自己破産すると保険や退職金などの保証金関係はどうなるの?
積立型の生命保険では、分配できる財産が手元に戻ってきますので、解約返戻金が20万円を超える場合には解約して処分されることになります。
掛け捨てタイプの生命保険は、解約したとしても解約返戻金が発生するわけではありませんので、何も問題はありません。
退職金は申立人の財産として判断されることになりますが、手続き前に受け取っているのか、今後まだ受け取る予定がないのかによって財産評価が異なってきます。
手続き前に受け取った退職金は現金や預貯金と同じものとされますので、それがキャッシュで99万円以上、または預貯金額が20万円以上であれば、超過分の金銭は債権者へ平等に分配されるため処分されてしまいます。
在職中で退職金を受け取る予定がない状態の時は、将来的な潜在的財産として評価される場合が多いでしょう。つまり、退職金の見込み額8分の1程度を財産として勘定し、裁判所へ申告することになります。
保険は掛け捨てだったら、使い捨てカイロみたいな感じだからね!積み立ては貯金みたいな感じ!扱いは違うよね!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
Contents
子ども名義の預貯金や積み立て保険について
基本的に処分される財産としては、申立人名義の財産が対象となります。
しかし、子ども名義の積み立て保険や預貯金を申立人が支払っている、または入金している場合、実質的には申立人の財産として取り扱われ処分対象となってしまいます。それどころか子供のために買ったピアノやパソコンなどの効果なものも処分対象となり、それが20万円以上の高額であれば処分されてしまうでしょう。
つまり、名義や使用者が申立人本人ではなかったとしても、申立人が購入したり契約した財産については処分対象となるのです。裏を返せば申立人名義の保険や預貯金であっても、実際に支払ったり入金していたのが配偶者などの申立本人ではなかった場合、その財産は処分対象から外される可能性があります。
例えば『名義が妻だ』と言って、夫が自己破産して車を保持しようとしたとき、それはあまり通用するシナリオではないね!夫が使っている可能性は否定できないし!
ぴよぴよ(たしかに)!
掛け捨てタイプの生命保険と積立型生命保険
生命保険では、換金できるかどうかが処分対象の分け目となります。当年分の保険料を一括で支払っているような掛け捨てタイプの生命保険は、解約したとしても解約返戻金が発生するわけではありませんので、債権者に分配できるような財産がありません。したがって途中解約する意味がありませんので、継続して契約し続けることができます。
一方解約と同時に解約返戻金が発生する積立型の生命保険では、分配できる財産が手元に戻ってきますので、解約返戻金が20万円を超える場合には解約して処分されることになります。解約返戻金はすでに支払った積立金額や運用益から手数料を差し引いたものであり、多少なりとも途中解約によって発生すると考えられます。
この時なぜ20万円なのかというと、自己破産において手元に残せる財産の目安が現金で99万円以下、日用品その他のもので時価20万円以下という目安が存在しているからです。
手元に残せる財産を自由財産と言いますが、これについては裁判所によって程度が異なる場合がありますので、自己破産に詳しい弁護士や専門家の意見をよく聞くなどの対策が必要でしょう。
なお、解約返戻金が20万円に満たない場合は、自由財産の範疇とみなされる可能性が高いと言えますので、解約する必要は生じないでしょう。
解約して例えば25万円になる保険があるなら、解約返戻金の為にそれを解約して、債権者に配当する必要があるね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
高齢者でも積立型生命保険は解約されるの?
