特定調停で出てくる『調停委員会』って何する人?
調停委員会とは、調停委員が2人と、裁判官という構成が基本ですが、決まりはありません。特定調停を申し立てると、この調停委員会が発足され、彼らが債務者と債権者の間に入って、交渉や書類作成など、様々な仕事をしてくれます。
彼らは一言でいうと、『公明正大な判断をする』為に存在します。債務者寄りにも債権者寄りにもならないように、適正な判断を下していきます。
調停委員と裁判官で、調停委員会だね!これが発足されて、彼らを中心としながら、特定調停を進めていくわけだ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
『調停委員』は『債務者と債権者の間に入る人』
特定調停との基本的な情報は下記の記事に書きました。
そこにあるように、特定調停を申し立てると、
裁判所では、調停委員が、債務者から事業の状況、今後の返済方針などについて聴取した上で、債権者の意向を聞き、残っている債務をどのように支払っていくことが経済的に合理的なのかなどについて、双方の意見を聞いて、調停が成立するように調整をしていきます。
『調停委員』という『債務者と債権者の間に入る人』が介入することになります。
この調停委員は、弁護士や元裁判官などの有識者からなり、債務者に代わって債権者との和解交渉を進めます。従って、債務者は債券者と直接交渉をすることはありません。
調停委員会とは、その調停委員が2人と、裁判官という構成が基本ですが、決まりはありません。複数以上になると、調停委員会となるわけですね。特定調停を申し立てると、この調停委員会が発足され、彼らが債務者と債権者の間に入って、様々な仕事をしてくれます。
また、下記の記事にも書いた様に、
特定調停の流れをざっと説明すると以下のようになりますが、
- 1.申し立て
- 2.第1回調停
- 3.第2回調停
- 4.調停成立
- 5.返済開始
第2回調停が行われるとき、債権者も呼び出されますが、申立人は債権者と顔を合わせることはありません。特定調停のメリットの一つは、『債権者と交渉しないで済む』ということです。自分の代わりに調停委員が交渉をしてくれるので、高い交渉力を必要としない為、その点は安心できます。
債務整理では、
- 任意整理・過払い請求=債権者相手に立ちまわる
- 個人再生・自己破産=裁判所相手に書類を通して立ちまわる
という特徴があり、前者には『交渉力』、後者には『調査力』が求められます。個人再生・自己破産の場合は、裁判所相手に書類を通して立ちまわるわけですが、調査力がなければ、きちんと必要な書類が何かを把握して、本人の状況を理解して、その状況にあった適切な対応を取れません。
過払い金請求や任意整理は『交渉力』が求められますので、高い交渉力を持っていない人にとって、特定調停で間に調停委員が介入することは、有難いことだといえます。
調停委員はとても賢い人で、信頼できる人だね!そういう人じゃなきゃ正当な判断はしづらいからね!偏っても不正があってもいけないし!
ぴよぴよ(なるへそ)!
調停委員の役割
更に具体的に調停委員の役割を言えば、
- 債権者に対して取引履歴の開示を求める
- 強制執行手続きの停止ができる
- 債務者と債権者の間に入って和解を交渉する
ということになります。
取引履歴の開示に関しては、まず最初に行うべき手続きですね。任意整理の記事でも書きましたが、弁護士を入れた任意整理の場合は、
- 受任通知の発送→業者への取引履歴の開示請求→利息制限法に基づく引き直し計算を行う→和解案の提示・交渉→和解の成立→返済の開始
ということになります。
特定調停も同じで、裁判所が選任した調停委員が業者への取引履歴の開示請求をするところから始まります。
また、強制執行については下記の記事に書きました。この手続きを停止することができるのも、調停委員ということになります。
任意整理なら弁護士がそれをやるよね!受任通知を送ったりするのもそうだし!調停委員は弁護士が任意整理でやるような仕事をやってくれるんだね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
調停委員の任命(選任)
また、調停委員の任命は、『民事調停委員及び家事調停委員規則』に則って行われています。下記PDFにはこうあります。
- 民事調停委員及び家事調停委員規則(PDF)
任命
民事調停委員及び家事調停委員は、弁護士となる資格を有する者、民事若しくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識経験を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で、人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満のものの中から、最高裁判所が任命する。ただし、特に必要がある場合においては、年齢四十年以上七十年未満の者であ ることを要しない。
欠格事由
次の各号のいずれかに該当する者は、民事調停委員又は家事調停委員に任命する ことができない。
一 禁錮以上の刑に処せられた者
二 公務員として免職の懲戒処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
三 裁判官として裁判官弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者
四 弁護士、公認会計士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、弁理士、建築士、不動産鑑定士若しくは不動産鑑定士補又は社会保険労務士として除名、登録の抹消、業務の禁止、 免許の取消し、登録の消除又は失格処分の懲戒処分を受け、当該処分に係る欠格事由に該 当する者
五 医師として医師法第七条第二項の規定により免許を 取り消され、又は歯科医師として歯科医師法第七条第二 項の規定により免許を取り消され、再免許を受けていない者
任期
民事調停委員及び家事調停委員の任期は、二年とする。
所属等
民事調停委員及び家事調停委員の所属する裁判所は、最高裁判所が定める。
この様な審査基準のもと、裁判所が調停委員を選任するということですね。
- 弁護士の資格を有する者
- 民事か家事の紛争に対して有用な専門知識を有する者
- 社会生活の上で豊富な知識経験を有する者
であり、40歳~70歳未満ということになります。また、
- 医師
- 弁護士
- 裁判官
- 公認会計士
等の立派な職業に就いていることが条件で、なおかつその職業上で、問題を起こしたことがないという優秀な人のみがこの調停委員に選任されます。
どこの業界にもエリート入るからね!映画『トップガン』でも飛行技術の高い空軍の人たちの中でも、更にトップクラスの人たちを集めて物語が展開されるよね!
ぴよぴよ(うーむ)!
『間に入る人』は『公明正大な判断をする』
個人再生では個人再生委員、自己破産では破産管財人がそれぞれ選任されます。それぞれの仕事や役割は微妙に違いますが、『間に入って公正な対処をする』という意味で、共通しています。この特定調停の場合においても同じような共通の目的で調停委員が選任され、各自、公明正大な判断のもと、公正な対応をしてくれます。
- 特定調停:調停委員
- 個人再生:個人再生委員
- 民事再生:監督委員
- 自己破産:破産管財人
ですね。
当然ですが、これら『間に入る人』は『公明正大な判断をする』のですから、債務者の味方をすることはありません。もし債務者側に問題があるとなれば、公明正大な判断の下、強制執行をかけられたり、債権者にとって利益のあるように導きます。
こうしてみると、債務整理をすると必ず間に人が入るんだね!任意整理以外だけど!
ぴよぴよ(任意整理も弁護士が入ると言えば入るっす)!
債務名義に注意
また、下記の記事に書いた様に、もし調停委員が間に入って調停調書を作成したのにも関わらず、その返済計画を怠ることがあれば、その時点で強制執行をかけられます。
裁判所を介さない任意整理での和解書は、それだけでは『債務名義』とはならず、給料等の財産をすぐに差し押さえることはできません。しかし、裁判所を介した特定調停によって作成された調停調書は、『債務名義』扱いになります。
債務名義
強制執行ができる公文書
この債務名義があれば、債権者は裁判所へ申立手続きせずに強制執行を行うことが可能です。
調停委員を間に入れる特定調停には、メリットとデメリットがあります。
特定調停にはメリットとデメリットがあるから注意が必要だよ!まあ全部にあるけどね!メリットとデメリットは!
ぴよぴよ(たしかに)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!