自己破産件数の推移ってどうなってる?
2017年7月現在、12年続いた減少が止まり、前年度よりも1.2%増加してしまっています。
自己破産の件数は2003年にピークを迎えたんだけど、そこからずっと連続して減少していたんだ!だけど2016年に少しだけ増加してしまった!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
Contents
自己破産の件数は減少傾向にあったが…
と併せて考えていきましょう。ここにも書いた様に、自己破産というのは
- 2003年=25万件
- 2012年⇒8万件
- 2015年⇒6万件
と、減少傾向にありました。
ここでは更にその推移を正確に書きます。
- 平成14年(2002年)214,638件
- 平成15年(2003年)242,357件
- 平成16年(2004年)211,402件
- 平成17年(2005年)184,422件
- 平成18年(2006年)165,932件
- 平成19年(2007年)148,248件
- 平成20年(2008年)129,508件
- 平成21年(2009年)126,265件
- 平成22年(2010年)120,930件
- 平成23年(2011年)100,510件
- 平成24年(2012年) 82,668件
- 平成25年(2013年) 72,048件
- 平成26年(2014年) 65,189件
- 平成27年(2015年) 63,856件
- 平成28年(2016年) 64,037件
太文字には注意して見ていきましょう。ポイントは、
- 2003年にピークを迎えている
- そこから12年連続で減少している
- 2016年に1.2%増加してしまった
ということですね。
だけどその前に、12年連続で減少したのがすごいよね!増加っていっても1.2%程度だから、数百人程度だけど、12年で年間18万件も減っているわけだから、そこを褒めたいよね!
ぴよぴよ(劇的に減ったっすね)!
2003年に増加していた理由
まず、2003年に増加していた理由は、以下の通りです。
平成17年(2005年)にいわゆる『新破産法』が生まれ、破産手続きの合理化と迅速化が図られました。破産者が手元に残すことのできる財産が拡張され、破産のハードルが低くなったことが関係しています。
しかし、平成17年の新破産法は、2005年です。ピークの2003年はそれよりも2年前ですから、この新破産法だけではあまりつじつまが合いません。ということで、リンク先の記事にも書いてありますが、更に以下のような条件が整っていたことが考えられるのです。
- 1)企業倒産による失業
- 2)地価下落による住宅ローンの重圧
- 3)給与の伸び悩み
- 4)2000年10月に施工された弁護士による広告の解禁
4)はつまり、それによって
ということですね。これが、2000年ですから。実は、記事にはそこまでしか書いていませんが、まだ理由がありました。
2001年に『個人再生』という手続きが出来た
2001年に『個人再生』という手続きが出来ました。新しい債務整理の形ですね。これで債務整理の選択肢が、
-
- 任意整理
- 民事再生(個人再生)
- 特定調停
- 過払い金請求
- 自己破産
ということになりました。個人再生が向いている人は、こういう人です。
負債額が5,000万円を超えない場合で、不動産や自動車などの高価な資産を手放すことなく債務整理をしたい人、あるいは自己破産の制限業種に該当したり、自己破産しても免責を得られる可能性がない人。
この新しい債務整理によって、自己破産の前に選べる選択肢が増えました。
自己破産まではいかず、個人再生だけで済むかもしれない。
ということになったということですね。これも自己破産が減少したことに理由の一つとして挙げられるでしょう。
個人再生が出来たことによって、自己破産以外の選択肢が増えたんだね!だからそっちに流れて、自己破産者の数が減ったということさ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
2002年に『認定司法書士制度』が開始された
更に、自己破産件数がピークとなった2002年に、司法書士法改正により『認定司法書士制度』が開始されたのです。この制度によって、債務整理に関する請求額が140万円までの民事事件について、司法書士が民事訴訟の代理人を務めることができるようになりました。
しかし、この『認定司法書士制度』は、前述したとおり『140万円以下』の場合です。ですから、司法書士に依頼して破産を進めようとする人は、実は『破産以外の債務整理』があるということに気が付くようになりました。そして、自己破産以外の債務整理を選択するようになり、そこから徐々に自己破産の数が減少していくことに繋がってくるのです。
前述した『認知が広まった』ということを考えてもそうだけど、やっぱり無知が故に間違った洗濯をしてしまうことってあるよね!洋服のサイズを間違えるとかもそうだけど、債務整理の方法も間違えることがあるんだね!
ぴよぴよ(知識は宝っすね)!
2004年には『ヤミ金融対策法』が施工
そして、2004年1月には『ヤミ金融対策法』として、『貸金業規制法及び出資法の一部改正法』が施工されました。それまでは申請書さえ出せば簡単に貸金業の登録が出来たのですが、これによって暴力団関係者や一定の資産が無い者の貸金業登録の拒否も可能になりました。
やはり、ハードルが低かったことで規範意識の低い人間が金融業を行うことで、『闇金融』という存在が現われるようになってしまったんですね。当時に闇金融業者だった人は、
あの時代は怒鳴っていれば金が入った。
と言っていました。それだけお金の貸し借りにおいて秩序が乱れていたわけであり、借金をする人、そしてその借金をする人の『転落度』も深かった、ということになります。
しかしこの法改正により、
闇金融業者対策の法改正
- 1.貸金業登録要件の厳格化
- 2.適正な営業体制の確立
- 3.取立行為などの規制強化
- 4.無登録業者の広告、勧誘行為の禁止
- 5.違法な高金利の契約の無効
- 6.罰則の強化
上記のように規制が厳しくなり、
されるようになりました。それによって、自己破産者が減少していくことになります。
闇金融が暗躍できなくなったのは大きいね!架空請求もそうだけど、そうした反社会的組織の悪行がまかり通っているということは本当に理不尽だからね!
