任意整理の基準となる全国統一基準とは?
任意整理をする際に弁護士会が定めた『最低限のルール』です。この原則があれば、倫理から大きくそれた行為が行われることは激減します。
なんでも原則があるかないかでは雲泥の差があるからね!それから逸れれば逸れるほど罪悪感を感じるから、人間の欲望の歯止めになるんだ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
Contents
任意整理を断る債権者もいる
弁護士に依頼して任意整理をするといっても、様々な状況が考えられます。弁護士は山ほどいますからね。債務者も山ほどいます。債権者も山ほどいます。すると必然的に任意整理の数も山ほどあるということになります。
- 債務額
- 債務者の態度
- 債権者の考え方
- 弁護士のやり方
これらそれぞれの要素が重なり合えば、行われる任意整理の内容も全く異なってきますね。すぐに和解出来るケースもあれば、複雑化してしまうケースもあるでしょう。
しかし、任意整理は文字通り『任意』ですからね。裁判所を介さずに、お互いの話し合いで交渉する債務整理です。ですから、基本的には当事者間で話し合われる内容は自由で、強制的に守らなければならないルールはないんですね。
ですから任意整理を断る債権者もいるわけです。そんな場合には、特定調停に出ることもあるわけですね。特定調停とは、裁判所を介する任意整理のような位置づけです。裁判所を納得させる和解案を作ることができれば、裁判所が債権者にそれを通達し、債権者は往々にして、それに合意しなければなりません。手間がかかるかわりに、ある程度の強制力を持つことができるわけですね。
もちろんその場合、債権者にとっての利益も考えます。債務者がそこで約束した支払い、例えば36ヵ月の分割払いの約束をしておいて、それを怠るようなことがあれば、債務者は『期限の利益喪失』を余儀なくされます。
期限の利益
債務者は、支払期日までに支払いを待ってもらう権利を持っている
つまり、分割払いというのは本来『支払を待ってもらっている』わけで、本来は一括で支払わなければなりません。分割払いによって債務者は期限の利益を得ているわけですが、もし支払いを滞らせたら、この期限の利益を喪失する、ということを記載するわけです。詳しくは下記の記事に書きました。
つまり、約束を破った時点で一括返済する必要があるわけですね。
特定調停をしても不服申し立てをすることはできるけど、やっぱり裁判所を通すということで、債務名義(一括請求できる権利)も得られるし、合意率は高くなるよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
全国統一基準は最低限のルール
まあこのようにして、特定調停の場合は裁判所の力を借りれますが、任意整理は裁判所を介さない債務整理で、任意で行われるわけですから、強制的に守らなければならないルールはないということが言えるわけですね。
しかし、いくらルールがないと言ってもやはり『最低限のルール』はなければ秩序が保てません。そこで、『全国統一基準』という基準を設け、弁護士たちはそれを基本軸にして任意整理を行っているんですね。
こうした最低限のルールがあるとないのとでは、全然違うからね!信号を守る原則があれば、誰もいないところで渡ろうとしても罪悪感が芽生えるね!ああやって人間の心理に影響を与えるよ!
ぴよぴよ(うーむ)!
基準1:取引経過の開示
基準1:取引経過の開示
取引経過の開示は、金融庁の事務ガイドラインにも明記されており監督官庁からも業者に対し徹底することが指導されている。
まず、弁護士等が任意整理を始めると、債権者に受任通知を送ります。これは委任契約をしたその日に行うわけですね。そしてその後、取引履歴の開示を請求します。詳細は下記の記事に書きました。
もしそこで取引履歴の開示を拒むような債権者がいるなら、それはちょっと怪しいですね。過払い金等があるかもしれません。
にも書きましたが、『クレジット/ローン業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』にはこうあります。
貸金業者にとっていちばん重要な法律はこれまで、貸出上限金利を規定する出資法と過度な営業行為を規制する貸金業規制法でした。しかし近年、出資法と利息制限法との金利差(グレーゾーン金利)で生じた返済金に対する『過払い金請求』が相次ぎ、貸金業者の経営を圧迫していました。
つまりこの過払い金請求というビジネスを通してのそれぞれの感想は、
- 債務者=助かった
- 弁護士=儲かった
- 債権者=うんざり
ということですね。しかし、本にはこうもあります。
過払い金請求は、貸し付けた金が返還額より大きい場合には債権を一部放棄して変換し、差額を返還する方法がとられます。完済者には利息制限法で再計算し変換します。過払い金請求には従って、請求を見越した準備金と債権放棄による貸倒引当金の両方を毎年積み立てておく必要があります。
過払い金請求の時効は、多くの判例から諸説ありますが、最後に完済したときから10年というのが定説になっています。しかし利用者は数年かかって返済し、また借りて返す人も少なくないので、業者は絶えず巨額の引当金を積み増すことに追われます。
過払い金請求の時効は最後に完済したときから10年ですので、グレーゾーン金利が横行していた2006年前後の時代に比べれば、ここで抵抗する業者も少なくなったでしょう。
2018年を迎えた今、過払い金はもうほとんどなくなってきているけどね!時効が10年だから!
