自己破産の際、債権者一覧表に記載漏れがあったらどうなる?
悪気の有無が問われます。もし故意に記入しないということがあるなら、それは不誠実な行為として、免責不許可事由に該当します。つまり、自己破産自体が取り消されます。
もし悪気がなく漏れてしまったのであれば、申告すれば問題ありません。ただ、申告するタイミングによって対応が異なりますので、注意が必要です。
故意にやるのとそうじゃないのとでは全然違うよね!例えば万引きだって、間違ってやった子供は罪に問われないしね!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
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債権者一覧表の記載漏れに注意
債権者一覧表とは、裁判所に提出する申立人の借入先を一覧にしたものを指します。自己破産申告を行うと破産手続き開始決定が言い渡され、その後管財事件か同時廃止という手続きに入ります。
管財事件は、
- 99万円以上の現金を所持している人
- 時価20万円以上の動産・不動産
を自由財産として継続保持する人が取る手続き費用の高い自己破産であり、同時廃止はそういった高額財産がなく経済的に困窮している人が取る自己破産となります。
どちらにせよ、自己破産申告を行う人たちが目的にしているのは全ての債務責任がなくなることですので、裁判所に債務の詳細とも言える債権者一覧表の提示は必要不可欠となります。免責許可を経て晴れて借金から開放されるということは、債権者一覧表に記載されている債権者への返済義務を法的になくしてもらった状態のことを指すのです。
したがって、万が一にも失念して記載漏れを起こしたり、どうしても返済しなければならない友人がいたとして、その人の名前を故意に記載しなかったりなどということがあってはなりません。
自己破産では全ての債権者が平等に扱われるよう定められており、債権者によって返済が偏っていたりすることは、その平等性が失われることになります。このことは免責不許可事由にもなりかねませんので、注意しておく必要があるでしょう。
債権者一覧表に書かないということは、その人にだけ特別に返済をしようとしている、と判断される可能性があるよ!それはここでいう『平等』ではないとなるよね!
ぴよぴよ(たしかに)!
失念により、万が一の記載漏れがあった場合
記載漏れの事実に、いつ気が付くかによって対処方法が変わります。
破産手続き開始決定前(免責決定前)の場合
債権者一覧によって、裁判所は申立人の負債状況を把握します。また、債務者が悩まされていた返済の督促や取り立ては、この一覧によって債権者へと申立人の破産手続き開始が通達されます。この時、破産管財人が選出されるのであれば、その者の氏名や破産債権の届出期間も同様に一覧記載債権者へと通達がされます。
したがって、破産手続き開始決定前に記載漏れが発覚した時は、迅速に新しい債権者を追加する旨の上申書を作成し、債権者一覧表を補正しましょう。
もしこれが間に合わず、破産手続き開始決定がされた後だったとしても、免責決定前に債権者一覧表を補正すれば大きな問題は起こりません。しかし、記載漏れに気が付いたら迅速且つ正確に、補正に関しての上申書を作成・提出するようにしましょう。
免責決定後の場合
免責決定というのは、免責許可が下りて1ヶ月経過した後に確定します。もし、その後に記載漏れした債権者からの督促によって失念していたことに気づいた場合、原則的には記載漏れした債権者への債務も免責効果が及ぶものと考えられます。自己破産での免責効力とは、それが故意や過失でない場合、原則全ての債権者に及ぶと考えられているためです。
つまり、故意や過失によって記載漏れを起こしているのなら返済責任は生じたままとなりますが、そうでない場合には、漏れた債権者へ「免責決定書」や電話などで自己破産手続きが終了していることを申告しましょう。
「免責決定書」を紛失してしまった場合、手数料を払えば裁判所から取り寄せることができますし、大抵の債権者はこの書面を持って支払い請求をストップするでしょう。ごく稀に免責決定書を持ってしても過剰請求してくる債権者がいますが、そのような場合には悩むことなくすぐに専門家や法テラスへと相談するようにしましょう。
債権者一覧表への記載漏れはあってはならないことですが、失念により記載漏れたのであれば、取り返しのつかない事態に陥るという可能性はありません。しかし故意や過失、または債務額と収支状況などを鑑みた場合、事情によっては免責決定の効果が及ばなくなってしまうこともありますので、なるべく失念がないように申立をしましょう。
もし故意でなければ、いつ発覚するか、いつ申告するかというタイミングなんかがポイントになってくるんだね!悪気がなければ問題にはならないよ!
ぴよぴよ(うーむ)!
返済をしたことがない債権者も債権者一覧表へ記載しても良い?
