被災ローン減免制度は特定調停で行う必要があるの?
被災ローン減免制度は特定調停を行うことが推奨されます。『登録支援専門家弁護士』と呼ばれる弁護士のサポートを受けることができるからですね。この制度を利用することで、弁護士費用は無料に抑えることができます。無料で弁護士による書類や手続きに関するアドバイスを受けることが可能です。
任意整理だと弁護士に依頼するけど、特定調停ならフリーで入るからね!そして『登録支援専門家弁護士』と呼ばれる弁護士のサポートを受けるわけだ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
Contents
震災大国日本
この国は震災大国であり、大陸はあまり地震がありません。それは陸の構造が関係していて、島国である日本は、周りの海底にあるプレートがずれたりすることで地震が発生しやすい場所にあるのです。
しかし、中国等の大陸は、周りにそういう海底がなく、プレートのずれが生じにくい為日本と比べて地震が圧倒的に少ないんです。ですから、日本では考えられないような建築物もたくさんあるんですね。
こんなに縦に長くビルを作って、もし地震でも来たら一巻の終わりだ、と日本人が思ってしまうような建築物が多いんです。それは一言、『地震が全然ない』という事実があるからにほかなりません。
アメリカには大きなハリケーンがよく発生しています。この世界は、天災が発生しやすい場所とそうでない場所があり、日本はそのうち、地震がよく発生しやすい場所に存在しているということなんですね。逆に日本ではアメリカのような大型ハリケーンは発生しません。
そんな中、2011年3月11日の東日本大震災が起きました。日本の歴史で考えてもトップクラスの地震で、多くの人の命が失われました。私の祖母は88歳で、あらゆる体験をしてきていますが、
- 戦争
- あさま山荘事件
- 三島由紀夫自決事件
- ロッキード事件
- 阪神大震災
等、様々なことがあった中で、最も鮮烈に記憶に残っているのは、この東日本大震災だと言いました。彼女がもう少しだけ年上で、男であった場合、もしかしたら戦争だと言ったかもしれません。しかし、当時子供であり、女性であっても戦争を体験したことは紛れもない事実。そんな祖母が、それらを含めてこの東日本大震災が最も忘れられない記憶となったというのですから、とてつもない大事故だったということがわかります。
ハリケーンが多い国もあれば、水不足に悩まされ、川で水をくむことを強いられる場所もある。そして日本は、震災大国なんだよね!
ぴよぴよ(うーむ)!
震災によってローンの返済に困窮する人を救うために
この震災によって、震災前に組んだ住宅ローンなどの借り入れを返済できなくなった被災者が出ました。そこで国は、そんな被災者が、一定の要件のもと、債務を免除又は減額を受けることができる制度を設けるべきだと考えました。
それが、『被災ローン減免制度』です。これによって、被災者は、震災前に組んだ住宅ローンや自動車ローン等の支払いができなくなった場合、その債務を免除、あるいは減額できるようになりました。更にメリットがあります。
この震災大国日本に、『被災ローン減免制度』のような制度があることは心強いよね!でも、これができたのは東日本大震災が起きた後!それだけの事件だったんだね!
ぴよぴよ(うーーーーむ)!
信用情報機関に登録されない
通常、この様に債務を減らしたり免除することがあれば、信用情報機関に登録されます。ブラックリスト扱いされるんですね。
- 減らす:任意整理、個人再生
- 帳消し:自己破産
ですから、抱えている借金をこのようにして整理したら、債権者としても損害を被るわけなので、これ以上債権者側に不利益が生じないように、信用情報機関に登録して、『前始末』をするわけです。しかし、この被災ローン減免制度は、信用情報機関に登録されないんですね。
債務整理は普通、信用情報機関に登録されるけどね!ブラックリストに載るわけだ!そんな名前のリストはないけど!
ぴよぴよ(それっぽいリストっすね)!