ぴよぴよ(たしかに)!
2005年に『新破産法』が生まれた
平成17年(2005年)にいわゆる『新破産法』が生まれ、破産手続きの合理化と迅速化が図られました。破産者が手元に残すことのできる財産が拡張され、破産のハードルが低くなったことが関係しています。
新破産法によって、破産をしても破産者が手元に多くの財産を残すことができるようになったんだね!換価20万円以下のものや、99万円以下の現金は手元に置いておくことができるよ!
ぴよぴよ(生活に必要最低限の家財道具もっすね)!
2006年に『グレーゾーン金利』による過払いの返金を求める判決が出た
また、その後自己破産の数が減少する理由が発生することになります。2006年に最高裁判所において、
を求める判決が出たのです。
債務者は、それまでグレーゾーン金利と呼ばれている、高金利を支払うことを余儀なくされていました。グレーゾーン金利というのは例えば、
- 20%~29.2%
の間の金利のことです。つまり、『利息制限法』では年利20%までの金利を取っていいことになっていたのですが、『出資法』で年利29.2%まで許されていた。その間に、『グレーな金利があるじゃないか』ということで、大手金融会社もこぞってこのグレーゾーン金利を客から絞り取っていたんですね。
- 利息制限法:20%
- 出資法:29.2%
しかしこの判決によって、貸金業者は法律で定められた20%以上の利息に対して、債務者に返還しなければならなくなりました。
よくテレビCMが流れましたから、『払い過ぎた利息、返ってくるかもしれません』というフレーズを覚えている人もいるかもしれませんね。
これにより、借金に陥って困っている人が、払い過ぎた利息のお金を返金させることができるようになり、自己破産に至るまでにはならなかった、ということも減少していく理由の一つとなりました。
先ほどの個人再生のときに出ましたが、これで債務整理の選択肢は、
- 任意整理
- 特定調停
- 個人再生(民事再生)
- 過払い金請求
- 自己破産
ということになりました。
この過払い金のおかげで自己破産をした人もいるだろうし、過払い請求のおかげで借金を返せた人もいるだろうね!どちらにせよこの過払い金の問題は大きいね!
ぴよぴよ(払い過ぎていた利息っすね)!
2010年には総量規制ができた
まだあります。2010年には改正貸金業法が施工されました。この法律の一番の特徴は、『総量規制』です。総量規制とは、年収の3分の1しか借りることができなくなる、という規制です。つまり、『借り過ぎることが出来なくなった』わけですね。
そうなれば自己破産の数は減ってきますよね。そうなる前に対策を打つことで、この様な事態に陥るまでには至らなくなってきたということなんですね。
総量規制のような規制がなければ人間は止まらないからね!ブッダは、『人間の欲望は、たとえヒマラヤの山を全て金に変えても、満たされることはない。』って言ったけど、まさにその通りだね!
ぴよぴよ(際限がないっすね)!
2017年現在の現状は?
では、ここまでをまとめてみましょう。
- 1)企業倒産による失業
- 2)地価下落による住宅ローンの重圧
- 3)給与の伸び悩み
- 4)2000年10月に施工された弁護士による広告の解禁
- 5)2001年に『個人再生』という新しい債務整理の形が誕生した
- 6)2002年に『認定司法書士制度』ができ、司法書士が自己破産の代理人を務めることができるようになった
- 7)2004年に『ヤミ金融対策法』ができ、闇金融業者が淘汰された
- 8)2005年にいわゆる『新破産法』が生まれ、破産手続きの合理化と迅速化が図られるようになった
- 9)2006年に『グレーゾーン金利』による過払いの返金を求める判決が出た
- 10)2010年に改正貸金業法が施工され、『総量規制』が制定された
ちょうど、6)のあたりが自己破産のピークでしたね。ここを境に、徐々に自己破産が減少していくことになります。個人再生も含め、様々なこうしたことの積み重ねで、『合わせ技』的に自己破産者の数を減らすことに成功したと言っていいでしょう。
しかし、冒頭の推移表には、『平成28年(2016年) 64,037件』とありました。つまり、前年度よりも、1.2%増加してしまっていることが、最高裁の統計で明らかになりました。増加に転じた背景には、無担保で個人に融資する銀行のカードローン事業の急拡大があるとみられています。
それまでは、2003年のピーク時から数えて、12年連続で減少していた自己破産者なのですが、『銀行カードローン』が増加したことにより、その数が増えたと言われています。銀行カードローンは日銀の統計によると、2016年末は5兆4377億円で、5年間で1.6倍に拡大しています。
実は、銀行カードローンは前述した
なのです。つまり、年収の3分の1を超える借り入れはできないはずの総量規制の対象外ですから、年収の3分の1を超える借り入れが、『できる』のですね。これが原因の一つだと言われています。
しかし、2017年現在、今ならまだ修正は可能ですね。25万もあった自己破産の数は、それでもまだ6万台なわけです。今のうちの対策を練り、『前始末』をすることが求められています。見るべきなのは以下の記事です。
法律っていうのは抜け穴だらけだからね!例えば『合法ドラッグ』ね!法の抜け穴をついてまかり通っていたことだね!だけど結局は人間の欲望の暴走のせいで事故、事件になり、規制をかけられるんだね!
ぴよぴよ(借金に関してもそうなるっすかね)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!