個人再生で滞納している税金や保険料も減額される?
減額されません。税金や保険料は一般優先債権として数えられます。一般優先債権や非減免責権は個人再生によって減額されません。
減額されるのは借金。借金と支払い義務は違うからね!税金や保険料なんかは一般優先債権だから、減額の対象外だよ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
Contents
個人再生をしても減額されない借金
個人再生をしても減額されない借金があります。
- 住宅ローン
- 非減免責権
- 一般優先債権
- 共益債権
です。そのうち、住宅ローン以外は、借金というよりは『支払い義務』ですね。それぞれの詳細については、下記の記事をご覧ください。
今回挙げるテーマである、税金や保険料、つまり、
- 所得税
- 住民税
- 健康保険料
- 社会保険料
- 固定資産税
- 不動産取得税
等の公租公課は、ここで言う『一般優先債権』に該当します。
一般優先債権は借金というよりも支払い義務だから、減額はできないね!これは自己破産や他の債務整理でも同じ考え方だよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
一般優先債権とは
一般優先債権は、
- 一般の先取特権
- 一般の優先権がある債権
の2つがあります。それぞれ、
一般の先取特権
- 光熱費などの滞納料金
- マンション管理費や積立金
- 未払い給料
- 葬式費用
- 日用品供給
一般の優先権がある債権
- 滞納税金
- 社会保険料
- 罰金
などが挙げられます。ですから、滞納された税金や保険料は、『一般の優先権がある債権』ということになりますね。
記事にも書きましたが、例えば自己破産には『非免責債権』、つまり『それは自己破産後も支払い続ける必要があるよ』というものがあり、その中に、
- 税金・健康保険・年金等
- 養育費・別居中の妻への婚姻費用
- 悪意や重大な過失を原因とする損害賠償金
- 交通違反などの罰金
として、税金や保険料の支払いが含まれています。
詳しくは下記の記事に書きました。
これらの一般優先債権は、通常の債権とは別枠で考え、優先して支払わなければならないということになりますね。また、その一般優先債権の中でも更に優先順位があって、
- 1.国税
- 2.地方税
- 3.保険料
という順番がつけられています。やはり税金の支払いというものは圧倒的な国民の義務として数えられているわけですね。下記の記事にも、『憲法の最高法規性』について書きましたが、
その憲法で定められている国民の三大義務にあるのは、
- 勤労
- 教育
- 納税
ですね。これはもう憲法で定められています。
『憲法の最高法規性』とは、『憲法に逆らえる法律はない』ということ。つまり、憲法で定められているこれらの三大義務は、何よりも優先して国民が重んじなければならないものなんですね。
ですから自己破産をしても免責許可とならないし、個人再生をしても一般優先債権として扱われ、減額の対象にはなりません。
全てにおいて優先順位があるんだね!お年寄りや子供が何かの時に優先されるように、支払いも納税が、納税の中でも国税が、とかね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
一般優先債権の問題はできるだけ存在しない方がいい
従って、もしそれらの一般優先債権等の支払いを優先して済ませると、その他の支払いができなくなるという場合は、残念ながら個人再生を諦めるしかなくなってしまいます。個人再生の支払額、支払い方法、取り消しや不認可については、下記の記事に書きました。
ですから、この税金等の一般優先債権の問題は、実はできるだけ存在しない方がいいという結論になるんですね。
それというのも、税金を滞納していると、行政が独自の手続きで強制執行をかける自力執行権が認められています。
自力執行権
自力執行権とは、国や地方団体などの行政機関が、自ら租税などの債権を強制徴収することができる権限のこと
この自力執行権によって、滞納して2ヵ月程度で督促状が届くのですが、その督促状を更に無視すると、『滞納処分』によって行政は、債務者の預貯金や給与債権などの財産を差押えることができます。
滞納処分
税務署などの課税庁が、納期限までに租税が納付されない時、原則として督促をし、差し押さえを行う
この滞納処分は個人再生手続きとは関係なく行うことができ、個人再生手続きによって中止になるようなものではありません。つまり、これは何よりも優先して支払わなければならないものだと判断されるわけです。
ですから、先ほど『それらの一般優先債権等の支払いを優先して済ませると、その他の支払いができなくなるという場合は、残念ながら個人再生を諦めるしかない』と言いましたが、そのような滞納処分が行われた場合、もしかしたら個人再生手続きに影響を及ぼす可能性があるんですね。
自力執行権と滞納処分が行われれば、優先してそっちの支払いをしなければならないね!だからそれをしてもしお金がなくなったら、色々と次の手に影響が出ることもあるよ!
