任意整理を弁護士に依頼して拒否される場合はどうしたらいい?また、任意整理に応じない貸金業者への対応策は?
任意整理を断られるということは普通はありません。あるとしたら、依頼人がお金を支払わないとか、手続きに協力的ではないとか、そういうことがあるからです。だとしたらそれに注意すればいいということになります。
また、任意整理に応じない貸金業者への対応ですが、どのように応じないかで答えが変わってきます。利息をカットしないと主張するのか、任意整理ごと拒否するのか。
もし任意整理ごと拒否するのであれば、個人再生や自己破産を選択するしかなく、そうなると債権者としては、任意整理で元金だけは返ってくる可能性があったのに、5分の1、あるいは帳消しにされてしまいます。
ですから、任意整理できちんと交渉すれば、むしろ債権者としても有難いわけです。このあたりの
ポイントを押さえ、交渉力のある弁護士とともに任意整理の最適化を図りましょう。
任意整理を断っちゃったら、個人再生や自己破産を選択するしかないからね!そうすると債権者だって大きく損をすることになるよ!貸したお金が返ってこないんだから!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
Contents
債務者にお金がないなら弁護士は断るしかない
任意整理を弁護士に依頼したのにそれを拒否される場合があるとしたら、それはどんなケースでしょうか。債務整理は弁護士にとってもお金になりますからね。それをわざわざ突っぱねるなんて、よほどの理由があると考えることができます。
ですからまず単純に考えられるのは、『債務者にお金がない』場合ですね。収入がない。そうなると、弁護士事務所にお金が入ってきませんから、タダ働きということになります。テレビにも出ている有名な弁護士が言っていましたが、彼らが最も引き受けたくない仕事は、
- 裁判で負けるとわかっている仕事
- お金がもらえない仕事
だと言います。その弟子のような位置づけにいる弁護士は、その弁護士の発言に対し、
このクラスになるとそういうことが言える。仕事を選べる。だけど僕らは仕事を選べない。来た仕事をやるしかない。
と言っていましたが、どちらにせよ双方の本音は一致しているようです。弁護士の報酬は、
- 着手金
- 事務所経費
- 成功報酬
に分かれていて、そのうち成功報酬以外はほとんど必要経費に消えます。ですから、手続き、交渉が成立したときに支払われる成功報酬がなければ、儲からないんですね。それを嘆いていたわけです。
負けるとわかっている仕事をすると、負けてストレスが溜まるし、更に成功報酬も支払われない。だからやってられない。
ということなんですね。弁護士でも何でも、お金を儲けようと思ったら、本業とは少し逸脱した路線で勝負しないといけないのが世の中の仕組みというものです。
まず理解するべきなのは、弁護士にとっても債務整理というのは、売り上げにつながるいい仕事なんだ!過払い請求なんかのときはバブルみたいなもので、お金を取りすぎる弁護士もいたくらいだよ!
ぴよぴよ(金の亡者っす)!
お金儲けとは時に変化球が必要となる
例えば、芸能人で考えてみましょう。大してテレビに出ていないタレントが、大きなお金を得ていることがあります。それはなぜでしょうか。彼らはその知名度を利用して、『広告料』を貰っていることが多いのです。
例えば女優はドラマや映画に出ることが本業であり、CMに出ることは二の次のようなイメージがあるはずです。しかし実際には、CMの方が報酬が高かったりするんですね。人によっては、一本で2,3,000万円の収入です。
また、あるタレントは自分のプライベートな重大発表(例えば結婚する、子供が生まれる、ゴシップ系のネタ等)を、ある場所で発表することで広告収入を得ています。それは、『映画のポスターの前』ですね。映画の試写会や新作映画のポスターの前で記者会見を開き、そこで重大発表をすることで、記事にこう書かれます。
『新作映画○○の記者会見で、○○が重大発表をした。その内容は…』
つまり、映画の宣伝になるんですね。あるタレントはそれだけで100万円貰っていると言っていました。
また、最近ではyoutuberの話も面白いでしょう。youtuberは、再生回数が多いほどGoogleからの広告収入が入るのですが、大体の計算で、
- 1億再生=1,000万円~5,000万円
程度だと言われています。ちなみに、2016年を席巻したピコ太郎のPPAP動画再生回数が現在約5000万回で、5000万×0.5で2500万円という計算がはじき出されました。ですから1億再生で1,000万円というのは低く見積もった計算ということになります。(追記:本人は0.1円ももらっていないと公言)
しかし、それだけの再生回数を稼ぐyoutuberは、一握りしかいません。その他の『稼ぐyoutuber』は、その王道の再生回数の広告収入ではなく、『企業案件』というタイアップで副収入を得ています。
動画で企業の商品やサービス、店舗等を紹介するんですね。その数をこなせば、あっという間に大きな金額を増やすことができます。もちろん、企業案件が来るのはそこそこの知名度があるyoutuberだけなので、それも一握りの人しかできないことなんですけどね。
しかしこれらをざっと見てもわかるように、人は、案外本業よりも副業的要素でお金を稼いでいる、という場合が多いことが見えてきますね。そう考えると、たとえプラチナ資格である弁護士という職業であっても、馬鹿正直にやっていては、割に合わないという現実があるということを、頭の片隅に覚えておきたいところです。
弁護士に限らず仕事をしている人の本音は、なるべく多くの報酬を得ることだよ!だからそのためには、割に合わないと思う仕事は避けようとする傾向があると覚えておきたいね!