ぴよぴよ(たしかに)!
基準2:残元本の確定
基準2:残元本の確定
利息制限法の利率によって元本充当計算を行い債権額を確定すること。確定時は債務者の最終取引日を基準とする。
利息の引き直し計算ですね。これも詳細は下記の記事に書きました。
利息の引き直し計算を行えば、過払い金の有無等もわかります。つまり上で説明しましたが、実際にはこの調査のときに、『払い過ぎている利息』が発覚する形になります。
- 取引履歴の開示→利息の引き直し計算
で、この利息の引き直し計算の際に発覚するんですね。計算をして過払い金がなければ何も問題ありません。返金してもらうお金はありませんので、弁護士は、将来利息をカットしてもらい、元金だけを分割して払っていくように交渉します。
過払い金はピークを過ぎたけど、利息の引き直し計算をすると、もしかしたらグレーゾーン金利とは別の意味での過払い金があるかもしれないからね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
基準3:和解案の提示(遅延損害金と将来利息はつけない
基準3:和解案の提示(遅延損害金と将来利息はつけない
和解案の提示にあたっては、それまでの遅延損害金、並びに将来利息は付けないこと。債務者は、すでにこれまでの支払が不可能となり、弁護士に任意整理を依頼してきたものであり、担当弁護士としては、債務者の生活を点検し、無駄な出費を切り詰めて原資を確保し和解案を提案するものであり、この残元本にそれまでの遅延損害金、並びに将来利息を加算することは弁済計画を困難とならしめる。したがって、支払については、原則として遅延損害金並びに将来の利息を付けない。
上記で『弁護士は、将来利息をカットしてもらい、元金だけを分割して払っていくように交渉する』と書きましたが、それは実際にはこの段階で行う交渉ですね。将来利息や遅延損害金のカットを求める交渉をするのです。
つまり、
- 基準1:取引経過の開示
- 基準2:残元本の確定
- 基準3:和解案の提示(遅延損害金と将来利息はつけない)
といった統一基準が存在するということですね。原則としては、これを基準にして弁護士等は債権者と交渉することになります。ちなみにこの統一基準は、司法書士による任意整理の統一基準においても同じです。
遅延損害金と将来利息はつけないことが約束されるだけで債務者にとっては全然違うね!だけど、『経過利息』に関しては約束されないから、支払う必要がある利息は出てくるかもしれないね!
ぴよぴよ(経過利息=受任通知から和解成立までにかかった利息)!
弁護士三会とは
また、東京には『弁護士三会』というものがあり、東京の弁護士はこのいずれかに属しています。それが、
- 東京弁護士会
- 第一東京弁護士会
- 第二東京弁護士会
ですね。この弁護士三会でも定めている統一基準は、以上の3つです。また、その他にも三会統一で定められた基準があります。
- クレジットカードによるショッピングの債務にも利息制限法の利率を適用する
の記事でも書いた様に、クレジットカードのショッピング枠は、借金ではなく『立て替え』です。ですから、それを返済するときにかかるお金は『利息』ではなく 『手数料』と呼んでいます。
これは、利息制限法の適用外なんですね。そのため、弁護士三会では、ショッピングの立替金に関しても貸付金と同様に扱うよう定められています。
- 保証会社からの求償にも利息制限法の利率を適用する
保証会社からの求償に関してもショッピング枠と同じように用います。借金の返済補保証会社が肩代わりした場合、それは貸付ではなく『求償』となりますので、利息制限法の適用が難しいところです。従って、弁護士三会の基準では、この求償の際に保証会社が求めてくる保険料や手数料も、『利息』とみなすよう定められています。
色々とこうして最低限のルールが定められているから、みんなそれに則って仕事をすることになるよ!人間には何かとルールが必要なんだね!
ぴよぴよ(うーむ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!