借金(債務額)が5,000万円以上ある場合は個人再生できない?
できません。住宅ローンを除いた負債額が5,000万円を超えないことが個人再生の条件です。債務額が5,000万円を超えている場合は、通常の民事再生か自己破産を検討しましょう。
5,000万円ってすごい金額だよね!さすがにそれくらいの金額まで膨らんでいたら、個人再生はできないよ!ギリギリだね!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
Contents
住宅ローンを除いた負債額が5,000万円を超えないことが個人再生の条件
個人再生の特徴はこうです。
個人再生
住宅ローンを除いた負債額が5,000万円を超えない場合で、不動産や自動車などの高価な資産を手放すことなく債務整理をしたい人、あるいは自己破産の制限業種に該当したり、自己破産しても免責を得られる可能性がない人に適している。借金を5分の1~10分の1程度に減額できる可能性がある。返済は原則3年間の分割払い。整理する債権者は選べない。
つまり、住宅ローンを除いた負債額が5,000万円を超えないことが個人再生の条件だということになりますね。しかし例えばその債務額が5,000万円だった場合、下記の最低弁済額基準を見てもわかるように、
個人再生の最低弁済額基準:
- 債務総額が100万円未満の場合:債務総額
- 債務総額が100万円以上500万円以下の場合:100万円
- 債務総額が500万円を超え1500万円以下の場合:5分の1
- 債務総額が1,500万円を超え3,000万円以下の場合:300万円
- 債務総額が3,000万円以上5,000万円以下の場合:10分の1
返済しなければならない金額
100万円未満 | 100万円以上500万円以下 | 500万円を超え1500万円以下 | 1500万円を超え3000万円以下 | 3,000万円以上5,000万円以下 |
---|---|---|---|---|
債務総額 | ¥100万 | 5分の1 | ¥300万 | 10分の1 |
10分の1になりますからね。500万円まで減額されます。それはつまり、4,500万円もの借金が減額されることになるわけですから、とてつもないことですよね。
また、住宅ローンを除いた負債額が5,000万円を超えないことが個人再生の条件だと言いましたが、更に言うと、ここに付け加えるべき支払いが、後何個か存在します。
だけど5,000万円以下が10分の1になるから、5,000万円ならギリギリだっていうことになるね!微調整すれば何とかなるよ!
ぴよぴよ(たしかに)!
別除権も別枠
まずは『別除権』です。別除権もここに該当します。別除権については下記の記事に詳細を書きました。
『別除権』とは、『優先的な返済をしてもらう権利』のことです。『担保権』とは、抵当権を含めた担保を保有している人の権利のことです。ですから例えば、
- 自動車ローン
- 住宅ローン
の会社であれば、自動車や住宅を担保にしてお金を貸したわけですから、その会社は別除権を持っているということになります。ですから言い方としては、
抵当権を持っていたA社は、支払いが滞った場合は別除権によってその不動産を売ってお金に換え、返済に充てる権利を持っていた。
ということになりますね。
ですから、個人再生というのはこの別除権も別で考えるので、住宅ローンや別除権がある場合は、住宅ローン債権の額と車の残存価値(時価の評価額)分は5,000万円と別枠で考えるということになります。別除権を行使して回収できる金額、というところがポイントですね。
また、民事再生法第221位条にはこうあります。
個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。
- 住宅資金貸付債権
- 別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額
- 再生手続き開始前の罰金等
と記載されていますね。ですから厳密に言うと罰金等の一般優先債権についても、ここに該当することになります。
5,000万円+住宅ローンとか、罰金とかっていうことだね!純粋な借金だけで5,000万円と数えるよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
個人再生にも減額出来ない債権がある
個人再生にも減額出来ない債権があって、それが、
- 住宅ローン
- 非減免責権
- 一般優先債権
- 共益債権
ということになります。
住宅ローンについては書きましたが、後の3つに関しては、下記の記事に書きました。
自己破産では、罰金は『非免責権』という扱いですね。
これらの支払いは、借金というより『支払い義務』ですから、個人再生で減額されることがありません。従って、別枠で考えるわけですから、5,000万円に含まれないということになるわけですね。
もう一度確認しましょう。住宅ローンはその借金の金額全てですが、別除権に関しては、『別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額』と指定されていますね。ですから、別除権が自動車ローンだった場合、車の残存価値(時価の評価額)分だけが、5,000万円と別枠で考えられる、という言い方になるわけです。
罰金や養育費なんかは非減免責権で、個人再生をしても減額されないからね!そういう風に、負っている支払いの中にも、種類が色々あるんだね1
ぴよぴよ(うーむ)!