保証人に対して請求されない
また、保証人に対しても請求がいきません。下記の記事に書いた様に、債務整理をすると保証人に請求がいきます。ですから、例えば自己破産をする場合は、保証人も同時に自己破産をすることが求められる場合もあるんですね。しかし、被災ローン減免制度を受けても保証人には請求がいきません。
保証人にも請求がいかないし、信用情報機関にも登録されないなんて、ほぼ債務整理ではないってことだね!
ぴよぴよ(整理は整理っすけどね)!
最大500万円を手元に残したまま、債務の免除を受けられる
また、現金を500万円手元に残したまま債務の免除を受けられるのはとても大きなメリットです。自己破産であれば、手元に残せるのは99万円以下の現金だけですからね。また、個人再生であれば、それだけのお金を持っていれば、債権者に返済するお金の金額も上がってしまいます。
個人再生なら清算価値保障の原則があるから、500万円持っているなら、債権者に支払う額も500万円以上になるからね!
ぴよぴよ(すごいっすね)!
自己破産を防ぐことができる
震災を受けると、二重ローンに苦しむことになります。最初からあったローンと、破損したものを修復させるために新たにかかるローンのことです。ただでさえ大変だったローンの支払いに、絶望的な震災がやってきて、とどめをさすようにそこに新たにかかる支払いが出る。普通、そういう状態になればもうお手上げ状態ですよね。
自己破産をすることも確かに選択肢のうちの一つですが、『それじゃああんまりだ』ということで、被災ローン減免制度が設けられました。これによって、被災者が自己破産をすることを防ぐことができます。
二重ローンはきついよね!ただでさえ精神的にガタが来ているのにさ!追い打ちをかけるように金銭的な面で現実に直面させられるって、あんまりだよね!
ぴよぴよ(ありがたいっす)!
自殺を防ぐことができる
まず、下記の記事をご覧ください。
自殺するくらいなら夜逃げです。そして夜逃げするくらいなら自己破産をしたほうがいい。ですから、自殺は究極にして最後の選択肢。できるなら全ての人間がこの選択肢を選ぶことのないようにしなければなりません。
こういう言葉があります。
出来ることなら、最初から人間にこの選択肢が与えられていない方がよかったんですね。震災の痛みは、震災を受けた者にしかわかりません。
イチローも、震災のときに、その復興を応援する形を取った野球界に対し、
と言いましたが、本当に被災者のことを考えた時、おのずとそういう考えに達することになります。私も当時、東京の浅草で地震を体感しました。ビルの9Fにいた私は、体感震度、およそ震度6ほどだったと言えるでしょう。間違いなく生まれてから最も大きな地震であり、死を覚悟しました。
私はその時、普段ほとんど連絡を取らない身内に連絡をして、安否確認をしました。すると電話に出たその相手は、あっけらかんとした口調でこう言いました。
え?そんなだった?
まるで、私が大げさに騒いでいるかのようにも聞こえるその他人事で話す彼の口調は、死すら覚悟してセンシティブになっている私の感情を軽く逆撫でしました。
私ですらこうなのです。東北で被災した人々、実際に目の前で自分の知っている人の命が失われるのを目の当たりにした人は、被災しなかった人のあっけらかんとした態度が、あまりにも非情であるとさえ、感じたことでしょう。
自殺を選択しても、誰も責めることができないかもしれません。それくらいの大きな大きな事故だったのです。この被災ローン減免制度は、少しでもそうした被災者の心をケアすることができます。それは、大きな大きなメリットだと言えるでしょう。
お金に困って、多くの知人も死んで、家族も亡くなったということになると、もう生きてても仕方がない…。そう思う人はいるよね。だけど、生きていかなければならないんだ!
ぴよぴよ(うぅ…)!
