特定調停の流れは?
まず、特定調停の申し立てをすると、取り立てがストップします。
その後、第1回調停が行われます。そして、第2回調停が行われます。それぞれ、借金の返済状況や返済計画の合意等を行い、調停案を提示して双方が納得すれば、調停成立となります。もしここで納得できなければ、第3回調停へともつれこみます。
その後、晴れてそこで調停成立となるか、あるいはもう一度調停不成立となります。もしそこで調停不成立となれば、申立人は個人再生や自己破産を検討することになります。晴れて調停成立となれば、その返済計画に従って、返済を開始していくということになります。
申し立てて、調停を2回開いて、順調にいけばそれで終わりだね!裁判所には結果的に3回は行くことになるよ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
Contents
自分で行う特定調停の流れ(必要な書類と費用)
自分で行う特定調停の流れや、必要な書類は簡潔に以下にまとめました。その他、メリットやデメリットについてもまとめてありますので、まずはそのページをご確認ください。
特定調停の手続きに必要な書類は以下の通りです。
これらの書類を持って、『簡易裁判所』に行くのが原則です。債務整理はそれぞれ管轄が違い、個人再生や自己破産になると、地方裁判所となります。簡易裁判所は全国に438か所ありますが、そのうち債権者の住所から最も近い簡易裁判所に申し立てをすることになります。
費用に関しては、その他の債務整理と違って格安です。1社あたりの申立手数料は、収入印紙代の500円ですから、10件以上の多重債務を抱えている人であっても、1万円以下に抑えることができます。下記の記事にもこう書きました。
特定調停は、簡易裁判所で申し立てます。費用は債務整理の費用としてはバカ安で、相手がカード会社や消費者金融なら、だいたい借入先1件あたり1000円以下の切手代と印紙代だけで済むでしょう。借入先10件の多重債務者でも、総額1万円程度で済むと思います。他にかかる費用は、裁判所までの交通費と、裁判所で取らされるコピー代ぐらいでしょうか。
この費用の安さが特定調停の最大のメリットと言えますね。
何と言ってもこの値段の安さが特徴だね!何にせよ、自分でセルフでやれば費用は格安に抑えられるものなんだよね!
ぴよぴよ(たしかに)!
申し立てによって取り立てが停止する
まず、特定調停の申し立てをすると、取り立てがストップします。この流れは、その他の債務整理でも同じですね。
- 任意整理
- 個人再生
共に、弁護士に依頼をして、弁護士が受任通知を債権者に送ると、債権者は取り立て行為をすることができなくなります。まずは行われている督促や取り立て行為を停止してもらう必要があるんですね。これによって債権者は、法的な手続きに入ることを覚悟し、今まで以上に法律を意識した行動を取り始めることになります。
ですから、余計なことをして法律違反をし、不利な状況に陥らないように、行動は慎重になるということですね。ここで違法な取り立てなどをしたら損をするのは債権者ですからね。
その他の債務整理は、弁護士からの受任通知で取り立てや督促が止まるね!特定調停の場合は、申し立てをした時点で止まるっていうことだね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
第1回調停
その後、第1回調停が行われます。ここでは申立人のみが出頭して、
- 借金の返済状況
- 今後の返済の意思・見通し
などについて調停委員から質問を受けます。申立人は、第1回調停の前にも裁判所へ行き、債権者との交渉に必要な情報を集める必要があります。
第1回調停の前に一度裁判所へ行くんだね!だからトータルで3回以上は裁判所に行くことになるよね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
第2回調停
そして、第2回調停が行われます。ここでは債権者も呼び出されますが、申立人は債権者と顔を合わせることはないので安心です。特定調停のメリットの一つは、『債権者と交渉しないで済む』ということです。自分の代わりに調停委員が交渉をしてくれるので、高い交渉力を必要としない為、その点は安心できます。
債務整理では、
- 任意整理・過払い請求=債権者相手に立ちまわる
- 個人再生・自己破産=裁判所相手に書類を通して立ちまわる
という特徴があり、前者には『交渉力』、後者には『調査力』が求められます。個人再生・自己破産の場合は、裁判所相手に書類を通して立ちまわるわけですが、調査力がなければ、きちんと必要な書類が何かを把握して、本人の状況を理解して、その状況にあった適切な対応を取れません。
過払い金請求や任意整理は『交渉力』が求められますので、高い交渉力を持っていない人は、特定調停が向いていることになります。まあ、任意整理でも多くの場合は、高い交渉力を持つ弁護士に代理人を依頼するんですけどね。
しかしどの道そのようにして、自分に高い交渉力がない場合は、交渉で不利になります。特定調停はその点において、調停委員を間に入れることができる為、安心できるというわけです。
調停委員は『間に入る人』だから、この人にやってもらえば公正なジャッジをしてくれるよ!普通、間にが入ると15万円はかかるからね!それがかからないんだから安いよ!
ぴよぴよ(たしかに)!
