借金

特定調停の注意点とは?『払い過ぎを戻してもらう場ではない』

質問

特定調停の注意点は?

答え

特定調停は手続きと調停本番とを含めて、簡易裁判所に計3、4回は足を運ぶ必要があり、債権者の合意を得られないと調停が不成立となるので、手間と負担がかかります。

 

また、任意整理と特定調停で違うのは、『債務名義』についてです。任意整理で作成する『和解書』と違って、特定調停で作成する『調停調書』及び『17条決定』は、それだけで債務名義となります。したがって、債権者はその債務名義を所持していることから、裁判所の許可を得ずに強制執行ができますので、支払いが遅れないように注意が必要です。

 

特定調停の場は『払い過ぎを戻してもらう場ではない』ので、過払い金請求が出来ませんので注意が必要です。特定調停の場はあくまでも、

 

  • 返済計画を定める
  • 債務が存在しないことを確認する

 

ということに留められていて、『払い過ぎを戻してもらう場ではない』という解釈がなされています。更なる注意点は下記に記載しました。

 

どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!

ニワトリ

特定調停のポイントは、『安いけど手間がかかる』っていうところだね!例えば知識がある人なんかにはうってつけじゃないかな!詳しく解説するね!

ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!

 

特定調停は裁判所を通した任意整理

特定調停というのは、『裁判所を通した任意整理』です。債務整理には、

 

 

借金

 

とありますが、それぞれの債務整理の特徴を見てみましょう。

 

借金

任意整理

毎月一定の収入があり、月々の返済額さえ減らすことが出来れば自力で返済が可能な人、また、借金額が年収の1.5倍以内であるかどうかがポイント。原則として利息をカットしてもらい、3~5年の分割払いで返済していくのが相場。整理する債権者を選べる。

 

個人再生

住宅ローンを除いた負債額が5,000万円を超えない場合で、不動産や自動車などの高価な資産を手放すことなく債務整理をしたい人、あるいは自己破産の制限業種に該当したり、自己破産しても免責を得られる可能性がない人に適している。借金を5分の1~10分の1程度に減額できる可能性がある。返済は原則3年間の分割払い。整理する債権者は選べない。

 

自己破産

最低限の生活用品などを除いたすべての財産を換価して、全債権者にその債権額に応じ、公平に返済をするよう、法的な力を借りて行う手続き。財産をほとんど失う代わりに、借金がいくらあってもそれを帳消しにできる。整理する債権者は選べない。

 

ここに特定調停と過払い請求を加えるこうなります。

 

特定調停

裁判所を通した任意整理。債務者自身ではなかなか進めにくい債権者との話し合いを、調停委員が間に入って債務整理をしていく手続き。『自己破産に近い状態の苦しい多重債務者を、破産させないでなるべく返す方向で再生させる』ことがこの制度の趣旨。任意整理同様、原則として利息をカットしてもらい、3~5年の分割払いで返済していくのが相場。整理する債権者を選べる。

 

過払い請求

グレーゾーン金利を取っていた貸金業者に対し、その『過払い金』を請求する債務整理。2006年のグレーゾーン金利判決以来、2016年で10年の時効が過ぎ、過払い金返還請求のピークは過ぎた。

 

これが全ての債務整理の詳細となります。

 

特定調停は、裁判所を通した任意整理です。ですから、任意整理と同じように考えればいいんですね。『間に調停委員が入る』ということだけが違うわけです。

 

借金

特定調停は、ほとんど裁判所を通した任意整理といっても過言ではないね!ただ細かくは違うところがいくつかあるから、注意が必要だよ!

ぴよ(ふむ)!

この章のまとめ
  • 特定調停は裁判所を通した任意整理。

 

特定調停を受けられる人

ただし、特定調停は手続きと調停本番とを含めて、簡易裁判所に計3、4回は足を運ぶ必要があり、債権者の合意を得られないと調停が不成立となるので、手間と負担がかかります。その代わり、弁護士などの専門家を代理人としなくても申し立てができ、費用が安く済むとうメリットがあります。

 

借金

 

また、任意整理と特定調停で違うのは、『債務名義』についてです。それについては記事の下部にて後述します。

 

特定調停は、特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律に沿って定められています。

 

特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律第1条にはこうあります。

この法律は、支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため、民事調停法の特例として特定調停の手続を定めることにより、このような債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進することを目的とする。

 

また、第2条にはこうあります。

の法律において「特定債務者」とは、金銭債務を負っている者であって、支払不能に陥るおそれのあるもの若しくは事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるもの又は債務超過に陥るおそれのある法人をいう。

 

つまり、特定調停を受けられる人は、金銭債務を負っている者であって、

 

  • 支払不能に陥るおそれのあるもの
  • 事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるもの
  • 債務超過に陥るおそれのある法人

 

であることが条件となります。借金がない人は受けられないということですね。また先ほどグレーボックスで、『自己破産に近い状態の苦しい多重債務者を、破産させないでなるべく返す方向で再生させる』のが特定調停の目的だと言いましたが、ここに挙げられた条件を見ると、それが納得できます。

 

借金

任意整理で債権者が言うことを聞かない場合は、特定調停をするとどうにかなることがあるよ!合意を得られないと不成立となるけど、裁判所の力が働くからね!

