自己破産における別除権や担保権ってなに?
『別除権(べつじょけん)』とは、『優先的な返済をしてもらう権利』のことです。『担保権』とは、抵当権を含めた担保を保有している人の権利のことです。
抵当権を持っている人は、債務者が自己破産しようがしまいが、支払いが滞った場合は別除権によってその不動産をいつでも売ってお金に換え、返済に充てる権利を持っている、ということになります。
抵当権を持っているということは強いんだね!だから銀行なんかは必ずお金を貸す際には担保をつけたいと思うんだね!抵当権と別除権について詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
青色下線見出し
自己破産の際に出て来る『 』とは、『優先的な返済をしてもらう権利』のことです。お金を貸した人、つまり債権者は、相手に自己破産をされたらお金が返ってこなくなります。それが複数人いる場合は、その債権者らは全員同じ状況になります。
- 処分する財産がない場合=同時廃止事件
- 処分する財産がある場合=管財事件
となります。管財事件の場合、破産者の財産を売ってお金に換え、それらの債権者に平等に配当します。しかし、中にはこの『別除権』によって優先的に返済をしてもらうことができる債権者がいるということですね。
別除権というのは、保険を買っている人が、事故が起きた時に保障されるイメージ、あるいは何らかのカードの特典で、サービスを優先的に受けられるようなイメージだね!
ぴよぴよ(優先権みたいな感じっすね)!
抵当権は担保権のうちの一つ
例えば、お金を貸すときに『担保』を用意することがあります。
1,000万円を融資します。その代り、持ち家を担保にしてください。
ということですね。
担保
この場合で言えば、もし1,000万円を返せなかった場合は、持ち家を売ってお金に換えて、返済することを決める契約。
この約束があるからお金を貸すことが出来たわけです。これを、『抵当権』と言います。言い方としては、
当社は、あの人の不動産の抵当権を持っています。住宅ローンによってお金を貸していたんですね。だから、あの人がお金を返せなくなった場合、その不動産を売ってお金に換えて、返金してもらう権利があります。
ということになります。
住宅ローン
持ち家を担保にしてお金を借りれるローン(借金)。金利が安く、融資額が大きいのが特徴。
ちなみに抵当権は、『担保権のうちの一つ』です。言い方としては、
担保権の中にさ、抵当権ってあるよね。あれってもしものときに不動産を売ってお金に換えて返金してもらう権利のことでいいんだよね?
などということになります。
担保権の中の一つが、抵当権だね!抵当権はよく出て来る名前だからわかるね!『お前の家は抵当権がついてるから、競売にかけられるぞ!』なんてよくドラマで言ってるね!
ぴよぴよ(いや、自分そんなドラマ観たことないっす)!
…。
別除権は偏頗弁済に該当しないのか
ここで問題になるのは、『偏頗弁済』です。
偏頗弁済(へんぱべんさい)
特定の債権者にだけお金を返す行為。えこひいきのようなもの。
この、『優先的な返済』は、偏頗弁済に該当しないでしょうか。自己破産においてこの偏頗行為が認められると、自己破産自体が不許可になる場合があります。
破産法第252条にはこうあります。
裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
このように制定されています。しかし、この『別除権』は、まるで偏頗弁済のようにも見えます。実際はどうなのでしょうか。偏頗弁済に該当しないのでしょうか。
答えは、『該当しない』です。
破産法第2条9項にはこうあります。
9 この法律において「別除権」とは、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき特別の先取特権、質権又は抵当権を有する者がこれらの権利の目的である財産について第六十五条第一項の規定により行使することができる権利をいう。
つまりこの場合は『別枠扱い』で考えることになるわけですね。また、冒頭では管財事件になった場合に、この別除権が発動するようなことを書きましたが、この別除権は、実際には破産手続きをした、しないに関係なく行使することができます。
破産法第65条にはこうあります。
別除権は、破産手続によらないで、行使することができる。
つまり言い方としては、
僕は抵当権を持っていますので、あの人が自己破産しようがしまいが、支払いが滞った場合は別除権によってその不動産をいつでも売ってお金に換え、返済に充てる権利を持っている。
ということですね。従って、管財事件になって財産を処分することになったときも、優先してその別除権を行使することができるし、破産手続きなどが行われなかったとしても、債務者が返済を滞らせた場合、この権利を行使して、お金に換え、返済に充てることができるということですね。
普通に考えればこれは偏頗弁済だね!特別扱いだから!だけど、抵当権、別除権は別枠扱いってことだね!そうやってあらゆるケースを考えられているんだ!
ぴよぴよ(よくできてるっす)!
別除権の種類
また、別除権には種類があって、
- 質権
- 抵当権
- 先取特権
- 商事留置権
- 譲渡担保権
- 所有権留保
- 仮登記担保等
とがあります。
これらはすべて別除権として数えられますが、この商事留置権は、他の先取特権に『負ける』ことになり、優先順位を低くされます。
商事留置権
商人同士が取引をし、A社がB社に物を売った。しかし、B社はお金を払っていない。従って、B社がお金を払うまで、A社は自社にその物を留めておくことができる、という権利。
破産法第66条にはこうあります。
破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき存する商法 又は会社法 の規定による留置権は、破産財団に対しては特別の先取特権とみなす。
2 前項の特別の先取特権は、民法 その他の法律の規定による他の特別の先取特権に後れる。※破産法(第六十六条)
ということですね。そういった優先順位のようなものが、破産手続きの際の財産の処分の際に、存在するということですね。
様々な別除権の種類を確認しよう!
ぴよぴよ(うっす)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!