個人再生手続きの後にお金ができたら、一括返済や繰り上げ返済はできる?
一括返済や繰り上げ返済は『債権者が平等に扱われていれば』可能です。しかし個人再生では『3年以下』で支払うことは認められていません。したがって、早い段階でそれをすると話がややこしくなる可能性もあります。例えば、
『こんなにすぐに一括返済や繰り上げ返済ができるのはおかしい。最初から貯蓄があったんじゃないのか?』
と疑われてしまうことがあるのです。ですから、もし途中でお金が用意出来たとしても、再生計画通りに支払いをした方が、スムーズにいくというケースがあります。
まず、3年以下で支払うことはできないのが個人再生の原則なんだ!つまり、1年も2年もダメなんだ!早い方がいい気がするけど違うんだね!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
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個人再生では『3年以下』で支払うことは認められていない
個人再生で手続きを進めるとなると、往々にして3年で返済していく形になるわけですが、では、もし途中で『お金が用意出来た』として、一括返済や繰り上げ返済をすることはできるのでしょうか。
- 一括返済=借金の残りを全て返す
- 繰り上げ返済=一度に払う予定以上の金額を返済し、元金を減らす
これは普通に考えれば、債権者にとってはメリットしかありませんね。早めに返してもらえればそれに越したことはないはずです。
ただし、注意しなければならないのは、個人再生が原則3年で支払っていくものだと書きましたが、実は『3年以下』で支払うことは認められていないのです。詳細は下記の記事に書きました。
ですから、それで考えると結局それらをしてしまうと、3年以下で支払終わってしまうということになってしまい、矛盾してしまいますね。
早く返した方がいい気がするけど、それは認められていないんだね!それには理由がきちんとあるよ!
ぴよぴよ(うーむ)!
一括返済や繰り上げ返済は『債権者が平等に扱われていれば』可能
しかし、この『3年以下で支払うのが認められない』という原則は、あくまでも、
そんなに簡単に支払えるなら、そもそも個人再生をする必要はないだろう。
という考え方があるからです。この考え方が、後述する問題にも影響してきます。
話を戻すと、一括返済や繰り上げ返済は、『債権者が平等に扱われていれば』可能となります。つまり、
- A社:50万
- B社:50万
- C社:50万
- D社:50万
と支払い義務があった場合、この全社に支払うのなら認められます。『債権者平等の原則』がありますからね。どれか一社だけを特別扱いするのは、偏頗弁済に該当し、認められない行為となります。
偏頗弁済(へんぱべんさい)
えこひいきみたいなもの
民事再生法第229条にはこうあります。
小規模個人再生における再生計画による権利の変更の内容は、不利益を受ける再生債権者の同意がある場合又は少額の再生債権の弁済の時期若しくは第八十四条第二項に掲げる請求権について別段の定めをする場合を除き、再生債権者の間では平等でなければならない。
ですから、もし債権者全員を平等に扱い、一括返済や繰り上げ返済を行うのであれば、それが認められるということですね。
偏った会社にだけ支払うのは偏波弁済と同じことだからね!そういうことをするとなると、例えば自己破産なら、自己破産自体が認められないほどなんだ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
早い段階でそれをすると話がややこしくなる可能性も
こうして早めに借金を返済することで、
- ブラックリストから早めに消えることができる
- 振込手数料を減らすことができる
- 債務者は早く借金生活から抜け出すことができる
- 債権者は早く債務者から債権を回収することができる
というメリットがあります。
しかし、もしこの支払い方法を初期の段階で取ると、先ほど言った問題が浮上してきて、話がややこしくなる可能性があります。つまり、
こんなにすぐに一括返済や繰り上げ返済ができるのはおかしい。最初から貯蓄があったんじゃないのか?
と、隠し財産等を疑われる等して、個人再生の取り消しを申し立てられる可能性も出てきてしまいます。
やはり、先ほどから出ているように、個人再生とは『ギリギリの人が受ける債務整理』なわけで、それが3年以内で支払えるとか、すぐに一括返済が出来るといったことになれば、その人が個人再生を受ける権利があるかどうか、怪しいという考え方になります。
ですから、理論上は早めの支払いや一括返済ができ、むしろそれが望ましい形だとしても、それが行われるタイミングや流れによっては、その行動に首をかしげる人が大勢出てきてしまうという、違和感のある結果となってしまうんですね。
ですから、もし途中でお金が用意出来たとしても、再生計画通りに支払いをした方が、スムーズにいくというケースがあります。
借金を早く返済することは、普通はみんなにメリットがあるんだけど、今回の場合はちょっと様子が違うっていうことだね!ま、利息を多くとりたい人も早めの返済は嫌か!
ぴよぴよ(うーむ)!
債務者の気分でそう簡単に決めた約束を変えないのが原則
個人再生の目的とは、文字通り『個人の人生を再生させる』ということにあります。つまり再生というぐらいですから、一度死んでいるイメージになります。ですから、瀕死状態にあった人を、この3年という期間の間に再生させる、という考え方をしたとき、もし途中で少しくらいの臨時収入があったからといって、それを最初に決めた再生計画に逆らって、
今回は多めに支払いたい!
と考えるのは、いささか首をかしげる行為だということになります。そういうことが認められてしまうと、今度は逆に、
前回は多めに支払ったんだし、今回は少なめに支払いたい!
という考え方も受け入れなければならなくなります。そうなると、これらの行為はわがままであり、その個人が『死んだ』のも、あるいはそういうわがままが積み重なって起こったことだと考えることも出来るわけです。
だとすると、そのわがままを許すことは『再生』になりません。 そこはやはり、最初にきちんと大勢の大人で話し合って決めた再生計画に従って、きちんと決まった金額を支払い続けるということをやった方が、むしろ評価が高くなるということもあるんですね。
個人再生によって決まった支払いには、利息が含まれていませんから、焦って返して期間を早めたところで、支払う金額が減るわけではありませんから、多少の臨時収入くらいでは無理な支払いはやめたほうがいいでしょう。
もちろん、
- ボーナス
- 遺産相続
- 宝くじ当選
等で思いもよらない大金が入った場合は、依頼した弁護士等に相談しながら、その旨を伝えて最適な方法を選ぶのがいいですね。もっとも、個人再生中に宝くじをどれだけ買っていたのか、ということは問題になりますので注意が必要です。
債権者の気分でコロコロ支払い方法を変えることはできないんだね!確かにそうやって一喜一憂するような人は、借金に向いていない人って言えるもんね1
ぴよぴよ(給料日に気持ちが大きくなって使っちゃうっす)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!