ぴよぴよ(うーむ)!
与えられている猶予
ただし、滞納処分にも猶予が与えられていて、どうしても支払いができない場合は、交渉をして、『一年を超えない範囲内』で、分納することができます。
国税徴収法第151条にはこうあります。
税務署長は、滞納者が次の各号のいずれかに該当すると認められる場合において、その者が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、その納付すべき国税につき滞納処分による財産の換価を猶予することができる。ただし、その猶予の期間は、一年を超えることができない。
一 その財産の換価を直ちにすることによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあるとき。
二 その財産の換価を猶予することが、直ちにその換価をすることに比して、滞納に係る国税及び最近において納付すべきこととなる国税の徴収上有利であるとき。
また、自己破産の下記の記事にも書いた様に、
年金に関しては、国民年金の免除申請を行えば、年金の支払いを4分の1~全額免除してくれます。
また、国民健康保険料についても同じです。
国民健康保険法77条にはこうあります。
保険者は、条例又は規約の定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる。
国民健康保険には、
- 保険料免除制度
- 保険料納付猶予制度
の2つの免除制度がありますから、『前年所得が一定額以下の場合』等の指定する条件に該当する場合は、これによって4分の1~全額免除してもらうことができます。
年金や保険料は、税金と違って現在の自分の状況を正確に報告すれば、場合によっては全額免除になる場合がありますので、必ずこれを検討するようにしましょう。
分納があったり、免除があったりして、対策は取られているよ!もし給料がなくなったり自営業者が廃業に追い込まれたなんかの場合は、助かるよね!
ぴよぴよ(たしかに)!
心に余裕を持たなければ見えてこない事実がある
正直言って、これらの支払いはいくら国民の三大義務だとか、一般優先債権と言っても、お金に余裕がない人からすれば、恐喝のようなものです。これは、お金が実際に枯渇した人にしかわからない心境ですよね。
実際には余裕が出来た時にこの支払い義務の大切さを理解するパターンがほとんどでしょう。困窮する今は、とにかく理不尽だと感じてもそれに耐えて支払い義務を果たすしかありません。
また、もし自分の環境があまりにも不遇だと感じる場合は、心を整えることが必要です。下記のような記事を見て、自分がどのような心構えを持つべきなのか、学びましょう。
人生の窮地には、学べることも意外に多いものです。
例えばロシアの文学者であるフリーチェは、
と言っています。この税金の支払いは、脱税をする人が社会から絶えないことを考えてみても、誰もがどこかで理不尽だと感じるところですが、実はそれは自分の視野が狭いだけだという考え方もあるし、考え方次第でこの世界はどうにでもなるものです。見るべきなのは以下の記事ですね。
かつてヒルズ族として毎晩のようにシャンパングラスを片手にパーティをしていた人間が、脱税をしたことによって、現在進行形でその時の罰金を払う人生を強いられています。
彼は今、当然六本木ヒルズを離れ、自分の親の会社で細々と仕事をしていますが、その様な先輩の生きざまからも、このテーマについて、何か学べるのではないでしょうか。
心に余裕がある人がボランティアができるっていう事実を曲解してる人もいるけどね!それでまず拝金的になるんだ!でもそれは正しいとは言えないね!
ぴよぴよ(うーむ、深い)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!