自己破産する多重債務者の中には、借金を借金で返す人が大勢います。それを繰り返すことによって支払不能状態に陥り自己破産へと繋がるのですが、そのような場合一度も返済していない借入先が存在することは残念ながら少なくありません。
しかし、借金は借金です。この債務に関しても、債務責任を免除してもらいたいと考えるのは多重債務者にとって当然だと思いますし、免除されるものだろうと思っている人もいるでしょう。
結論を述べますと、一度も返済していない債権者の名前も債権者一覧表へ記載しても良いですし、むしろ記載しなければなりません。裁判所は債権者一覧表を持って申立人の債務状況を把握しますので、ありのままの現状を正確且つ誠実に申告しなければならないからです。
しかしこの場合、記載したからといって免責されるとは限りません。免責不許可事由には、返済能力がないと自覚しておきながら借入してしまう行為も含まれています。
つまり自己破産では返済する気のない、または返済不能の認識があった状態での新たな借入行為を認めていないのです。実際に免責されるか否かは、裁判官それぞれの判断によりますので申告してみなければ分かりませんが、裁量免責も珍しい話ではありませんので、悪意なくそのような行動を起こしてしまったのなら一度弁護士に相談してみると良いでしょう。
借りてすぐに自己破産した場合は、詐欺破産罪の可能性があるからね!自己破産の対象債権ではあっても、それが認められるかどうかは詳細次第だね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
一度も返済したことない債権者からは異議を出される
免責されるか否かは裁判所が決定するものですが、債権者によっては一度も返済されていないのに自己破産されるとたまったものではありません。そのため、免責に関し異議申し立てをされる可能性があります。
その場合裁判所は、
- 破産申立人
- 異議申立て債権者
の両方の事情聴取を行います。この事情聴取は対面式ではなく書面で行われることが増えてきており、双方は口頭または書面でそれぞれの理由を説明することになります。
このような場合、異議申し立てが認められるケースは少ないと言えますが、もし異議申立て債権者の主張が認められればその債権者の債務は免責されず、自己破産後も支払っていくことになります。
さらに滅多にないことですが、一度も返済していない債権者から詐欺破罪として刑事告訴される可能性もないわけではありませんので、不安な人は専門家へ相談することをおすすめします。
やっぱり何回かは返済した実績がないと、なかなか認められないよね!最低でも一回は返済していることがポイントになるだろうね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
免責決定後に債権者一覧の記載漏れが見つかったら差し押さえられる?
もし故意や過失などによって記載しなかった債権者があり、その債権者への債務が免責されない場合は、債権者による差し押さえが可能になります。先方が免責決定書を持ってしても、免責対象外であると主張し支払い義務を迫ってきた場合、自己破産者は過失がないので免責されるのが妥当だとして裁判で争うことになります。
その後差し押さえがあるかどうか、または差し押さえされるならどの程度差し押さえられるのかなどは裁判によって決まりますが、法律で給料の4分の1以上は差し押さえられることはありませんので、身ぐるみ剥がされることはないと認識しておきましょう。
目には目を歯には歯を!ってわけじゃないけど、不正に対しては厳しい対応をされるよ!不正行為をした時点で、それはわかっていたはずだけどね!
ぴよぴよ(世の中にはルールがあるっす)!
債権者一覧表に記載すべき債権者について
お金を借りた先が銀行であろうと友人であろうと、全て記載することになります。借入先が個人の場合、自分から見た間柄を記入することがありますので忘れないようにしてください。
またヤミ金から借り入れている場合、こちらもきちんと債権者一覧表へ記載するようにしましょう。法外な利息や過剰な督促を行うヤミ金から受けた融資は、原則返済する必要がありません。しかし、債務の状況確認や全体的な収支を把握する上で必要な場合もありますので、分かる限りのヤミ金業者の情報を記載するようにしましょう。
また、保証会社や保証人が借入の際に関係している場合、「代位弁済する前」であれば借入先は元の債権者を記入し、「代位弁済をした後」は保証会社の名前を債権者として記入しましょう。その際、保証人についてもはっきりと明記しておくことが重要です。
サービサー(債権回収会社)が絡んでいる場合も同様に、債権をサービサーが譲り受けている場合はサービサーを債権者名として記し、単に債権の回収業務を委託されている場合は債権者は借り入れ元の債権者となります。
さらに、例外を除いて免除されることもない公租公課の税金ですが、滞納している金額については記入欄が定められている場合があります。
- 住民税
- 国民健康保険料
- 国民年金
といった公租公課の支払いは、国民の三大義務の一つでもありますので免責対象とはなりません。
しかし、公租公課の滞納料金は立派な債務の一つですし、裁判所が申立人の債務の全体を把握するために必要な事柄でもあります。免責対象でないからといって記載しなくて良いわけではありませんので、漏れのないように注意しましょう。
その他に注意しなければならないのは、滞納している家賃や半年以上滞納している水道光熱費の記載漏れです。他人の保証人になっている場合も保証債務として記載が必要ですし、消失時効を援用して解決している場合は別ですが、そうでなく時効が成立している債務については、自己破産後のトラブルを避けるためにも念のため記載しておいた方が良いでしょう。
また、既に廃業した債権者から借り入れている場合についても、同様に記載しておいた方が無難です。繰り返しになりますが、債権者一覧表には債務の全てを記載しなければいけません。したがって、申立人が債務を負っている先が個人であろうと水道局であろうと銀行であろうと、漏れなくきちんと記載するように注意しましょう。
自己破産手続きを行う際、申立人の最終目的である債務からの解放は、債権者一覧表を漏れなく記載することから始まります。この一覧表を持って裁判所は申立人の債務状況や収支について把握しますし、いざ免責許可が下りるとなったら、債権者一覧表に記載されている債務が0になります。
そのため記載漏れは絶対にNGですが、万が一失念していたことにより記載漏れが発覚した場合、免責許可が下りる前だと債権者を追加する旨の上申書を作成し、債権者一覧表を補正することで対処することができます。このような対処は故意の過失により記載したのではなく、悪意のない失念により記載漏れがあった場合に取れる方法です。
また、免責許可は全ての債権者に効力を及ぼすと考えられていますので、免責許可後に悪意なく記載漏れが発覚した場合には、漏れていた債権者に向けて自己破産の事実を伝えるようにしましょう。必要であれば、免責決定書の送付も行います。これにより、全ての債務から解放されることになるでしょう。
債権者一覧表の記載に関しては、
- 公租公課
- 半年以上滞納している水道光熱費
- 保証債務
- 友人からの借り入れ
- 未払いの家賃
- ケータイ料金
なども忘れずに記載します。また、
- ヤミ金
- 既に廃業している債権者
- 時効が成立している債務
に関しても記載しておくと良いでしょう。
ただ記載するといっても、こうして細かく見ると注意点がいくつかあるね!その一つ一つを確認していこう!
ぴよぴよ(いこう)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!