ぴよぴよ(人間は金の亡者っす)!
債務者が非協力的なら断られる
そこまで考えれば見えてきますね。弁護士が任意整理の断ることがあったなら、まずそのようにして、『債務者にお金がない』場合が考えられるわけです。
それから、
でも書きましたが、任意整理に限らず、自己破産手続きにおいても弁護士や司法書士に依頼したとき、途中で相手がその仕事を辞任することがあります。それは、債務者が弁護士に非協力的である場合ですね。
- 弁護士が指示した書類を依頼人が用意しない
- 依頼人が連絡が取れない状態にある
- 依頼人が報酬を支払わない
ということでも、非協力的であると判断され、辞任される可能性があります。
債務整理において最もやってはいけないことは、味方である弁護士に嘘をつくということです。嘘じゃなくても、全てを正直に話さないと、それは結果的に嘘をついたのと同じことになってしまうこともあります。
例えば、任意整理をする際に債権者一覧表を用意するわけですが、そこに全ての債権者を書き忘れてしまったりすると、A社を任意整理したときに、実はそのA社がB社と提携していた、という事実がわかって、B社から一括請求をされた、あるいは、運営するクレジットカードが使えなくなった、ということがあるかもしれません。
それは、弁護士が全ての債権者を把握していたら回避できる事態なのですが、債務者がそれをきちんと正確に報告しないと、そうしたトラブルが起きる可能性があります。それで結果的に交渉がうまくいかず、あるいは債務者が弁護士報酬を支払えないということになると、これは弁護士にとっても踏んだり蹴ったりですね。
もちろん、そういう初歩的なミスがないように依頼した弁護士からきちんと説明がありますから、その時にしっかりと誠実な対応を取ることを心がけましょう。
依頼人が弁護士に非協力的であると、依頼を断られるってことだね!また、すべてを話すということもないがしろにするとまずいよ!悪気の有無に関係なくね!
ぴよぴよ(うっかり忘れに注意っす)!
任意整理が向いていないなら他の債務整理を勧められる
また、『任意整理を断られる』ということで考えるなら、単純に『任意整理が向いていない』状況でも、それがあり得ることになりますね。債務整理は、
とありますが、その中で、自分の独断で任意整理を選び、弁護士に依頼した状況があったとします。しかし、状況をよく調べると、どう考えても任意整理よりも『個人再生、あるいは自己破産の方が向いている』ということになる場合があります。
その場合は、単純に『任意整理は断られ、違う債務整理を勧められる』ということになるわけですね。各債務整理の特徴を見てみましょう。
任意整理
毎月一定の収入があり、月々の返済額さえ減らすことが出来れば自力で返済が可能な人、また、借金額が年収の1.5倍以内であるかどうかがポイント。原則として利息をカットしてもらい、3~5年の分割払いで返済していくのが相場。整理する債権者を選べる。
特定調停
裁判所を通した任意整理。債務者自身ではなかなか進めにくい債権者との話し合いを、調停委員が間に入って債務整理をしていく手続き。『自己破産に近い状態の苦しい多重債務者を、破産させないでなるべく返す方向で再生させる』ことがこの制度の趣旨。任意整理同様、原則として利息をカットしてもらい、3~5年の分割払いで返済していくのが相場。整理する債権者を選べる。
個人再生
住宅ローンを除いた負債額が5,000万円を超えない場合で、不動産や自動車などの高価な資産を手放すことなく債務整理をしたい人、あるいは自己破産の制限業種に該当したり、自己破産しても免責を得られる可能性がない人に適している。借金を5分の1~10分の1程度に減額できる可能性がある。返済は原則3年間の分割払い。整理する債権者は選べない。
自己破産
最低限の生活用品などを除いたすべての財産を換価して、全債権者にその債権額に応じ、公平に返済をするよう、法的な力を借りて行う手続き。財産をほとんど失う代わりに、借金がいくらあってもそれを帳消しにできる。整理する債権者は選べない。
つまり、任意整理のこの条件に当てはまらない場合は、それ以外の債務整理を勧められるということですね。
任意整理では元金は減らせません。元金が大きければ大きいほど支払いは困難ですね。例えば下記の計算を見てみましょう。
- 3年の場合
計算
100万円÷36ヵ月=27,777円
500万円÷36ヵ月=138,888円
1,000万円÷36ヵ月=277,777円
- 5年の場合
計算
100万円÷60ヵ月=16,666円
500万円÷60ヵ月=83,333円
1,000万円÷60ヵ月=166,666円
もし500万円ほどの金額であれば、月々8.3万円の支払いを5年続けるわけですからね。これはなかなか大変です。そうなると、任意整理以外の債務整理が妥当だということが見えてきますね。
単純に、任意整理よりもふさわしい債務整理がある場合も、任意整理を断られるっていうことになるよね!この場合は、専門的な知識がはるかに豊富な弁護士の意見を聞いたほうがいいね!