生命保険は、
- 病気
- 障害
- 死亡時
といった将来のもしもの時に備えて加入する保険であることが一般的です。
そのため、若いうちでは解約しても新しい生命保険に加入することが比較的容易ですが、高齢者の場合には中々そうはいきません。高齢者でなかったとしても、保険加入後に慢性的な病気を患ったり障害を持ってしまった方にとっては、解約して新しい保険に加入することは容易なことではないでしょう。
しかし、自己破産手続きをする上で積立型の生命保険が処分の対象となるのは避けられることではありません。この場合、将来のために保険を継続して契約しておくために、対策を立てておく必要があります。
解約返戻金を20万円以下にする
解約返戻金を担保にすると、生命保険会社から借入ができる場合があります。これが可能かどうかは契約内容にもよりますが、解約返戻金を20万円以下にするためには、担保貸付を利用することは有効な手段であると言えるでしょう。
保険法の介入権を利用する
生命保険を解約しないために協力してくれる、親族を見つけましょう。2010年の保険法改正によって制定された新制度「介入権」とは、換価されるはずの解約返戻金を親族に負担してもらうことによって、保険の解約を免れることができる制度です。
生命保険の加入者が破産申立人の場合、生命保険金の受取人を保護するためにできた制度ではありますが、自己破産後の将来のためにも是非利用する価値のある手段だと言えます。
以上のような2通りの手段によって生命保険の解約を回避する手段は正攻法のものであり、きちんと理由があって正しい手続きをとれば何の問題もありません。多少複雑な手段ですので、不安なく手続きを終えるためにも専門家に相談するのが良いでしょう。
20万円以下であればいいわけだからね!また、介入法に関しても検討していこう!
ぴよぴよ(いこう)!
生命保険を維持させる時に注意すること
生命保険の契約維持をしたいがために注意すべきことは、大きく分けて2つあります。
まずは、解約返戻金を20万円以下に抑えようと担保貸付を行なった場合、積立年数が多いほど解約返戻金の額が大きくなります。そのため借入できる額も大きくなりますが、このお金は決して自分の好きに使ってはいけません。自己破産の手続きをとるにあたり、大きなお金の動きは裁判所で用途を必ず聞かれます。
その時、この借入金を好きに使っては、生命保険を維持させながら免責許可をもらい自己破産をする予定だったものが、解約返戻金を浪費したことによって免責不許可事由として判断され、ただの破産者となりかねません。この時の借入金は、自己破産後の当面の生活費にするか弁護士費用に充てましょう。
また、生命保険を維持させるためだからと、自己破産手続きの直前に名義人を配偶者や親族に変更してはいけません。積立型の生命保険は、途中解約により解約返戻金が発生することから申立人の財産とみなされますので、その名義変更をしては故意的な資産の隠匿だと疑われる可能性があります。
法的整備が進み、真っ当な手段で生命保険を維持できる方法はきちんとありますので、焦る必要はなく専門家の知恵を取り入れましょう。
保険はある種の貯金だからね!自己破産なんていう大事故が起きたときには、基本はその貯金から返済することは原則だね!
ぴよぴよ(たしかに)!
退職金について
退職金は申立人の財産として判断されることになりますが、手続き前に受け取っているのか、今後まだ受け取る予定がないのかによって財産評価が異なってきます。
手続き前に受け取った退職金は現金や預貯金と同じものとされますので、それがキャッシュで99万円以上、または預貯金額が20万円以上であれば、超過分の金銭は債権者へ平等に分配されるため処分されてしまいます。
しかし、在職中で退職金を受け取る予定がない状態の時は、将来的な潜在的財産として評価される場合が多いでしょう。つまり、退職金の見込み額8分の1程度を財産として勘定し、裁判所へ申告することになります。
そのため、見込み額が20万円を超える時は破産管財人が選出され、債権者に平等に分配されることになるのです。この場合、申立人は今現在受け取ってもいない退職金の見込み額を債権者に用意しなければなりませんので、その用立てに関しては弁護士などの専門家に相談するのが最善でしょう。
また補足ですが、この8分の1という基準は強制執行の差し押さえが財産の4分の1に対し、退職金を受け取るまで何年も待っていられないことから、さらにその半分となる8分の1を回収しようという評価・運用基準により実行されています。
つまり、まだ受け取っていない場合でも『将来受け取る』として、『潜在的財産』として数えるんだね!その場合は8分の1で勘定するわけだ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
自由財産の拡張
より多くの退職金を手元に残すためには、退職金が将来の生活の糧であると主張して、裁判所に自由財産の拡張を求めるしかありません。しかし、それは容易には認められるものではないということを覚悟しておきましょう。
退職金は手続き前に受け取っている場合、現金や預貯金と同じ扱いになり、破産手続き後すぐに受け取るのであれば、強制執行時に回収できる財産と同程度の4分の1が処分対象となります。将来的に受け取るが、まだ先である時には回収が困難になり、さらにその4分の1となる退職金見込み予定額の8分の1が処分対象となります。
手続き中に手元に退職金がない場合、どの場合も20万円を超えていなければ問題ありませんが、超過していると処分されてしまうでしょう。より多くの財産を残し、将来のために自己再建を考えるのであれば、自由財産の拡張は是非利用を検討してください。
人によって状況は様々だからね!ぜひとも主張したほうがいいケースもあるね!
