過払金返還請求のつまみ食いってなに?
過払い金返還請求は、利益が大きいビジネスです。そのため、弁護士の中に『過払い金だけを引き受ける』という、『つまみ食い』のようなことをする者が現れました。
お金があるとろこには、愚かな人間がたくさん集まるのが世の常だね!これはもうはるか昔からずっと、そして今後も未来永劫、人がいる限りそうじゃないかな!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
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過払い金に群がった拝金的な弁護士
- 日本弁護士連合会には、『債務整理事件処理の規律を定める規程』が定められています。
- 債務整理事件処理の規律を定める規程(PDF)
第一条にはこうあります。
債務整理事件について、一部の弁護士(弁護士法人を含む。第七条を除き、以下同じ。)によって不適切な勧誘、受任及び法律事務処理並びに不適正かつ不当な額の弁護士報酬の請求又は受領がなされているとの批判があることにかんがみ、臨時の措置として、債務整理事件の勧誘、受任及び法律事務処理に関して弁護士が遵守すべき事項を定めるとともに、主として過払金返還請求事件における弁護士報酬の額を適正化し、もって弁護士に対する国民の信頼の確保及び依頼者の利益の擁護を図ることを目的とする
つまり、『過払い金が儲かる』ということで、過払い金の請求だけを目的とする弁護士にムチを打ったという形ですね。
にも書いた様に、過払い金の場合は、15~20%程度の報酬を取っていることが多いんです。もし200万円の過払い金が発覚した場合は、
計算
200万円×0.15=30万円
200万円×0.20=40万円
ですね。その記事で、
- A社:40万円
- B社:40万円
- C社:40万円
- D社:40万円
- E社:40万円
の中から、A~D社の4社を任意整理して、利息のカットをしてもらったケースについて考えましたが、それによって支払う弁護士報酬は、およそ『40万円』。一件で計算すると、
計算
40万円÷4社=10万円(一件当たりの報酬)
ですから、この過払い金の30、40万円という金額はその3倍、4倍なんですね。金額が大きければ更に報酬は上がります。一社だけで500万円も多く支払っていた場合で、20%だった場合は、
計算
500万円×0.20=100万円
ですから、100万円の報酬になりますからね。ですから、任意整理と同時に過払い金請求が成功すれば、報酬は一気に上がりますので、弁護士としては利益をあげるために過払い金請求のCMをガンガン打ってでも、過払い金請求ビジネスをやりたいんですね。
過払い金問題については、貸金業者からすれば最悪の結果だけど、弁護士からすればラッキーでしかなかったようだね!ビジネスチャンスってわけさ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
『債務整理事件処理の規律を定める規程』
ちなみに過払い金請求の平均返金額は『80万円』程度だと言われていますので、実際には、
計算
80万円×0.20=16万円
ということになります。しかし、これがさっきの例で考えた時、A~D社の4社すべてで過払い金があった場合は、
計算
16万円×4社=64万円
ですからね。弁護士報酬が40万円ですから、それよりも24万円も大きな報酬が同時に弁護士に入るわけですから、これは弁護士にとってはビジネスチャンスですね。
しかし、この『債務整理事件処理の規律を定める規程』では、そんな過払金返還請求のつまみ食いを規制しているわけです。 つまり、
『利益の高い過払金返還請求だけやって、他に整理すべき債務を見てみぬふりをする』
という事態に発展しないように、網を張ったということですね。
『債務整理事件処理の規律を定める規程』は、混沌としていた無法地帯に秩序を設けるためにできたルールというわけさ1
ぴよぴよ(なるへそ)!
過払い金は『財産』として数える
また、
にも書いた様に、過払い金を請求して返金してもらうまではいいのですが、もしその過払い金を使ってしまって、債権者への返済が出来ず、結局自己破産をしてしまったとします。
すると、これはもしかしたら自己破産の免責不許可事由に該当する可能性があり、自己破産が受けられないという事態に発展するかもしれません。
過払い金というのは、『財産』扱いです。家や車や有価証券同様、財産の扱いを受けます。自己破産をすると、
- 99万円以下の現金
- 換価20万円以下の財産
- 生活に必要最低限の家財道具
以外は、全て処分されます。
しかし、その『処分してお金に換え、債権者に配当すべきだった過払い金』を使ってしまったわけですね。
破産法第265条にはこうあります。
破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者について破産手続開始の決定が確定したときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。
四 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為。※破産法(第二百六十五条 四)
これは状況次第では『詐欺破産罪』として判断され、最悪の場合は10年以下の懲役、1,000万円以下の罰金となります。
悪意が無くて詐欺破産罪にまで発展しないまでも、自己破産が出来ないということになると、これは債務者もそうですが、『利益目的で過払い金請求だけをした弁護士』がそこにいた場合、それは弁護士の責任ということにもなるわけです。
過払い金の扱い方を間違えると、後々大きな問題にある可能性があるってことだね!だからしっかりと確実に処理していくことが求められるよ!
ぴよぴよ(うーむ)!
複数の債権者がいる場合には、過払金返還請求事件のみ受任することは許されない
そこで、そういったことがないように、原則、複数の債権者がいる場合には、過払金返還請求事件のみ受任することは許されないと『債務整理事件処理の規律を定める規程』には規定されているんですね。
『図解入門業界研究最新クレジット/ローン業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第4版]』にはこうあります。
06年に過払い金請求が『合法化』されたことで、専門の弁護士や司法書士が登場しテレビや新聞などに広告を出すようになって件数が急激に増えました。彼らは過払い金請求の実績を競うようになり、中には多重債務者を食い物にする弁護士・司法書士も出てきました。
本来、弁護士は多重債務者に対して債務整理業務を委任されれば、依頼人の立場に立って正当な返済金を渡した上で妥当な報酬を受け取るべきです。ところが一部の弁護士は一任されている立場を利用して、依頼人にはわずかな金額を返還し自らは高額な報酬を得ているケースが出てきました。
つまり、実際には15、20%ではなく、更に大きなパーセンテージを得ているケースがあったということですね。100万円戻ってくるべきところを、
5万円しかもらえなかった。
と嘘をつき、95万円を独り占めするという劣悪なケースが出てしまっていたということなのです。
本にはこうもあります。
日本弁護士連合会は、こうした事態を憂慮して、2011年4月から、過払い金請求で、裁判を通じて解決した場合は訴訟額の25%、業者との話し合いで解決したときは20%、返済金を減額して業者と借り入れ人との間を仲介して和解が成立したケースは5万円以内とする報酬規制を設けました。
合法ドラッグが危険ドラッグになったように、人間とは規制されるまで自分が求める利益をどこまでも追い続けてしまう愚かな生き物です。見るべきなのは以下の記事ですね。
人間っていうのは愚かな生き物だから、歯止めがなければどこまでも行ってしまうんだよね!まあこれは実際には人間だけではない可能性があるんだけど、まあそれは別の機会に。
ぴよぴよ(ラットとドーパミンっすね)!
…。
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!