任意整理を依頼して弁護士に断られることはあるの?
あります。往々にしてそれは、債務者が弁護士に非協力的である場合や、単純に個人再生や自己破産の方が適している場合などが挙げられます。
ほかの債務整理の方が向いていると思えば、任意整理を断られるよね!だけどその場合は個人再生や自己破産を推奨してくれるはずだから、指示に従う方がいいよ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
Contents
債務者が弁護士に非協力的である
任意整理を弁護士に依頼して、弁護士にそれを断られる場合は、どんな理由が考えられるでしょうか。それは、下記の記事が参考になります。
まずは、それらでも書きましたが、任意整理に限らず、自己破産手続きにおいても弁護士や司法書士に依頼したとき、途中で相手がその仕事を辞任することがあります。それは、債務者が弁護士に非協力的である場合ですね。
- 弁護士が指示した書類を依頼人が用意しない
- 依頼人が連絡が取れない状態にある
- 依頼人が報酬を支払わない
ということでも、非協力的であると判断され、辞任される可能性があります。
弁護士の指示を依頼人が守らない場合は、弁護士はその依頼を断ることがあるわけです。
また、記事にも書いた様に、任意整理というのは3~5年で分割払いしていく債務整理であり、稀に7年が認められることもありますが、もし5年や7年といった長期返済でも、月々の支払いが難しいという計算が行われた場合は、個人再生や自己破産をするしかありません。それなのに、
いや、個人再生や自己破産をするのは嫌だ。
などと言って弁護士の言うことを聞かない場合は、これまた依頼を断る結果に繋がる可能性があります。
まず第一に考えられるのはこれだね!弁護士は味方なのに、まるで敵視するようなぞんざいな扱い方をするのであれば、足並みそろえて一緒に交渉をしていくことはできないよ1
ぴよぴよ(たしかに)!
単純に個人再生や自己破産の方が適している場合
例えば、借金が500万円ある場合、任意整理をして利息をカットしてもらい、元金だけを5年で返済していくことになったとしましょう。任意整理は基本的に3年で返済するものですから、5年でも十分譲歩しています。ですから、ここでは7年という時間を考えないようにして計算します。
計算
500万円÷60ヵ月=83,333円(月々の支払い)
そして弁護士費用を分割して払った場合、ここにそれがプラスされますから、大目に見て大体月に9万円ほど支払うことになります。
つまり、実に5年間、9万円の支払いをし続けることになるわけですが、もしこの返済ができないということになる場合は、個人再生や自己破産をするしかありません。
個人再生になると、借金を5分の1程度まで減らすことが出来ます。
具体的に:
住宅ローンを除く借金総額が5000万円を超えない個人再生の場合の返済額についての下限額は、以下のとおりである。
- 債務総額が100万円未満の場合:債務総額
- 債務総額が100万円以上500万円以下の場合:100万円
- 債務総額が500万円を超え1500万円以下の場合:5分の1
- 債務総額が1500万円を超え3000万円以下の場合:10分の1
返済しなければならない金額
100万円未満 | 100万円以上500万円以下 | 500万円を超え1500万円以下 | 1500万円を超え3000万円以下 |
---|---|---|---|
債務総額 | ¥100万 | 5分の1 | 10分の1 |
つまりこの場合であれば、500万円→100万円に減額することができます。これを3年で返済していくのが相場ですから、
計算
100万円÷36ヵ月=27,777円
で、月々の支払いをおよそ3万円に減額することができ、しかも5年→3年に減ります。ですから個人再生の方がいいですよね。また、自己破産であれば借金はすべて帳消しになりますから、一銭も払う必要がありません。
ただ個人再生にもデメリットはあるから、それをきちんと確認してからにした方がいいね!とにかく一度よく考えてから手続きをしよう!
ぴよぴよ(しよう)!
個人再生や自己破産のデメリット
ただ、そんな個人再生や自己破産にも当然条件やデメリットがあります。任意整理は借金の一部だけを整理することができますが、個人再生や自己破産ではそれができません。全ての債務が対象になります。
また、自己破産であれば、
- 99万円以下の現金
- 換価20万円以下のもの
- 生活に必要最低限の家財道具
以外の財産は全て処分の対象になります。
ですから、中には
どうしても個人再生や自己破産は行いたくない。
と思う人もいるかもしれません。しかし、どんな理由にせよどう考えても任意整理が無理なのにそれを主張するのであれば、弁護士はお手上げということになり、依頼を断る結果になるでしょう。
個人再生や自己破産では全ての債務が対象となるわけだから、その債務が有担保ローンであったり、保証人がいる場合でも関係ないよ!個人再生には『住宅ローン特則』があるけどね!
ぴよぴよ(担保が引き揚げられるっす)!