ぴよぴよ(たしかに)!
債務整理が苦手な弁護士だった場合は仕方がない
また単純に、『債務整理が苦手な弁護士だった』というケースもあります。弁護士といってもスーパーマンではありませんから、何から何までの知識を備え持っているわけではありません。得意不得意があります。
それは、家電量販店のショップ店員で考えればわかりやすいですね。1Fにいる店員は、5Fにある商品の知識について、よく理解していない可能性があります。彼らがその店の全ての商品に関する知識を持っていると錯覚してしまうのは、彼らが『その店のスタッフだから』という理論でしょうが、冷静に考えれば見えて来るはずですね。
たしかに、言われてみるとそうか。
とわかるはずです。それは弁護士も同じことで、債務整理が得意な弁護士、不得意な弁護士がいるということですね。また、更にその中から、
- 闇金融対策が得意な弁護士
- 自己破産が得意な弁護士
- 個人再生が得意な弁護士
- 任意整理が得意な弁護士
- 過払い請求が得意な弁護士
等と、分けられることになります。つまりこの場合で最も適しているのは『任意整理が得意な弁護士』を見つけることですね。それ以外の弁護士事務所のドアを叩いても、あまり思った通りの反応を得られないかもしれません。それは、叩く側の人が理解しなければならないことですね。
また、
この記事で書いたことも考えていきましょう。『弁護士だからといって『=高潔な人格の持ち主』だと決めつけない』ということですね。弁護士の中には悪徳弁護士や拝金主義者がいますから、そういう人もいるということを覚えておきましょう。
債務整理が苦手な弁護士に依頼しても、どっちみち苦労するのは自分だからね!無理やりその人に依頼しても、後悔することになる可能性は高いよ!
ぴよぴよ(入口が大切っす)!
任意整理に応じない業者について
今度は、『任意整理に応じない業者』について考えていきましょう。しかし、
でも書いた様に、基本的に任意整理に応じない業者はそういません。ですが、中には企業の体力的な問題で、『経過利息』を支払うように請求してくる業者がいます。
経過利息
最後に返済した日から、任意整理で和解が成立した日までの期間に発生した利息
将来利息
任意整理で和解が成立した日から、完済し終わるまでに支払うはずだった利息
損害遅延金(延滞利息)
返済期日に支払われないことにより発生した損害賠償金
業者としても、
将来利息はわかるが、経過利息は任意整理の前の利息だからね。これは払ってもらいたいよね。
という本音があるということですね。
中には任意整理に応じないという業者もいるようです。しかしその場合でも利息の引き直し計算は可能です。利息の引き直しをして『払い過ぎた利息』があれば、それだけでも返金してもらうことができるわけですね。
『経過利息』を支払うように請求してくるのは、ある種仕方がないかもしれないね!そのほかの利息は免除してくれるわけだから、そのあたりは交渉次第だよね!
ぴよぴよ(ゆけ!弁護士)!
債権者とて個人再生や自己破産よりは任意整理がいい
ただまあ、その記事にも書きましたが、
任意整理を突っぱねて、個人再生や自己破産をされたらたまったものではない!
という事実がありますからね。
- 個人再生=借金を5分の1~10分の1にする債務整理
- 自己破産=借金の総額を帳消しにする債務整理
です。もし1,000万円貸していた場合、それが100~200万円、あるいは0円になってしまうと考えると、債権者としては任意整理を受け入れ、
せめて元金だけでも回収しなければ。
と考えるわけですね。『企業の方針』で任意整理を断る業者もあるようですが、どの道それは、
- 特定調停
- 個人再生
- 自己破産
等の裁判所を介した強制的な手続きにしてしまえば、最終的に断ることはできなくなります。後は、弁護士がどれだけ上手に交渉して『任意』整理で双方がメリットを得られるかどうか、ということにかかってくるでしょう。
断ることができないのは、自己破産の場合だね!これはもう有無を言わさず、裁判所が債務者を『支払い能力がない』と判断したら、債権者の意志に関係なく借金は帳消しになるよ!
ぴよぴよ(それは債権者にとっては大ダメージっす)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!