ぴよぴよ(たしかに)!
自由財産の拡張を認められるために
自由財産の拡張は、申請したら誰もが認められるわけではありません。それにはいくつかの基準があり、基準額より超えた財産が申告者にとって必要だと認められなければ、許可されないでしょう。
自由財産拡張のための基準
- 申立人の収入獲得見込みの有無
- 申立人が高齢である
- 申立人または親族が病気・障害を患っており、医療費や介護費などでの出費が大きく経済的負担が大きい
- 最先端医療による治療など、高額医療費が嵩んでいる
- 保険解約による再加入が容易ではない
以上の条件は必要条件があるわけではなく、あくまでも自由財産が認められる目安となります。自己破産後の生活や、将来のために99万円以上の現金や20万円以上の家具家電、日用品や車などを残したいのであれば、積極的に裁判官や弁護士に相談するようにしましょう。
また、高額財産を自由財産として保持する時、自己破産の形は少額で済む同時廃止ではなく、20万円以上する管財事件の部類になります。手元に残る財産が大きくなると、比例して裁判費用も高額になりますので、どのような形が一番良いのか納得するまでよく調べて自己破産申し立てを行うようにしましょう。
自己破産では、預貯金や各種保険の取り扱いは本人名義であれば処分対象となり、本人名義でなくても申立人が貯金したり支払ったりしたものは申立人の財産として、評価・処分対象となる可能性があります。
また、生命保険は掛け捨てタイプだと解約返戻金が発生しないため解約する必要はありませんが、積立タイプだと解約返戻金が発生しますので処分の対象となり、解約返戻金は20万円を超えるのであれば超過分は債権者の分配へと処分されてしまいます。
これを回避するためには、生命保険会社の担保貸付を利用して解約返戻金を20万円以下にするか、保険法の介入法を利用して、発生するであろう解約返戻金分を親族に負担してもらいましょう。このような手段を選択する時、積立タイプの生命保険であっても、契約を維持し続けたまま自己破産することが可能になります。
また退職金に関しては、すでに受け取っている場合だと、現金または預貯金と同じ扱いになります。近いうちに受け取る予定があれば、その時の処分対象額は退職金の4分の1となり、将来的に受け取るがまだ先であれば、退職金の予想額の8分の1が処分の対象となります。
いずれの場合も、20万円を超えれば超過分は処分されてしまいますが、まだ受け取っていない退職金の場合は超過分となる金額を債権者に分配するため、申立人が用意しなければなりません。退職金は退職後の生活の安定を図るためのお金ですので、将来に残しておく必要があれば積極的に自由財産の拡張を利用していきましょう。
管財事件よりも少額管財、少額管財よりも同時廃止事件!なるべく費用も時間も負担が軽い方がいいから、そのあたりにも注意が必要だね!
ぴよぴよ(たしかに)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!