過払い金請求のつまみ食いという問題
また、弁護士の中には、『過払い金の請求が出来ず、大した報酬にならない』という理由で依頼を断る人もいるかもしれません。弁護士の料金体系は相場があってないようなものですから、
- 分割払い対応
- 着手金無料
等、様々なシステムを取っているわけです。その中で、着手金無料というシステムを取っている弁護士事務所の場合、つまり、
- 着手金=整理した会社1社につき2~4万円(0円の場合もある)
- 成功報酬=整理した会社1社につき2~4万円
- 減額報酬=減額した負債額の1割
- 事務所経費=2万円程度
弁護士事務所の料金
着手金 | 成功報酬 | 減額報酬 | 事務所経費 |
---|---|---|---|
会社1社につき2~4万円 (0円の場合もある) |
会社1社につき2~4万円 | 減額した負債額の1割 | 2万円程度 |
この場合の一番上がなくなるわけですから、その他の事務所と違って、大きく損をすることになります。もし、整理する会社が5社で、着手金が4万円だった場合は、
計算
5社×4万円=20万円
で、着手金を取っている会社と比べ、20万円も少ないわけですからね。この着手金を無料で対応するということは、何か他の部分でカバーする計算が働いている場合があるわけです。そのうちの一つが、過払い金ということですね。上の弁護士報酬の相場に付け加えると、
- 着手金=整理した会社1社につき2~4万円(0円の場合もある)
- 成功報酬=整理した会社1社につき2~4万円
- 減額報酬=減額した負債額の1割
- 事務所経費=2万円程度
- 過払い報酬=15~20%
過払い金がある場合
着手金 | 成功報酬 | 減額報酬 | 事務所経費 | 過払い報酬 |
---|---|---|---|---|
会社1社につき2~4万円 (0円の場合もある) |
会社1社につき2~4万円 | 減額した負債額の1割 | 2万円程度 | 15~20% |
ということになります。つまり、もし100万円の過払い金があり、報酬が20%だとしたら、
計算
100万円×20%=20万円
で、20万円の収入になるわけです。ですから、着手金を無料にしてもここでその穴をカバーできる計算をしている可能性があるわけです。もし、そういう依頼した弁護士がそういうシステムを取っている事務所だった場合で、過払い金が見込めない場合、もしかしたら
採算が合わない。
として、依頼を断られるかもしれません。過払い金に関する問題は、下記の記事に書きました。
まあでも、そのような自分勝手な理由で仕事を断るような人とは、むしろこっちから仕事の願い下げをした方がいいよね!
ぴよぴよ(たしかに)!
債務者が任意整理の条件を満たしていない場合
また単純に、債務者が任意整理の条件を満たしていないということも、任意整理を断られる理由になるでしょう。
任意整理
毎月一定の収入があり、月々の返済額さえ減らすことが出来れば自力で返済が可能な人、また、借金額が年収の1.5倍以内であるかどうかがポイント。3~5年の分割払いで返済していくのが相場。
つまり、
- 毎月一定の収入がある
- 借金額が年収の1.5倍以内である
という最低条件を満たしていなければ、任意整理を断られることになります。ですから、先ほど計算した『500万円の借金』という状態がある場合、
計算
500万円÷1.5=333.3万円
で、年収333.3万円なければいけません。この金額ピッタリということではありませんが、これと比べて著しく収入が低い場合は、任意整理の対象外ということになるでしょう。
個人再生や自己破産が向いているという状況と同じように、任意整理の条件を満たしていない場合という場合も、断られることになるね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
弁護士任せにしないことが大切
最後に、『借りた金で死なないための129ヶ条 借金力』から以下の記事を抜粋して考えていきましょう。
借金の相談相手と言えば、まず真っ先に弁護士が思い浮かびます。これは確かに正解です。しかし100%唯一の正解であるとは言えません。(中略)しかし時として、この『法律的に』『依頼者の利益を』『代理人として』というのが、本人の意向とかけ離れた方向に進んでしまう場合があります。いくつか例をあげましょう。
例1)総額400万円の多重債務で悩んでいたAさん。Aさんは月収30万円のサラリーマンで、生活費が毎月23万円かかっていて、サラ金の返済が毎月20万円にも及んでいたので、もはや自転車操業に頼らなければ返済できない状況にあった。このまま約定どおりに返そうとしたら、借金が雪だるま式に増えてしまうことが目に見えている…。
借金に困り果てたAさんは、弁護士に相談した。Aさんは、『任意整理』で利息を減免してもらって、元金を毎月7万円以内に収まるようにして返済したいと申し出た。実際、それは可能だと緒mを荒れた。利息制限法引き直しで、元金が250万円程度に減る可能性があったので、7万円×3年間の分割払いに仕切り直してもらう余地は十分にあった。
しかしその3年間、ギリギリの苦しい生活を強いられることは仕方ない。そこで弁護士は、Aさんに少しでも早く楽になってもらおうと、自己破産を勧めた。Aさんの場合、真面目な理由での借金なので、自己破産しても免責は無事に下りるだろう。免責が下りれば、Aさんは晴れて無借金になる。またAさんの勤め先への悪影響もないと思われる。こんなに便利な救済制度があるのだから、利用しない手はない。自己破産がAさんにとって一番『経済的利益』につながりますよ、と。
結局Aさんは、弁護士の強い説得に負けて、自己破産を選択した。今では少し後悔している。たとえ不合理な選択だと思われても、本当は任意整理で、借りた金を最低限でも返したかった…。
弁護士に任意整理を依頼して断られる理由は色々ですが、もしかしたらこういう風に、弁護士の早とちり、あるいは余計なお世話で、債務者が首をかしげざるを得ない結果に誘導されることもあるんですね。
任意整理をする際は、弁護士任せにせず、自分である程度しっかりと意向を固めて、それから整理に臨むという姿勢が望ましいと言えそうです。
『断られる』とか『弁護士』というキーワードを聞くと、どうしても相手の方が目上であり、有識者であるように見えるけど、実際には相手の方が未熟という場合もあるよ!
ぴよぴよ(うーむ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!