第2回調停→第3回調停→
第2回調停では、
- 残債の確定
- 返済計画の合意
を行い、調停案を提示して双方が納得すれば、調停成立となります。もしここで納得できなければ、第3回調停へともつれこみます。その後、晴れてそこで調停成立となるか、あるいはもう一度調停不成立となります。
もしそこで調停不成立となれば、申立人は個人再生や自己破産を検討することになります。晴れて調停成立となれば、その返済計画に従って、返済を開始していくということになります。
順調にいけば、第2回調停で終わるってことだね!不成立となれば個人再生と自己破産しかないからね!債権者もそれがわかって合意しないのかな!
ぴよぴよ(うーむ)!
債務名義である『調停調書(調停条項)』と『17条決定(決定書)』
特定調停で合意した場合は、『調停条項』が作成されます。合意されなかった場合は、『17条決定(決定書)』という調書が作成されます。
調停調書(調停条項)に記載される内容は、以下のようになります。
更なる詳細は、下記の記事に書きました。
ただ、上記の記事等にも書いた様に、この『債務名義である調停調書』があれば、債権者は裁判所へ申立手続きせずに強制執行を行うことが可能です。
債務名義
強制執行の効力を持つ公文書
任意整理の和解案は債務名義ではありませんが、特定調停で作成される調停調書は債務名義扱いなので、もしこれに沿って支払いができない、返済が滞る等のことがあれば、強制執行をかけられることになるので注意が必要です。
調停調書も17条決定も、両方とも債務名義だね!裁判所で作成された書類っていうのは効力が違うからね!そういう意味でも、任意整理よりは特定調停の方が圧力がかかるよね!
ぴよぴよ(たしかに)!
特定調停のメリットとデメリット
特定調停にはメリットとデメリットがありますから、行う前に一度立ち止まって慎重に考えましょう。
『借りた金で死なないための129ヶ条 借金力』にはこうあります。
債務整理は弁護士に頼らなくても自分でじゅうぶんできる?
向き不向きはありますが、どの債務整理を選んでも、その気になれば弁護士に依頼せず自力でやることが可能です。自己破産しかり。個人版民事再生しかり。特定調停や訴訟しかり。債権者との直接交渉しかり。
しかし、モノにもよりますが、自力で債務整理するのは非常に手間と苦痛を伴います。例えば、特定調停を選んだ場合、手続きと調停本番とを含めて、家庭裁判所に計3、4回は足を運ばなければなりません。裁判所の調停室では債権者とも顔を合わさねばなりません。
(中略)
そして何よりも、何もかも自分でやろうとすると、『どの方法をとるのがベストか?』というところで道を誤ってしまいがちです。たとえば、住宅ローンの毎月の返済額だけを減らしたい人が、中途半端な知識で簡易裁判所に特定調書を申し立てたりしたら、これはもう逆効果もいいところです。
住宅ローンの毎月の返済額なんて、本当は自分で直接銀行へ出向いて、条件変更のお願いをするのがベストなのです。これを特定調停などしたら、たちまち期限の利益を喪失し、一括請求され、一括に応じされないと保証会社へ代位弁済され、早期の内に競売にかかってしまいます。毎月の負担をちょっとだけ減らすつもりが競売になるんですよ!
この記事では、『自分でやる場合は慎重に』と警鐘を鳴らしてくれています。特定調停をする理由が何かわかりませんが、任意整理ではなく特定調停にする理由をもう一度再確認し、場合によっては任意整理も検討し直しましょう。
弁護士を通して特定調停をすることもできますが、費用も掛かるので、それであればもう任意整理をしてしまった方が早いと言えます。
どんなことにもメリットとデメリットがあるからね!ただ専門家が言うように、自分でやる場合は自信がなければできないところがあるから、素人がただ安いってだけでやらないほうがいいかもね!
ぴよぴよ(たしかに)!
専門書にミス?
また、話は変わりますが、この本にはこう書いてありますね。
特定調停を選んだ場合、手続きと調停本番とを含めて、家庭裁判所に計3、4回は足を運ばなければなりません。裁判所の調停室では債権者とも顔を合わさねばなりません。
『家庭裁判所』、『債権者とも顔を合わせる』。
しかしこれはこの記事に書いたことと全く違うことが書いてあります。この記事では、『簡易裁判所』、『債権者も呼び出されますが、申立人は債権者と顔を合わせることはないので安心』と書いています。
民事調停法第3条にはこうあります。
調停事件は、特別の定めがある場合を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。
ここに出てきたのは、『簡易裁判所』と『地方裁判所』だけであり、家庭裁判所ではありません。
家庭裁判所というのは、主に家庭に関する事件の審判や調停、非行少年の審判などを行っています。例えば、夫婦間で離婚についての話し合いがまとまらないような場合には、この家庭裁判所に離婚調停の申立てをすることになります。
また、実際に裁判所の調停室で債権者と顔も合わせる必要はありません。両者が顔を合わせるのは、原則調停が成立した場合のみです。
従って、この部分に関しては、正しい情報は『3、4回裁判所に出向くはめになる』というところだけだと言えそうです。他の情報はそう大きく間違っていないので、ここだけは著者が間違って書いてしまったのかもしれません。
まあ、情報を出している人の悪気の有無に関係なく、情報は歪曲するものだからね!僕も細部で間違ったことを言っていたらごめんね!
ぴよぴよ(うーむ、親分ならいいっす)!
…。
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!