交通事故の加害者は、自己破産をすれば賠償責任(損害賠償・賠償保険金)を免除される?
物損事故であれば、修理代などの損害賠償債務は破産手続きによって免責されますが、人身事故で相手に怪我をさせた、あるいは死亡させてしまった場合なら免責されません。
自己破産によって大体の借金や支払いは免除されるけど、交通事故の場合はちょっと勝手が違ってくるよ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
物損事故か人身事故かによって話が変わってくる
自己破産を申請しようとする破産者が だった場合、その事故の修理代や賠償金、慰謝料等の費用は免除されるのでしょうか。
実際は、その事故がどういうものだったかによって内容が変わってきます。この場合の事故で考えられるのは以下の2つです。
- 物損事故
- 人身事故
物損事故は通常、『他人ではなく物に当たった事故』で、人身事故は、『人が大けが、あるいは死亡した事故』という分別がされています。
ということで、自己破産をする場合は、物損事故であれば、修理代などの損害賠償債務は破産手続きによって免責されますが、人身事故で相手に怪我をさせた、あるいは死亡させてしまった場合なら話は別です。
確かに単なる過失であれば、人身事故でも免責されることがあるのですが、加害者に『重大な過失』があった場合、治療費や慰謝料、休業損害などの損害賠償債務は非免責債権となり、免責されないのです。
破産法253条にはこうあり、
『免責許可の決定が確定した時は、破産者は破産手続きによる配当を除き、破産債権についてその責任を免れる。但し、次に掲げる請求権についてはこの限りではない。』※破産法(第二百五十三条)
その後に続く条文の中に、こうあります。
『破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権』※破産法(第二百五十三条 三)
つまりこの場合で考えると、
ある程度のことなら免責許可(破産をすれば払わなくてもいい)となる。だが、
があった場合は、それは例外である。
ということになるのです。
事故といっても内容によっては全然重さが違ってくるからね!例えば、故意に人を轢いた場合とかは、もうほぼ事件なわけで、罪は重いよ!それが許されたら、人を轢いた後に自己破産をすれば、数千万円という慰謝料を免除できちゃうね!
ぴよぴよ(怖いっす、そんなこと許されたら怖いっす)!
自己破産を悪用する人が出てきてしまうため
基本的には自己破産というのは、あまり推奨されないわけです。しかし、『自殺をするくらいなら自己破産をした方がよっぽどマシ』ということで、こうした破産制度が用意されているのです。
これらの事実を
(えんよう)、つまり『自分の都合のいいように解釈する』と、例えばこうなります。
よっしゃ!じゃあ、借りるだけ借りて楽しんで、そんで後は自己破産すれば『もう返せません』ってことだ!こりゃあいいぜ!合法的に遊ぶだけ遊んで、その金を借りるだけ借りて、それをチャラにできるんだからな!
これを見てどう思うでしょうか。また、援用については、『時効の援用』についてもこういう考え方を見て見ましょう。
へっへっへ。人を殺しても逃げ切れば15年で時効が切れるってか!よーし、そんじゃあ逃走経路と逃走生活さえ確保すれば、計画的に殺人が出来て、しかも逮捕されることもないってわけだ!ラッキー!
これが『援用』ということです。
つまり、自己破産の制度は存在する。だが、別にそれは特定の人物の身勝手な私利私欲をまかり通らせるためにあるわけではなく、『最終的な救済措置』として存在しているだけだ、ということになるのです。
ですから、あまり自己破産は推奨するようなものではありません。もし公にそう推奨しようものなら、今言ったような援用をする人間が続出し、あるいは、今回のテーマである『人身事故』のようなケースであっても、加害者かつ破産者である当人が、その責務から安易に逃げることが出来てしまうのです。
自己破産は、たとえ借金の額が100億円であっても1000億円であっても、それをすることによって帳消しになるからね!もしそれを悪用するということがあれば、大問題となるよ!
ぴよぴよ(たしかに)!
『重大な過失』をした場合においては、厳粛に対処される
ここで言う『
』というのが、まさにこれらのテーマの根幹にあるものを押さえています。
- 故意に人を轢いた
- 薬物を乱用していた
- 飲酒をしていた
この様なことを考えた時、『それなのに』被害者やその遺族に対し、慰謝料や賠償金を支払う責務が『免除されていい』と思うでしょうか。そういうことなのです。
また、先ほど『時効』という話をしましたが、損害賠償請求権の時効は『3年』です。よって、被害者が損害賠償請求をするには、交通事故発生後3年以内に手続きをする必要があるわけですが、間違ってもこうした時効を援用することなく、人として通すべき筋はきっちりと通さなければなりません。
ここで援用を考えるような人間は、もはや自己破産をする、しない、というような問題ではなくなってきます。何しろ、その様な人格のねじ曲がった人が自己破産をすることは、そもそもの破産制度の目的からも大きく逸れてしまっていますし、万が一その考え方がまかり通ってしまった場合、そこに残るのは
です。
つまり、その様な人は何度でも同じ轍を踏むことになるでしょう。しかし、自己破産制度というものは二度目の自己破産をするまでに最低でも7年間の間を空けなければならないし、更には、二度目ともなると一気にその難易度が引き上げられるのです。
そこに追い打ちをかけるように、破産者の何ら成長していない歪んだ考え方が露呈したらどうでしょうか。裁判所はそのような人を、『救済』しようと思うでしょうか。そういった背景から、『重大な過失』をした場合においては、厳粛に対処されると考えるべきです。それは当然、この場合で考えると『免責が許可されないことを覚悟するべき』だということになります。
確かに2度目の自己破産は7年経てばできるようになるけど、例えば7年ピッタリで自己破産をもう一度申請する人って、裁判官から見たらどういう風に見えるかな!反省してない人に自己破産を認めるわけにはいかないね!
ぴよぴよ(基本的に、罰を受けることを逃げるっていう考え方を持っている人は、改める必要があるっすね)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!