破産者が債権者がいると知っていながら、債権者名簿に記載しなかった請求権はどうなる?
『債権者がいると知っていながら』というところがポイントです。この場合、記載しなかった債権者だけでなくその不誠実な姿勢が原因により、全ての債務が免責不許可となってしまう可能性があります。
故意に隠すのは詐欺に近い行為だからね!捏造、隠蔽というのは、どんな場面でも往々にして罪は軽くないよ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
債権者一覧表への記載漏れはいつ気がつくかがポイント
債権者一覧表への記載漏れは、いつどの段階で判明するかによって免責されるか否かが決まります。
自己破産手続き中に判明した場合、申し立て後書類を提出して開始決定を受けるまで、目安として約2週間を要します。その間に記載漏れに気がついたのなら、裁判所へ上申書を提出すれば十分間に合うと考えて良いでしょう。
また記載漏れに気がついたのが開始決定後の場合、免責手続き中であれば最悪間に合うと捉えても大丈夫です。免責決定を下す前に、裁判所では債権者による異議申し立て可能期間が設けられていますが、これは全ての債権者に平等に与えられる権利であり、この意見申述期間までに間に合えば債権者漏れは途中追加し、申告できると考えておきましょう。
むしろ債権者の権利を守るためにも、自己破産申立人には原則として全ての債権者が、この期間までに申告する必要があります。
記載漏れに気づくタイミングによって、申告するタイミングも違うからね!タイミングがずれると、違った対応が必要になるよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
債権者一覧表への記載漏れが免責されない場合
破産法により、免責不許可となる事由に該当する場合は、免責が下りないことになっています。例えばマイカーローンの支払いが残っている自家用車に対し、手元に車を残しておきたいがために、債権者一覧表に該当の債権者のみわざと記載しなかったとします。
これは、破産法252条7項に定められた免責不許可事由、
虚偽の債権者名簿(債権者一覧表を含む)を提出した場合
に該当し、記載しなかった債権者だけでなくその不誠実な姿勢が原因により、全ての債務が免責不許可となってしまう可能性があるでしょう。
友人知人からの借金も、人間関係に影響することからわざと記載しない事例がありますが、免責不許可事由に該当するので絶対にしないことが原則です。
また、免責が確定した後に債権者漏れに気づいた場合、非免責債権となり免責されない可能性があります。非免責債権となるのは破産者が知っていることが前提で、わざと債権者名簿に記載しなかった債権や過失により債権者名簿に記載し忘れた債権です。
全ての債権者は平等に扱われるべきであるのに異議を申し立てる機会も与えられず、いきなり、
免責されたのでもう払いません。
などという、理不尽な話はありません。
したがって破産者が故意的に、または過失によって記載漏れした債権に関しては、非免責債権として支払い義務が残ることになります。これが免責されるのは、故意でも過失でもなかった事情を証明するか、債権者が債務者の自己破産手続き開始を把握していたにもかかわらず黙っていた場合になります。
債権者一覧表には必ず正直に、正確に記載することが求められるわけだね!このあたりのことも弁護士に頼むと念を押されるけど、一人でやる場合には十分な注意が必要だね!
ぴよぴよ(やっぱ餅は餅屋っす)!
記載漏れの非免責債権を支払うことができない場合
法律上、非免責債権に対して破産者は、その債務責任を果たさなければなりません。しかし、消費者金融や銀行などの貸金業者への記載が漏れて返済責任が残った場合、回収の見込めないい債務者への取り立ては割に合いませんので、無理に支払いを迫ったりしないケースがほとんどとなっているようです。
その場合、該当債権者に対し免責決定通知書などの自己破産したことが証明できる書類を送付して、自己破産の事実を提示しましょう。貸金業者は、これで引き下がってくれることが多いのです。
しかし問題なのは、損失として税務上で計上できない一個人から借り受けている債務に関してです。債権者が一般人だった場合、強行に債権の回収を行って来ることも十分考えられますが、その際に破産者が取れる対応としては主に3パターンが考えられます。
一つ目
記載漏れを素直に認めて借金を完済することです。
二つ目
訴訟により過失の有無を証明し、または債権者が破産者の破産の事実を知っていたことを主張し免責をもぎ取ることです。
三つ目
もう一度自己破産できる7年後に再び自己破産をして、裁量免責により免責処分を受けることです。
最悪の場合、消滅時効を待って未払いのまま放置する方法もありますが、先方が強制執行により給与の差し押さえを行使される可能性もありますので、検討項目には含めない方が良いでしょう。
債権者一覧表に記載漏れがあった場合、最悪免責許可が下りるまでに上申書を提出して債権者の追加を行えば、免責に間に合うと考えて良いでしょう。
しかし、免責許可後に記載漏れが発覚した場合、非免責債権として破産者には支払い義務が生じます。破産者が知っていることが前提で、わざと債権者名簿に記載しなかった債権や、過失により債権者名簿に記載し忘れた債権は債権者の権利を侵害しているとみなされ、債権者を守るために支払い義務が生じるのです。
しかし通常、該当の債権者が貸金業者だった場合には、免責許可決定通知書などの自己破産の事実が確認できる書類を提出すれば返済をなくしてくれるケースが多くあり、実際に貸金業者に対する非免責債権を支払っているケースは多くないものと考えられます。
また、一般人の債権者を記載漏れしていた場合には、強制執行により給与の差し押さえといった強行的な債権の回収を迫られる場合があります。そのため破産者は腹をくくって完済する、または訴訟によって免責を主張する、7年待って再び自己破産し裁量免責を受けるなど、といった対応を取ることになるでしょう。
とにかく債務整理の絶対原則は『誠実さ』だからね!最初から最後までそれを忘れないように対応すれば、焦る結果にはならないはずだよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!