個人再生をした後に自己破産手続きへ移行することはできる?
可能です。個人再生が失敗したら、むしろ自己破産しかありません。
ただし、もし支払いが4分の3終わっていた場合は、自己破産をせずとも、ハードシップ免責によって残りの4分の1の借金を免責にすることができる可能性があります。
個人再生をして、それで支払いがうまくいかなくなって手詰まりになった場合、その後自己破産はできるから安心していいよ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
個人再生が失敗したらむしろ自己破産しかない
個人再生をすると、原則として3年で減額された金額を支払っていくことになります。それについての詳細は下記の記事に書きました。
しかし、それでも支払いができないということになると、例えば下記の記事に書いた様に、2年の延長が認められ、5年まで期間を延ばすことができます。
更に、途中でやむを得ない状況が起きてしまった場合は、そこからさらに2年の延長をすることが認められます。ですから、個人再生における最長弁済期間は、7年だと言うことができますね。
では、それでもまだ支払えない場合、また、期間を延長したところで解決する問題ではない、という状況があった場合、一体どうすればいいでしょうか。しかし、そうならないように、下記の記事に書いたような話し合いの場が設けられていたわけですからね。
こうなると、個人再生の取り消しを債権者から申し立てられることになってしまいますね。下記の記事に書いた様に、
もし、やむを得ない状況に陥ったからという理由で自暴自棄になったり、あるいは何の対策もせずにそのまま支払いを怠ってしまえば、これは債権者から個人再生の取り消しを申し立てられます。そうなると、
- 減額された借金が元に戻る
- 住宅ローン等がある場合はその担保は引き揚げられる
等の散々な目に遭い、更に窮地に追い込まれることになるでしょう。そうなると自己破産をするしかなくなってきてしまいますね。しかし逆に言うと、『自己破産ができる』ということになります。そう考えたいということですね。
個人再生をしたら借金は大幅に減額できるから、普通は支払いができると思うよね!だけど人間には事情があるし、世の中何が起きるかわからないからね!
ぴよぴよ(たしかに)!
自己破産を受けるための条件
自己破産というのは、下記の記事に書いた様に、
『借金がいくらあるかではなく、本人が支払い不能に陥っていることが条件』ということになります。ですから、もし、
- 個人再生が取り消された
- 減額された借金が元に戻った
- 住宅を引き揚げられた
という状態に陥った場合は、これはもうピタリその条件に該当しますからね。こうなればむしろ、
だがこれで、自己破産を受ける資格を得たか
と考える発想を持ちたいですね。
民事再生法第249条にはこうあります。
破産手続開始前の再生債務者について再生手続開始の決定の取消し、再生手続廃止若しくは再生計画不認可の決定又は再生計画取消しの決定があった場合には、第三十九条第一項の規定にかかわらず、当該決定の確定前においても、再生裁判所に当該再生債務者についての破産手続開始の申立てをすることができる。破産手続開始後の再生債務者について再生計画認可の決定の確定により破産手続が効力を失った後に第百九十三条若しくは第百九十四条の規定による再生手続廃止又は再生計画取消しの決定があった場合も、同様とする。
2 前項の規定による破産手続開始の申立てに係る破産手続開始の決定は、同項前段に規定する決定又は同項後段の再生手続廃止若しくは再生計画取消しの決定が確定した後でなければ、することができない。
法律でもそれが認められているのがわかりますね。
ただし、ここで見てわかるように、逆に言うと、
- 再生手続き開始の決定の取り消し
- 再生手続きの廃止
- 再生計画が不認可
- 再生計画が取消し
がなければ破産手続きへの移行は出来ないということになります。ですから、もし債権者が再生手続きの取り消しをしない場合は、自己破産は出来ないわけですね。まあ、普通に考えれば支払いを怠った時点で取り消しを申し立てられるので、そういうことはないでしょう。
個人再生が失敗した場合は、自己破産ができる条件がまさに整ったことを意味するということだとも言えるね!そう考えると少しは前向きになれるかな!
ぴよぴよ(うーむ)!
牽連破産(けんれんはさん)とは
また、牽連破産(けんれんはさん)についても考えてみましょう。
牽連破産(けんれんはさん)
個人再生手続きに失敗した場合に、裁判所が職権をもって破産手続開始決定をすること
自分の意志ではなく、裁判所の職権で破産手続き開始決定を行うということがあるんですね。
民事再生法第250条にはこうあります。
破産手続開始前の再生債務者について再生手続開始の申立ての棄却、再生手続廃止、再生計画不認可又は再生計画取消しの決定が確定した場合において、裁判所は、当該再生債務者に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をすることができる。
2 破産手続開始後の再生債務者について再生計画認可の決定の確定により破産手続が効力を失った後に第百九十三条若しくは第百九十四条の規定による再生手続廃止又は再生計画取消しの決定が確定した場合には、裁判所は、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をしなければならない。ただし、前条第一項後段の規定による破産手続開始の申立てに基づいて破産手続開始の決定をする場合は、この限りでない。
つまり、
- 再生手続き開始の申立てが棄却
- 再生手続きが廃止
- 再生計画が不認可
- 再生計画が取消し
になった場合に、裁判所の職権によって牽連破産が認められることになります。しかし、牽連破産はあまり例がないケースです。なぜならこれがあると、
個人再生をすると、牽連破産に流れる可能性があるからな…。自己破産をするのはちょっと抵抗があるよ…。
等として、個人再生自体に抵抗感を持つ人が現われ、それが原因で債務者の事態が悪化するということがあり得るからです。
牽連破産(けんれんはさん)がガンガン認められるということがあると、個人再生をすることが億劫になるよね!それは阻止しなければならないので、めったにないんだね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
ハードシップ免責と次の手続きまでの時間
また、下記の記事にてハードシップ免責についても併せて考えていきましょう。
支払いの4分の3まで終わっていた場合は、自己破産ではなくハードシップ免責を受けることができる可能性があります。
また、注意するべき点は、下記の記事に書いた様に、給与所得者等再生手続きの場合は、手続き後、7年間は給与所得者等再生手続き及び自己破産が出来ないということです。
ですから、個人再生を再申し立てする場合は
- 小規模個人再生→給与所得者等再生手続き
- 小規模個人再生→小規模個人再生
- 給与所得者等再生手続き→小規模個人再生
の場合は可能ですが、
- 給与所得者等再生手続き→給与所得者等再生手続き
が出来ないということですね。一度目の給与所得者等再生手続きから7年の時間を空ける必要があるからです。 そしてこれは、
- 給与所得者等再生手続き→自己破産
- 自己破産→給与所得者等再生手続き
- 自己破産→自己破産
- ハードシップ免責→自己破産
についても同じことです。上の例は全て、7年の時間を空ける必要があります。ですから、もし給与所得者等再生手続きをしていた場合は、自己破産をすることができないので注意が必要です。小規模個人再生であれば問題ありません。
ハードシップ免責は、『4分の1自己破産』みたいなイメージだね!だから担保権や別除権には影響しないから、もしすると担保を引き揚げられたりする可能性があるよ!
ぴよぴよ(うーむ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!