個人再生で減額できない共益債権や一般優先債権ってなに?
共益債権は、
- 個人再生開始後の水道光熱費、賃料の支払い(双務契約)
- 個人再生開始後の養育費の支払い
- 事業を継続していく上で必要な少額債権、または弁済協定
- 個人再生委員への報酬の支払い
等が挙げられます。
また、一般優先債権は、
- 住民税、所得税などの地方税(滞納税金)
- 国民年金、国民健康保険、社会保険料、罰金など
- 従業員、被雇用人への未払い賃金等
- 光熱費のうち過去6カ月までの滞納分の支払い
等となります。
共益債権と一般優先債権は減額の対象じゃないよ!そもそも 『借金』じゃないからね1詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
個人再生で減額できない支払い義務がある
個人再生は借金を大幅に減額できるのがメリットです。メリットやデメリットについての詳細は下記の記事に書きましたが、
あえて簡単に言うならば、
- 借金を大幅に減額できる
- 住宅を手放さずに借金を返済できる
- 住宅以外の財産も処分しないで済む
ということが挙げられます。それについての詳細は下記の記事に書きました。
しかし、そんな個人再生でも減額出来ない債権があります。それは、
- 住宅ローン
- 非減免責権
- 一般優先債権
- 共益債権
です。このうち、住宅ローンについては、下記の記事に書きました。
まあでも、その代わり住宅ローン特則によって住宅を手放さずに済むというメリットがあるわけですね。
非減免責権に関しては下記の記事に書きました。
つまり、慰謝料や養育費などがこの共益債権にあたる債権ということになりますね。その記事にも書いた様に、例えば自己破産には『非免責債権』、つまり『それは自己破産後も支払い続ける必要があるよ』というものがあり、その中に、
- 税金・健康保険・年金等
- 養育費・別居中の妻への婚姻費用
- 悪意や重大な過失を原因とする損害賠償金
- 交通違反などの罰金
として、慰謝料や養育費の支払いが含まれているんですね。
詳しくは下記の記事に書きました。
ここで挙げたものは『借金』ではなく『支払い義務』だから、減額の対象ではないんだね!住宅ローンだけは借金だね!だけど住宅ローン特則を利用すると減額されないね!
ぴよぴよ(うーむ)!
共益債権と一般優先債権
パッとこの『非免責権』を見てわかるように、確かにこれらの支払い義務はなくなってしまってはいけない気がしますね。例えば悪いことをして慰謝料や罰金を払わなければならない人が、
へっ、自己破産をすればその支払いもしなくて済むからな!
と考えてその考えがまかり通ってしまったことを想像すると、なんだか理不尽ですよね。従って、自己破産や個人再生といったお金の支払いに困った人が受けられる救済措置でも、免除できない支払い義務というものがあるのです。
記事にも書きましたが、
- 自己破産=非免責権
- 個人再生=非減免責権
という考え方になります。
- 非免責権=免責が下りても帳消しにならない支払い義務
- 非減免責権=個人再生が認めれても減額されない支払い義務
ですね。個人再生の場合は、非減免責権という言い方になります。
このように、その他の記事で、
- 住宅ローン
- 非減免責権
について書きましたから、この記事では残りの、
- 共益債権
- 一般優先債権
について書きます。
ただ、非減免責権と共益債権は似ているね!養育費は非減免責権だけど、個人再生の手続き後に支払う養育費は、共益債権として名を変えるんだ!
ぴよぴよ(うーむ)!
共益債権とは
非減免責権と共益債権は異なるもので、非減免責権は記事にも書いた様に、
- 損害賠償請求権(慰謝料)
- 養育費
等が主に上げられます。
一方、共益債権は、
- 個人再生開始後の水道光熱費、賃料の支払い(双務契約)
- 個人再生開始後の養育費の支払い
- 事業を継続していく上で必要な少額債権、または弁済協定
- 個人再生委員への報酬の支払い
等が挙げられます。
民事再生法第121条にはこうあります。
共益債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。
2 共益債権は、再生債権に先立って、弁済する。
3 共益債権に基づき再生債務者の財産に対し強制執行又は仮差押えがされている場合において、その強制執行又は仮差押えが再生に著しい支障を及ぼし、かつ、再生債務者が他に換価の容易な財産を十分に有するときは、裁判所は、再生手続開始後において、再生債務者等の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、その強制執行又は仮差押えの中止又は取消しを命ずることができる。共益債権である共助対象外国租税の請求権に基づき再生債務者の財産に対し国税滞納処分の例によってする処分がされている場合におけるその処分の中止又は取消しについても、同様とする。
4 裁判所は、前項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。
5 第三項の規定による中止又は取消しの命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
この共益債権も、非減免責権同様、個人再生をしても減額されず、支払い義務が残ります。また、個人再生開始後のとあるように、個人再生開始後の養育費は共益債権ですが、開始前にあった養育費は非減免責権として数えます。
個人再生開始後の養育費は共益債権。開始前にあった養育費は非減免責権。非減免責権は、手続きの開始前に『溜まっていたもの』に対して使う表現ってとこかな!
ぴよぴよ(ちょっとよくわかんないっす)!
一般優先債権とは
また、一般優先債権は、
- 一般の先取特権
- 一般の優先権がある債権
の2つがあります。それぞれ、
一般の先取特権
- 光熱費などの滞納料金
- マンション管理費や積立金
- 未払い給料
- 葬式費用
- 日用品供給
一般の優先権がある債権
- 滞納税金
- 社会保険料
- 罰金
などが挙げられます。これをまとめて考えると、
- 住民税、所得税などの地方税(滞納税金)
- 国民年金、国民健康保険、社会保険料、罰金など
- 従業員、被雇用人への未払い賃金等
- 光熱費のうち過去6カ月までの滞納分の支払い
となります。
民事再生法第122条にはこうあります。
一般の先取特権その他一般の優先権がある債権(共益債権であるものを除く。)は、一般優先債権とする。
2 一般優先債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。
3 優先権が一定の期間内の債権額につき存在する場合には、その期間は、再生手続開始の時からさかのぼって計算する。
4 前条第三項から第六項までの規定は、一般優先債権に基づく強制執行若しくは仮差押え又は一般優先債権を被担保債権とする一般の先取特権の実行について準用する。
この一般優先債権に関しても、共益債権や非減免責権同様、個人再生をしても減額されず、支払い義務が残ります。
一般優先債権、共益債権についてわかったね!とにかく『他の借金とは一線を画して考える支払い義務』って感じだよね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!