個人再生の書面決議で債権者に反対された場合の対処法は?
個人再生をしようとしたとき、まともな再生計画案を立てれば普通は同意を得られます。もし通らない場合は、小規模個人再生から給与所得者等再生手続きに切り替えた方がいいということもあります。
給与所得者等再生手続きであれば債権者の合意は必要ありませんので、状況によって最適な判断をしましょう。
同意が必要になるのは小規模個人再生だから、どうしても反対される場合は、給与所得者等再生手続きに切り替えることも検討しよう!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
小規模個人再生では債権者の同意を得ることが重要
個人再生には、
- 小規模個人再生
- 給与所得者等再生手続き
の2種類があります。
そのうち小規模個人再生においては、小規模個人再生においては、支払う金額を抑えられる代わりに、債権者の過半数、債権額の過半数の借入先の反対があった場合は、手続きを進めることができません。詳細は下記の記事に書きました。
それぞれの特徴を見てみましょう。
小規模個人再生
主として個人事業者を対象としているが、下記の条件に該当する者であれば、サラリーマンや公務員、農家でも利用することが出来る。
- 1:住宅ローンを除いた借金総額が5000万円以下
- 2:将来において継続的・反復的な収入を得る見込みがある
小規模個人再生手続きが利用可能で、かつ収入の変動幅が少ない人が利用できる制度。前述の指定弁済基準額と、可処分所得(過去2年分の収入から政令で決められた最低生活費、税金、社会保障費を差し引いた額)のいずれか金額の多い方を返済していくことになる。小規模個人再生とは異なり、債権者の同意は不要。
こうしてみると、小規模個人再生の方が敷居が低く、その代わりに債権者の過半数以上の合意が必要であり、
給与所得者等再生手続きの方が敷居が高く、返済額も大きくなり、その代わりに債権者の同意は不要である、ということがポイントであるとわかりますね。
民事再生法第230条にはこうあります。
6 第四項の期間内に再生計画案に同意しない旨を同項の方法により回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつ、その議決権の額が議決権者の議決権の総額の二分の一を超えないときは、再生計画案の可決があったものとみなす。
- 債権者の過半数の反対
- 債権額の過半数の借入先の反対
がないことが条件ですね。
債権者の同意が必要なのは、小規模個人再生のときだけ!まずはそれを覚えておこう!
ぴよぴよ(なるへそ)!
再生計画に問題がなければ通る
下記の記事に個人再生の流れを書きましたが、
ここに書いた、
6.再生計画案提出
7.再生計画案決議
小規模個人再生
給与所得者等再生手続き
8.再生計画案の認可・決定
の辺りのことですね。再生計画案を提出し、それが滞りなくいけば個人再生は認可されていきます。再生計画は、
- いくら返済するか
- いつまでに返済するか
- いくらずつ返済するか
といったことを記載する計画書です。しかし、この段階で債権者にその再生計画案について反対されてしまえば、小規模個人再生は認められないということになるわけですね。
この決議は書面によって行われるので、債権者らがどこかに集まって話し合いをするということではありません。また、もし何も意見を主張しない場合は、再生計画に同意したとみなされます。しかしここで先ほど言ったような、
- 債権者の過半数の反対
- 債権額の過半数の借入先の反対
があった場合は、再生計画は認められません。つまり、例えば
- A社:50万円
- B社:50万円
- C社:100万円
- D社:300万円
という債務状況があった場合、まずこのうちの過半数以上、つまり『2社以上が反対』をすればダメです。
またA、B、C社が同意をしても、負債額の過半数を占めて『300万円の債権を抱えるD社が反対』してもダメです。 (この場合の負債額は全部で500万円のため)
ですから例えば、『おまとめローン』等を利用している場合等は、この辺りの問題が懸念されることになりますね。そうなると債権者の数も減り、一社あたりの額も大きくなりますので注意が必要です。
話し合いではなくて書面で決議するんだね!また、債権者の過半数だけじゃなく、『債権額の過半数』を持つ債権者の同意が必要だから、注意が必要だよ!
ぴよぴよ(債権額の過半数の債権が…)?
再生計画案に反対する理由は?
ただし、下記の記事に書きましたが、
個人再生をしようとしたとき、まともな再生計画案を立てれば普通は同意を得られます。債権者が、
- 銀行
- 信販会社
- 消費者金融
である場合は、往々にして計画案に同意を得られるでしょう。その理由としては、
- 個人再生がやむを得ないことは薄々分かっている
- 一人一人の債務者にいちいち細かく対処する暇がない
- 一社だけ反対しても過半数じゃなければ意味がないから諦めている
などが挙げられるでしょう。しかし、
- 保証会社
- 政府系金融機関
- 一部の銀行
- 個人の債権者
になると、反対する可能性があります。その場合は給与所得者等再生手続きに切り替えた方がいいということもありますね。給与所得者等再生手続きであれば、債権者の合意は必要ありませんので、状況によって最適な判断をしましょう。
給与所得者等再生手続きであれば、再生債権者による決議はなされず、意見を聴取するだけで終わります。下記の記事に書いたような、債権者からの異議が申し立てられることもありません。その代わり、小規模個人再生よりも多額の金額を返済するんですね。
また、その他にも個人再生が棄却、廃止、不認可、取り消しとなるケースが数多くありますので、そのあたりについてもチェックする必要があります。
小規模個人再生も給与所得者等再生手続きも、それぞれ長所短所があるからね!それ注意しながら、自分の状況にあった適切な判断をしよう!最善は弁護士に依頼することだね!
ぴよぴよ(たしかに)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!