自己破産で事故に対する損害賠償の責任も消える?
内容によります。『破産者が故意または重大な過失によって加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権』であれば、非免責債権に該当します。悪気の有無や、内容の深刻さで答えが変わるということですね。
例えば、『わき見運転』なら免責となり、『ひき逃げ』であれば非免責となる、という考え方です。
わき見運転でもダメだけどね!それで人が死んでしまったら、何の言い訳もできないよね!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
自己破産しても免責されない損害賠償とは?
破産法第253条第1項にはこうあります。
免責許可の決定が確定したときは,破産者は,破産手続による配当を除き,破産債権について,その責任を免れる。ただし,次に掲げる請求権については,この限りでない
同条項3号では「破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権」が指定されています。
つまり、上記の条項に基づく損害賠償が発生している場合において、その支払い義務は自己破産によって免責されず、破産前の滞納金も含め全額支払い義務が継続することになります。
具体例を挙げて見ていきましょう。この条文において重要なことは、「故意または重過失による不法行為に基づく」という点であり、被害者の保護を最優先とした場合免責されるに値せず、たとえ自己破産したとしても当然支払う義務が生じるというところです。
交通事故で例を挙げるとするならば、わき見運転やハンドル操作ミスなどによって起こしてしまった事故は、単なる過失とみなされ免責される可能性もあるでしょう。どちらも不注意により事故を起こしてしまったことは確かですが、他者を害する意図を持って行ったことではないからです。
しかし、飲酒運転や速度超過などの危険運転致死傷罪は悪質性が高く、重過失であると判断される可能性が高いでしょう。ひき逃げの場合も同様に、重過失であると判断される可能性が高いと言えます。このような非免責債権は、自己破産により減額されたり免除されたりすることはありません。被害者側と調停、または話し合いにより取り決めない限り、滞納金も含め全額支払うことになります。
わき見運転やハンドル操作ミスで、結局相手が亡くなってしまった場合は、もちろん重過失ということになるよね!
ぴよぴよ(うーむ)!
故意または重大な過失について
より具体的には、当該の条項によって指定されている注目点は「故意または重大な過失により与えた」という点と、「人の生命または身体を害する」という点です。この2つが揃って、初めて非免責債権となります。
前者において把握しておくべき点は、積極的に相手を害そうとする「悪意」ではなく、自らの行為が他者の権利侵害になることを認識していることにあります。自分の行為が結果的に他者の権利侵害につながる、または他者の損害になる可能性があるということを認識している場合、それはどのような意図や思惑を持って行った行為であるにせよ、「故意」の有無を否定できないということになります。
また過失は法的な注意義務を怠ること、つまり不注意という義務違反を犯してしまうことを指しますが、これが重過失ともなると、その程度が如何に甚だしいか察せられます。居眠り運転による損害賠償がいい例でしょう。少しの注意で回避できた他者への損害や権利侵害を犯してしまったのですから、重過失は故意に近い過失とも言えるでしょう。
またこの条文では、「人の生命または身体を害する」場合において損害賠償請求権が有効となるため、傷害罪や殺人罪、危険運転致死傷罪など他者の生命や身体を損なってしまうような不法行為が非免責債権となります。
破産者が故意または重大な過失によって加えた、人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権とは非免責債権の一つであり、自己破産してもその債務から逃れることはできません。滞納金も含め全額支払わなければならず、話し合いや調停等で被害者側と合意しない限り、自己破産したからといって減額されたり免除されたりもしません。
ここでポイントとなるのは、自分の行なっている行為が他者の権利侵害や損害になり得ると認識している点と、
- 傷害罪
- 殺人罪
- 危険運転致死傷罪
といった他者の身体および生命を害しているかどうか、といった点になります。被害者の保護・権利を守るため、こういった損害賠償請求権は免責されるに値せず、支払い義務が継続するのです。
結局は、罪がどれだけ重いかということが問われるね!それによって罪を犯したときも罰金の額や懲役の長さが変わるけど、それと同じような感覚で考えるんだね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!