ぴよぴよ(なるへそ)!

この章のまとめ
  • 特定調停は手続きと調停本番とを含めて、簡易裁判所に計3、4回は足を運ぶ必要があり、債権者の合意を得られないと調停が不成立となる。

 

『支払不能に陥るおそれ』があるならまずは特定調停

下記の記事に書いた様に、

 

 

自己破産は、『年収の何割の借金があるか』とか、『いくらの借金があるか』ということで受けられるかどうかが決まるわけではなく、債務者が『支払不能に陥っているかどうか』というところが最大のポイントとなります。ですから、10億円借金があっても、20億円の不動産を持っていれば自己破産を受けることはできません。それを売れば解決する話ですからね。

 

借金

 

逆に、50万円ほどの借金でも本人が支払不能だと判断されれば自己破産は認められます。実査に過去、60万円ほどの金額で自己破産が認められたケースもあります。

 

ですから、『支払不能に陥るおそれ』がある人がいるなら、その段階で特定調停をしておくことで、自己破産になることを防ぐことができるんですね。従って、どうしても特定調停によって返済計画が立てられない場合には、自己破産の申し立てをすることを検討していくことになります。

 

借金

 

借金

『支払不能に陥るおそれ』があるなら、任意整理でもいいんだけどね!特定調停でもどっちでもいいよ!

ぴよ(ふむ)!

この章のまとめ
  • 『支払不能に陥るおそれ』があるならまずは特定調停。

 

特定調停の場は『払い過ぎを戻してもらう場ではない』

この特定調停ですが、目的はあくまでも、『返済計画を定める』というところにあります。調停委員会は、返済計画のために金額変更や担保関係の変更を行うことができます。

 

借金

 

任意整理の場合、弁護士等が任意整理を始めると、受任通知を債権者に送って、取引履歴の開示を請求します。その後、

 

  • 今までに借りた金額
  • いついくら返済したのか

 

を調べ上ます。そして、その明細履歴を参考にし、利息の引き直し計算を行います。その時に、過払い金の有無などの調査も同時に行い、過払い金があるならそれを請求することになります。

 

借金

 

 

しかし、『裁判所を通した任意整理』である特定調停の場合は、その過払い金請求が出来ませんので注意が必要です。特定調停の場はあくまでも、

 

  • 返済計画を定める
  • 債務が存在しないことを確認する

 

ということに留められていて、『払い過ぎを戻してもらう場ではない』という解釈がなされています。過払い金を請求する場合は、特定調停をした後に別の手続きを踏む必要があるんですね。

 

借金

 

借金

特定調停では過払い金のチェックができないんだね!この時点ではちょっと任意整理よりも効率が悪い感じがあるね!

ぴよぴよ(たしかに)!

この章のまとめ
  • 特定調停の場は『払い過ぎを戻してもらう場ではない』ので、過払い金請求が出来ない。
  • 過払い金を請求する場合は、特定調停をした後に別の手続きを踏む必要がある。

 

『清算条項』には過払い金の請求を控えさせる記載がある?

ただし、特定調停で作られる『清算条項』を考えると、過払い金を請求することに首をかしげることになります。特定調停で合意した場合は、『調停条項』が作成されます。合意されなかった場合は、『17条決定』という調書が作成されます。17条決定は2週間以内に異議の申し立てがあると失効してしまいます。

 

借金

借金

 

調停調書に記載される『調停条項』と、17条決定で記された『調停条項案』は同じ位置づけになり、公正証書として確定判決と同等の効力があります。

 

借金

 

調停調書(調停条項)に記載される内容は、以下のようになります。

 

  • 申立人は相手に対していくらの債務があるのか
  • 相手の指定するどの金融機関に毎月いくら支払うのか
  • 延滞がいくらに達したら期限の利益喪失により一括で支払うのか。遅延損害割合は何%か
  • 完済したら債権者は請求を放棄する旨の記載
  • 上記以外の他には債権債務が存在しないことの記載

 

そして『清算条項』が記載されます。例えば、

『申立人及び相手方は、本件訴訟について本和解条項に定める他、互いに何ら債権債務のないことを確認し、今後名義の如何(いかん)を問わず、互いに金銭その他一切をしない。』

 

ということです。債務者と債権者は和解によって決定された以外には債権や債務が無いため、今後一切請求をしないという意味です。

 

つまり、『債権者が債務者に請求をしない』ではなく、『債務者も債権者に請求をしない』ということが、この『清算条項』によって約束されるわけです。

 

借金

調停調書も17条決定も、どちらも債務名義となるよ!だから債権者はそれがあるだけで、裁判所の許可を得ずに強制執行ができるから注意が必要だよ!

