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免責不許可事由となる財産の隠匿・破壊・処分とは(免責不許可事由1)

質問

自己破産で財産の隠匿・破壊・処分をするとどうなる?

答え

基本的に、不誠実なことをしたら自己破産は認められません。

 

詐欺や横領をしたらなぜ逮捕されるのか、という問題を考えれば見えてくるように、まずはこの世に倫理仁義というものがあります。

 

自己破産とは、債権者に『貸したお金を諦めろ』と言うようなものです。そんな中、少しでも破産者に不誠実さがあるなら、裁判所はそれを許可することなどできません。より一層倫理や仁義について深く考えることを求められるということです。

 

裁判所は嘘をまかり通らせることはしません。債権者の立場を考えればそれは当然の判断です。

 

どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!

ニワトリ

財産の隠匿・破壊・処分は、捏造、隠蔽であり、詐欺だからね!そういう自分本位な行動は、自己破産をする際においては、特にタブー視されるよ!詳しく解説するね!

ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!

 

免責不許可事由について

自己破産手続きを行うと、それだけで債務が0になると思っている人がいますが、それは間違いです。債務が0になるためには自己破産手続きと共に免責手続きを行い、免責許可決定を受けなければなりません。ほとんどの場合この時に免責許可は下りることになりますが、一定の項目に引っかかってしまうと免責が不許可となります。

 

この項目のことを、免責不許可事由と言います。免責不許可事由には様々なものがありますが、破産手続き開始後に財産の隠匿、破壊、処分を行った場合について具体的に見ていきましょう。

 

自己破産

 

借金

どんな人のケースでも認めちゃったら秩序は崩れるからね!最低限のルールや原則というものは、どこにでもあるよ!

ぴよぴよ(たしかに)!

この章のまとめ
  • 免責不許可事由に該当する場合は、自己破産が認められない。

 

不当な財産の隠匿、破壊、処分が免責不許可事由となる根拠

破産法第252条第1項第1号にはこうあります。

債権者を害する目的で,破産財団に属し,又は属すべき財産の隠匿,損壊,債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと

 

これが免責不許可事由であると明記されているわけですね。この時、

 

破産財団というものに身に覚えが無いから大丈夫。

 

などと軽く考えてはいけません。破産財団とは、破産手続き開始時点において国内外にある破産者の全ての財産のことを指します。その管理・処分する権利を専属しているのは破産管財人であるため、破産者が故意に、又は無知により身勝手に自分の財産を扱ってはいけない決まりがあるのです。

 

なぜなら、破産者の価値ある財産は全て破産管財人によって管理・処分され、その利益は全ての債権者に平等に分配されます。そのため、債権者の不利になるような「不当な破産財団価値減少行為」は、一切禁止されています。

 

自己破産

 

つまり破産者は、申し立てをした時点で自分の持つ財産を隠す・壊す・捨てる・売るといった破産財団の価値に一切傷をつけてはならないのです。また、このような行為をする時に債権者を意図して害する目的を持っていた場合、裁量免責の可能性もグッと下がってしまうことでしょう。

 

自己破産

 

借金

債権者は、もしかしたら数億円のお金を貸しているかもしれないからね!だとしたら、少しでも回収するのが当たり前であり、それを誤魔化すということは、認められないよね!

ぴよぴよ(たしかに)!

この章のまとめ
  • 不当な財産の隠匿、破壊、処分が免責不許可事由となる。
  • 破産者の価値ある財産は全て破産管財人によって管理・処分され、その利益は全ての債権者に平等に分配される。
  • そのため、債権者の不利になるような「不当な破産財団価値減少行為」は、一切禁止されている。

 

財産の隠匿、損壊の例

例1
Aさんは自己破産手続きを行っている時、お子さんの大学浪人が決定しました。予備校費用などを考えると、自己破産後の生活を考えるとどうにも心許なくなり、親から受け継いだ田舎の土地を申告しませんでした。自己破産後、売却して学費や生活費にしようと考えたのです。

 

自己破産

 

この場合、Aさんに債権者を積極的に害する意図はありません。しかし、土地という不動産を故意に隠したのは免責不許可事由にあたります。また、例に挙げたのは日本国内にある破産者の財産でしたが、これが外国であっても同じ事が言えます。「国外にある財産だからバレないだろう」などと考えてはいけません。きちんと調べが付きますので、確実に分かってしまうことでしょう。

 

自己破産

 

例2
Bさんはその独占欲の強さから、売りに出されてどこのだれかも分からない人に自分のコレクションを渡したく無いと思い、わざと高価なシャンパングラスを割ってしまいました。この場合、言うまでもなく免責不許可事由となる損壊に値します。

 

自己破産

 

また、時計や家具などのリペアが効く財産をわざと壊し、時価20万円以下の代物にして処分されない自由財産として手元に残そうとする事例もありますが、これは免責不許可となる十分な理由と言えます。

 