被災ローン減免制度を受けるための条件
さて、その被災ローン減免制度ですが、受けるための条件があります。
- 地震の被害によって『ローンが返せない』あるいは『返せなくなる見通し』になった
- 世帯の年収が730万円未満
- ローンの返済額と、新たに借りる家の家賃などの負担の総額が年収の40%以上
ということですね。これが基本的な考え方であり、更にここに世帯の人数や世帯主の年齢、ローンの残高などが考慮されることになります。
この被災ローン減免制度は特定調停を行うことが推奨されます。『登録支援専門家弁護士』と呼ばれる弁護士のサポートを受けることができるからですね。この制度を利用することで、弁護士費用は無料に抑えることができます。無料で弁護士による書類や手続きに関するアドバイスを受けることが可能です。
任意整理は弁護士を用意する債務整理。特定調停は自力で行う債務整理。だから、特定調停ならその代わりに『登録支援専門家弁護士』のサポートを受けられるんだね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
手続きの流れ
手続きの流れは、下記『自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関』のHPを見れば一発でわかります。
これが簡単にまとめた流れになります。詳細はこのページで確認してください。
6.特定調停の申立の部分に、
債務整理の対象にしようとする全ての借入先から同意が得られた場合、簡易裁判所へ特定調停を申し立てます(申立費用は債務者のご負担となります)。
(注)「登録支援専門家」は特定調停申立書類の作成等の支援はできますが、原則として、特定調停の場に出頭することはできず、債務者ご自身に出頭いただく必要があります。
とあるように、この登録支援専門家は、
- 弁護士
- 公認会計士
- 税理士
- 不動産鑑定士
のうち、誰がなるかわかりませんので、基本的には特定調停の場に出頭することはできず、債務者自身で出頭する必要があります。また、これらにかかる弁護士費用は無料ですが、申立費用は債務者の負担となります。
普通、弁護士であれば代理人として機能することはできるんだけど、この場合は債務者自身が出頭する必要があるんだね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
被災ローン減免制度の条件その2
また厳密に言うと、この被災ローン減免制度はまだ条件があります。それが以下の通りです。
対象債権者にとっても経済的な合理性が期待されること
債務者だけでなく、債権者にも利益がなければ平等ではありません。ですから、この減免制度を受けることによって、債務者が『債権者に引き続き支払いが可能になる』という事実が存在しなければなりません。
それだけ減額したから、残りの分はしっかり払おう。
ということですね。その約束があってはじめてこの制度を受けられます。
『債権者に引き続き支払いが可能になる』のであれば、この制度を受けられるってことだね!債権者側の立場も考えているってことだね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
個人事業主の場合は事業再建の可能性があること
上記に記載した通り、この制度を受ける場合には、『受けた後に残りの支払いをしてもらう』ことが条件です。ですから個人事業主の場合は、その継続する事業に、
- 収益性
- 将来性
があると見込まれる必要があります。
減額してもそれらが見込まれない場合は、どの道支払うことができません。とういことは、自己破産をするしかないということですから、これを許可しても意味が無いんですね。
この制度を受けるか、自己破産をするかっていうことだね!自己破産をするしかないという状況にある場合は、これを行ってもあまり意味はないからね!
ぴよぴよ(たしかに)!
反社会的勢力ではなく、そのおそれもないこと
被災ローン減免制度は、暴力団等の反社会的勢力の援助をしません。
これは当然だよね!これを許したら反社会的勢力の存在をバックアップすることになるんだから!
ぴよぴよ(罪を憎んで人を憎まず)!
破産法第252条1項に規定される免責不許可事由がないこと
破産法第252条1項にはこうあります。
裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
一 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
二 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
四 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
五 破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
六 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
七 虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。
八 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
九 不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
これらの内容に抵触している場合は、自己破産の場合、免責不許可事由となります。つまり、自己破産を受けられないということですね。この考え方が、被災ローン減免制度でも当てはまることになります。
これは破産法っていうぐらいだから、自己破産のときに軸にする法律だね!自己破産でこの法律に反する場合は、自己破産が認められなかったり、詐欺破産罪として罪に問われるよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!