ぴよぴよ(うーむ)!

この章のまとめ
  • 特定調停で合意した場合は、『調停条項(調停調書)』が作成される。
  • 合意されなかった場合は、『17条決定』という調書が作成される。
  • この2つの書類は公正証書として確定判決と同等の効力がある。つまり『債務名義』となる。

 

過払い金があるということを理解していなかったら大丈夫

この清算条項があるのに、債務者は後になって過払い金を請求することは、つじつまが合いません。従って、普通に考えると特定調停の後、清算条項を記した後に過払い金を請求することはできないということになります。

 

しかし、実際には『債務者がその時点で過払い金があるということを理解していなかった』ということが認められれば、その請求が認められることになります。つまり、清算条項の部分についての合意は無効であると判断されるんですね。

 

借金

清算条項では『もうわだかまりはない』と宣言して、後で『過払い金を返金せよ』と言うのは矛盾しているということだね!だけどそれは上記の理由があれば無効となるよ!

ぴよ(ふむ)!

この章のまとめ
  • 『債務者がその時点で過払い金があるということを理解していなかった』ということが認められれば、その請求が認められる。

 

片面的債務不存在とは

任意整理の際も同じですが、特定調停の場合においても、貸金業者が取引履歴の開示を渋る場合があります。任意整理の場合、弁護士の交渉力が問われます。過払い金請求や任意整理は交渉力が求められ、個人再生や自己破産は調査力が求められます。

 

借金

 

では、特定調停の場合において、貸金業者が取引履歴の開示を断った場合どうなるかというと、裁判所は『特定調停は不成立』とみなすのではなく、借り手側に借金がないことを確認する『17条決定』を出します。

 

先ほど、『合意されなかった場合は17条決定という調書が作成される』と言いましたが、この17条決定は、『借り手側に借金がないことを確認する調書』でもあるのです。つまり、過払い金が発生しているかどうかには触れずに、借り手に借金の支払い義務がないことを証明する決定を出すんですね。

 

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これを、片面的債務不存在と言います。

 

片面的債務不存在(かためんてきさいむふそんざい)

過払い金が発生しているかどうかには触れず、債務者の債務のみが存在しないということを証明すること

 

特定調停後にスムーズに過払い金返還請求するためには、この『片面的債務不存在』の一文を調停調書に入れてもらうことが大事です。

 

片面的債務不存在があれば、『借金がゼロになった』ということを意味しますから、それだけでうれしくなるかもしれませんが、この場合、往々にして『過払い金が発生している』可能性があるわけですので、その点を見逃さないようにするべきですね。

 

借金

17条決定は、不成立だけじゃなく、『もう借金がない』という証拠でもあるわけだね!片面的債務不存在は、『とりあえず借金だけはもうないようだね』って感じの証明だね!

ぴよぴよ(なるへそ)!

この章のまとめ
  • 17条決定は、『借り手側に借金がないことを確認する調書』でもある。
  • 片面的債務不存在とは、過払い金が発生しているかどうかには触れず、債務者の債務のみが存在しないということを証明すること。

 

債務名義である調停調書

さて、前述した『任意整理と特定調停の違い』についてですが、『債務名義』のことについて少しふれました。

 

裁判所を介さない任意整理での和解書は、それだけでは『債務名義』とはならず、給料等の財産をすぐに差し押さえることはできません。しかし、裁判所を介した特定調停によって作成された調停調書は、『債務名義』扱いになります。

 

 

従って、この『債務名義である調停調書』があれば、債権者は裁判所へ申立手続きせずに強制執行を行うことが可能です。任意整理において支払いができなくなった場合については上記の記事に書きましたが、特定調停の場合はこの強制執行のスピードが早く、任意整理よりも切羽詰まった状態で返済をすることになることを強いられるので、緊張感があります。

 

ですから、債務整理の中で一番人気なのは、手軽であり、債権者を選べ、強制的な和解ではない任意整理だということがわかりますね。

 

 

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任意整理で作成する和解書は債務名義じゃないからね!だから滞ったら、債権者は一度訴訟を起こすなりしないと、強制執行ができないんだね!

ぴよぴよ(うーむ)!

この章のまとめ
  • 『債務名義である調停調書』があれば、債権者は裁判所へ申立手続きせずに強制執行を行うことが可能。

 

 

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