財産を手元に残し、お金ができたら修復しようと考える人もいるようですが、自己破産手続きを行った時点で自分の財産は自分のものではなくなり、債権者ものであるという認識を持たなくてはいけません。他人のものを勝手に壊しても良いという道理が、通るわけは無いのです。

 

自己破産

 

例3
Cさんは最後くらい債権者に少しでも返済しようと思い、自家用車を友人に45万円で売りました。しかし、Cさんの車は本来120万円の価値がありました。この場合、Cさんは善意でこの行為を行っていますが、結果的に債権者に不利益となる処分をしていることになります。

 

自己破産

 

悪意が無いので裁量免責となる可能性も高いでしょうが、もし違反行為だと認識しての行いだとしたら、免責不許可事由に当てはまることは間違い無いでしょう。

 

またCさんは勝手に売ってしまいましたが、どのような思惑があるにせよ勝手に人に譲ってしまう、その品物よりも安いものと交換する、または勝手に捨ててしまう等の行為も債権者に不利益な処分に該当しますので注意が必要です。

 

自己破産

 

例4
《判例時報2164号より 東京地裁平成24年8月8日決定》

破産管財人に2005万円の腕時計の存在を秘匿し、売却してその代金を隠匿した

 

過去実際にあった判例です。

第252条第1項第1号における「債権者を害する目的で,破産財団に属し,又は属すべき財産の隠匿,損壊,債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為」にあたるとして、この申立人は免責不許可となりました

 

また、この申立人は裁判所の許可を得ず破産手続き中に海外渡航していたり、管財人から求められた提出書類の提示を拒否したりもしていましたので、裁量免責の余地はないと判断されたようです。

 

自己破産

 

《判例時報2164号より 東京地裁平成24年8月8日決定》

平成20年9月、ある会社の代表者が会社とともに破産手続き開始決定を受けた。申立時の債権者は16名、債権額は8.9億円の大規模破産案件であった。会社における破産手続きは平成22年2月に終了したが、破産者個人の財産の隠匿行為が次々に見つかった他、破産管財人の職務妨害を行なったため免責不許可にて平成24年7月に終了した

 

こちらも実際にあった判例です。約4年という長期未済案件であることを鑑みるに、破産管財人は相当申立人に振り回されたようです。免責不許可となった理由として、以下の4点が挙げられます。

 

「財産目録に預金口座(残高約225万円があり、その価値は出資金・満期金含め約404万円相当のもの)を記載せず、尚且つ口座解約手続きを取ろうとしていた」

 

「賃貸アパート・駐車場の不動産収入が振り込まれる入金口座も隠匿していた」

 

自己破産

 

「任意売却に伴う自宅建物からの退去要求を拒み続け、破産法156条により裁判所から引渡命令を出されたのち、破産管財人が強制執行申立をするまで立ち退かなかった」

 

「破産手続き後に未登記建物を登記し、第三者に移転登記した。そのため破産管財人は抹消登記手続きのため訴訟提起せざるを得なくなった」

 

以上4点は破産管財人からの調べがつき、かなり悪質であると判断され管財人から免責不相当の意見が出されました。破産申立人には、破産管財人の業務を妨害しないよう義務も課せられているのです。

 

借金

悪質であるか、悪気の有無などに関係なく、財産を隠匿したり、損壊したりすることは債権者に対して失礼だからね!債務者は、破産して債務がゼロになるだけで十分なんだから!

ぴよぴよ(たしかに)!

この章のまとめ
  • 財産の隠匿、損壊の例を確認する。

 

裁量免責とは何か?

免責不許可事由に関する財産の隠匿・破壊・処分について具体例を挙げて紹介しましたが、度々出現する裁量免責についても説明しておきます。裁量免責とは、破産法第252条第2項により定められている「免責不許可事由があっても一部、又は全ての免責が許可される」法律です。

 

裁判所が申立人の破産手続きに踏み切った経緯や事情を考慮して、免責許可を下してくれるものであり、違反行為の程度が重度ではない、又は債権者を害する目的で行なったことではないなどの事情がある場合に適用されることが多く、一種の情状酌量を行ってくれるものです。

 

自己破産

自己破産

 

自己破産では、自己破産開始決定を受けて免責手続きを取らなければいけません。この時に大抵の人は免責が下りることになりますが、一部の違反行為を行った人に関しては免責許可が下りず、債務責任が残ることになります。

 

財産を破産手続中に隠匿・破壊・処分する行為はその最たるものであり、債権者に平等分配されるはずだった破産財団(申立人が有する一切の財産)の価値を不当に処分したり価値を減少させたりしてはならないのです。

 

このような行為が悪質であると判断された場合には、裁量免責もされず免責不許可となってしまうため注意が必要です。

 

借金

裁量免責によって、ギャンブルや浪費なんかでも自己破産で免責されることがあるよ!原則はあるけど、状況も色々あるからね!その都度柔軟に裁判所が対応していくのさ!

ぴよぴよ(なるへそ)!

この章のまとめ
  • 裁量免責とは、原則的なルールを踏まえて行う裁判所の独断。

 

 

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