自己破産をしたら従業員に給料を払わなくてもいい?
いいえ。破産者が誰かを雇用している使用者側の立場にある場合、たとえ自己破産したとしても使用人に対し給与等を支払う義務は継続することになります。
自己破産をするということはお金がないわけだからね!なるべくいろんな支払いはしたくないところだけど、従業員に対しては支払いをする必要があるよ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
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雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権および使用人の預り金の返還請求権とは?
破産法第253条第1項にはこうあります。
免責許可の決定が確定したときは,破産者は,破産手続による配当を除き,破産債権について,その責任を免れる。ただし,次に掲げる請求権については,この限りでない
同条文5号には「雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権」がそれに当てはまると明記されています。
したがって、破産者が誰かを雇用している使用者側の立場にある場合、たとえ自己破産したとしても使用人に対し給与等を支払う義務は継続することになります。
給料は借金ではなく、『支払い義務』として数えるわけだね!そう考えると、色々な部分での非免責債権が見えてくるね!
ぴよぴよ(たしかに)!
雇用関係について
破産法第253条第1項5号に述べてある雇用関係についてですが、これは民法第623条を読み解くと解明されます。
民法第623条にはこうあります。
雇用は,当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し,相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって,その効力を生ずる
労働者は使用者のために働き、使用者は労働者にその対価として給与またはそれに準じる報酬を与えることを確約する契約であることが分かります。
この条文で重要なポイントとなるのは「労働」とその対価である「報酬」であり、労働者は使用者の指揮命令を受けて使用者のために働く、という指揮命令関係の前提です。
雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権とは?
雇用関係について把握した上で、雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権について考えてみましょう。ここでいう使用人とは当然労働者のことであり、使用人から発せられる請求権は雇用関係において使用者へと向けられます。つまり、雇用主に対して労働者が労働の対価として得る給与や退職金の請求のことを指しています。
少しややこしい区分けになりますが、給与等の請求権は財団債権と非免責債権に分かれます。給与請求権のうち、使用人が破産手続きを開始するまでの3ヶ月間の給与未払い分は財団債権となり、退職金請求権は退職前3ヶ月前の総額相当部分のみが財団債権となります。
このままだと、それ以外の給与未払分は財団債権に該当せず使用人にとって不利益となるため、財団債権に該当しない給与請求権については非免責債権と規定されています。
つまり、財団債権に該当する部分も非免責債権に該当する部分も合わせて破産者は、たとえ自己破産したとしても労働者に対しての支払い義務が継続し続けるということになります。
簡単に言うと、従業員は給料も退職金も、結局支払ってもらえるわけだね!会社はそれを支払い義務があるっていうことだよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
使用人預かり金の変換請求権とは?
使用人預かり金の変換請求権についてですが、積立金などがこれにあたります。雇用主が労働者から預かっている金銭として代表的なのが積立金ですが、使用人保護の観点から当然守られるべき権利として非免責債権と定められています。
自己破産申し立てを行い免責手続きが完了して免責許可を得た後も、支払い義務が残る債務のことを非免責債権と言います。雇用関係に基づいて生じた、使用人の請求権および使用人の預り金の返還請求権も非免責債権のうちの一つであり、労働者が労働の対価として受け取って当然の給与や報酬を守るための法律と言って良いでしょう。労働者は使用人に対し、指揮命令の元で労働を行います。
したがって雇用契約に準じ、使用人は労働者にその対価として報酬を支払う義務が存在します。この支払い義務は使用人がたとえ自己破産したとしても免責されず、必ず労働者に対し支払わなければなりません。使用人の請求権とは給与請求権や退職金請求権のことを指し、使用人の預かり金の変換請求権とは、使用者が労働者より預かっていた積立金などが該当します。
積立金はある種の従業員の貯金だからね!それは当然経営者が破産したからといって、同時に従業員は請求ができるよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!