特定調停で決定した支払い義務(債務)に時効はある?
あります。特定調停をした後、その返済義務がなくなるまでにかかる時効は、10年です。この場合、消滅時効が元々5年だった場合でも、特定調停をすれば時効は『そこから数えて10年』になります。
以前は殺人罪にさえ時効があったんだからね!ほとんどのケースで時効は存在するよ!人もいつかは死んでしまうしね!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
特定調停をした後、その返済義務がなくなるまでにかかる時効
借金の時効に関しては、下記の記事、及びその中にあるリンクされた記事にたっぷりと書きました。
- 時効は何年か
- 時効の中断
- 時効の援用
- 時効援用の阻止
等、借金における時効についての情報を網羅しています。貸金業者で借金をした場合、消滅時効は5年です。個人である場合の時効期間は10年になります。
では、特定調停をした後、その返済義務がなくなるまでにかかる時効は、何年でしょうか。それは、10年です。この場合、消滅時効が元々5年だった場合でも、特定調停をすれば時効は『そこから数えて10年』になります。
時効に関しては、この『そこから数えて』というカウントの仕方が非常に重要なポイントになります。それは、『時効の中断』について上記の記事で確認すればわかることですね。
貸金業者からの借金の時効は5年だからね!だけど特定調停をすると10年に変わっちゃうよ!しかもそこから数えて!
ぴよぴよ(うーむ)!
時効援用の相対効とは
また、『時効援用の相対効』にも気を付ける必要があります。
『金銭貸借の知識とQ&A』にはこうあります。
時効援用の相対効
消滅時効を援用しても債権が絶対的に消滅するわけではありません。例えば、主債務者と連帯保証人がいる場合、連帯保証人が時効を援用しても主債務者の債務は消滅せず、主債務者は債務を弁済する義務があります。このように、時効援用の効果は相対的であり、これを時効援用の相対効と言います。
保証人がいる場合は注意が必要です。
時効援用の相対効があるから、保証人がいる場合は気を付けよう!逆もそうだよ!主債務者が援用しても、連帯保証人がしなければ弁済の義務は消えないよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
時効の中断
また、その前に先ほど言った『時効の中断』がこのケースに置いて重要です。
『金銭貸借の知識とQ&A』にはこうあります。
時効の中断
時効の中断とは、時効の進行中に一定の事由がある場合に、それまで経過していた時効の機関を白紙に戻すことをいいます。すなわち、中断のときから改めて時効の期間が計算されるということです。一定の事由には、『請求』『差し押さえ、仮差押えまたは仮処分』『承認』があります。
特定調停は、裁判所を間に入れた債務整理です。そして、そこで作成された調停調書に沿って、支払いを行っていきます。往々にして、利息をカットし、3年で返済していくことで約束は成立します。
任意整理の場合は和解案、特定調停の場合は、調停委員が間に入って調停調書、もし和解が不成立しても17条決定という決定書を出します。
任意整理の和解書の場合は、それだけでは『債務名義』とはなりません。しかし、調停調書と17条決定は、それだけで債務名義です。
債務名義
強制執行ができる公文書
下記の記事は、任意整理で支払いができなくなった場合について書いたものです。
下記の記事は、特定調停で支払いができなくなった場合について書いたものです。
支払いができなくなった場合、債権者はどういう行動を取るでしょうか。例えば任意整理の場合、せっかく和解案に合意してもらったのに支払いができなかった場合は、債務者は『期限の利益を喪失』し、一括請求を余儀なくされます。
期限の利益
債務者は、支払期日までに支払いを待ってもらう権利を持っている
特定調停も同じように、一括請求を余儀なくされますよね。それに、前述したように特定調停で作成された調停調書は債務名義ですからね。任意整理のそれよりも遥かに一括請求される可能性が高くなります。この債務名義があれば、債権者は裁判所へ申立手続きせずに強制執行を行うことが可能ですからね。
『請求』『差し押さえ、仮差押えまたは仮処分』『承認』が行われれば時効が中断されるんだから、一度でも請求されたり、訴訟されたらもう終わりだよ!リセット!
ぴよぴよ(うーむ)!
特定調停の手続きから消滅時効を迎えるというのはほぼあり得ない
つまり、
- 請求
- 差し押さえ、仮差押えまたは仮処分
- 承認
のいずれかをされれば時効は中断され、『そこから数えて10年』ということになりますから、特定調停の手続きから、債務者の支払い義務がなくなる消滅時効を迎えるというのは、ほぼあり得ないことになりますね。
また『時効援用の相対効』でも保証人について注意点を挙げましたが、時効まで逃げ切ろうとした場合でも同じことです。保証人がいる場合は、その保証人に支払い義務が回り、迷惑をかけることになりますので、時効まで逃げ切るという考え方は、ナンセンスだといえるでしょう。
もし特定調停で支払いができなくなった場合は、
- 個人再生
の選択肢を選びましょう。まだこの段階で、やれ夜逃げだとか自殺だとかを考える必要はありません。
特定調停をすれば債権者は債務名義を持ってるよね!それを使えば強制執行できるんだから、時効の中断はほぼ確実に逃れられないね!
ぴよぴよ(たしかに)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!