときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。
四 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為。※破産法(第二百六十五条 四)
『最初から自己破産するつもりでお金を借りる、あるいは横領する』という場合は、『詐欺破産罪』として判断され、最悪の場合は10年以下の懲役、1,000万円以下の罰金となります。
横領は犯罪である
そしてその前に、横領は犯罪ですからね。刑法第252、253条にはこうあります。
第二百五十二条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
つまり、最悪のケースで考えれば、
- 詐欺=10年
- 横領=10年
で、最高20年以下の懲役となり、これはほとんど『世間を驚かす殺人事件』をした人と同じくらいの罪の重さとなってしまいます。ですから原則として、『横領をしても自己破産をすれば返済しないで済む』という犯罪がまかり通らないようになっているわけですね。
横領は犯罪だからね!犯罪を援護するような法律が存在しちゃえば、この国はあっという間に闇に汚染されるよね!皆楽してお金を稼ぎたいんだから!そういう人以外もいるけど、そういう人がほとんどだよ!
ぴよぴよ(それが事実っすね)!
被害者と話し合えば問題は解決する場合もある
ただし、その横領した額と、対処方法によっては大きな問題にならずに済む場合があります。例えば、会社から50万円ほどのお金を横領したとして、自己破産をします。すると、自己破産をする際にそれが当然問題になり、刑事責任を突きつけられますが、もし債権者である会社と話し合いが行われていれば、自己破産の免責が下りる可能性があります。
それくらいの額だったら、何とかすれば和解できる可能性もありますからね。ただしその場合、いくら示談をするからといって、その債権者(会社)にだけ特別に支払うことになると、『偏頗弁済』扱いになり、自己破産の免責不許可事由となります。不公平ですからね。
偏頗弁済(へんぱべんさい)
特定の債権者にだけ返済をすること。えこひいきみたいなもの。
ですから違う形で弁償する約束をして、その横領についての問題を解決できれば、その他の借金だけが残ることになり、そこに問題がなければ自己破産の免責は下りる可能性があります。
また、夫が横領をした場合、配偶者である妻に直接的な影響はありません。損害賠償金を支払わなければならない義務も負いません。しかし、間接的な影響はあります。夫が損害賠償金を支払えずに財産を売ることになった場合や、自己破産をして財産を売ることになった場合、それを共有(シェア)する妻は、影響を受けますね。
警察には民事不介入があるね!民事事件には口出ししないのが原則だね!また、示談っていうけど、問題が起きても示談で済むケースがあったりして、事件に発展しないで解決する方法もあるね!
ぴよぴよ(うーむ、なるほど)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!