保証債務で5,000万円を超える場合がある
また、
- 住宅資金貸付債権
- 別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額
- 再生手続き開始前の罰金等
とありますが、更にここに加える項目として、『保証債務』があります。例えば、自分の借金が200万円しかなくて、圧倒的に余裕で5,000万円以内だったとしても、その人が誰かの借金の連帯保証人であり、その債務額が5,000万円を超えていた場合、その人は個人再生手続きができません。
その人の借金の総額は200万円ではなく、それを合わせた金額ということになりますので、例えば5,000万円ピッタリなのだとしたら、
計算
200万円+5,000万円=5200万円
ということになってしまうんですね。
自分の借金だけじゃなく、保証債務も併せて計算するんだね!それで5,000万円を超えている場合は、個人再生はできないよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
リフォームローンの注意点
またリフォームローンの場合はどうでしょうか。リフォームローンは、2通り選択肢があります。
- 住宅ローンと共に組んでいるリフォームローン
- 無担保で組んでいるリフォームローン
の2通りですね。つまり、有担保か無担保か、ということです。この場合、無担保で組んでいるリフォームローンであれば、住宅ローンに含まれませんからその他の再生債権と同様の扱いを受けます。
しかし、住宅ローンと共に組んでいるリフォームローンであれば、住宅ローン特則の範囲内ですので、個人再生をすると、住宅ローンと同様の扱いを受けることができるとされています。つまり、この金額は5,000万円の中に含まれないとうことですね。リフォームローンについての詳細は下記の記事に書きました。
住宅ローンと共に組んでいるリフォームローンであれば、住宅ローンと同じように計算するよ!だから住宅ローン特則を利用すれば減額の対象ではないし、この5,000万円の中にも含まれないんだ!
ぴよぴよ(ふむふむ)!
債務額が5,000万円を超えている場合は
それでは、債務額が5,000万円を超えている場合は、どうすればいいでしょうか。選択肢は2つです。
- 民事再生
- 自己破産
ですね。通常の民事再生というのは、法人や企業が利用するための再生手続きです。ですから個人が行う個人再生よりも規模が大きく、5,000万円以上まで対応できるのです。その額実に、1,000億円以上の金額まで対応しています。
しかし、予納金がけた外れですね。
- 負債総額5,000万未満=200万円
- 負債総額5,000万未満~1億円未満=300万円
- 負債総額1,000億以上=1,300万円
ですから、予納金だけでもとてつもない金額になります。また、この予納金の中から監督委員についての報酬も支払われます。
そもそも個人再生には、個人再生委員という役割が存在しますが、これはあくまでもこの『監督委員を用意するとお金がかかりすぎる』ということから生まれた役割です。個人再生手続きは、民事再生と比べ、費用や時間の短縮の目的から、さまざまな手続きについて簡略化がなされているんですね。
ですから、この個人再生委員が監督委員になったり、予納金が高額になったり、弁護士への支払い報酬も高くなったりで、通常の民事再生は難易度が急激に高くなります。しかし、どうしても自己破産をしたくないという人は、検討してみるといいでしょう。しかし実際には、個人の場合は自己破産をしてしまうというケースが多いようです。
個人の場合は自己破産をする方がやりやすいだろうね!通常の民事再生となると、ちょっと個人では費用がかかりすぎるからね!
ぴよぴよ(たしかに)!
どうしても個人再生がしたい場合は
ただ、もし5,000万円以上の借金があって、どうしても個人再生がしたい場合は、自分に売れる財産がないかどうか確認し、それを売って借金を返済できれば、個人再生の範囲内に該当することができるかもしれません。
そこまで複雑化していて、的確な判断が必要な状況に追い込まれている場合は、プロである弁護士に依頼して、弁護士と一緒に様々な選択肢を検討し、状況にあった最適な判断を下すのが賢明だと言えますね。
例えば、5,100万円だった場合は、何とかして100万円作って範囲内に収めるとかね!微調整をすることで個人再生の範囲内にもっていくことはできるかもしれないね!
ぴよぴよ(うーむ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!