個人再生の最低弁済額、清算価値保障、可処分所得ってなに?
最低弁済額はあらかじめ決まっています。下記でその詳細を書きます。例えば、500万円の借金がある人は、100万円まで減額されます。
清算価値の保証は、『売ってお金になる物』がある場合は、それを全て売ったときにできるお金よりも、高いお金を債権者に支払う必要があるというルールです。
可処分所得は、収入額ー(税金+社会保障料+生活維持費)で計算できます。給与所得者等再生手続きを選択した際、可処分所得の2年分を債権者に支払うことが選択肢の中に含まれます。
個人再生をすると支払いをしていくことになるわけだけど、その際に最低弁済額、清算価値保障、可処分所得というものを計算する必要があるよ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
Contents
最低弁済額基準について
個人再生が
- 小規模個人再生
- 給与所得者等再生手続き
の2つがあり、
そのうち『小規模個人再生』は、
- 最低弁済額基準
- 清算価値
のどちらか高い金額が、最低限返済しなければならない金額だと、下記の記事に書きました。
この記事でも、『最低弁済額基準』を見てみましょう。
個人再生の最低弁済額基準:
- 債務総額が100万円未満の場合:債務総額
- 債務総額が100万円以上500万円以下の場合:100万円
- 債務総額が500万円を超え1500万円以下の場合:5分の1
- 債務総額が1,500万円を超え3,000万円以下の場合:300万円
- 債務総額が3,000万円以上5,000万円以下の場合:10分の1
返済しなければならない金額
100万円未満 | 100万円以上500万円以下 | 500万円を超え1500万円以下 | 1500万円を超え3000万円以下 | 3,000万円以上5,000万円以下 |
---|---|---|---|---|
債務総額 | ¥100万 | 5分の1 | ¥300万 | 10分の1 |
ですから500万円の借金がある人は、100万円に減額してもらえるということですね。これを3年で返済することになりますから、
100万円÷36ヵ月=27,777円
で、弁護士費用の分割払いがあると考えて、およそ毎月3万円の支払いをしていくことになりますね。これが『最低弁済額基準』で支払うことになった場合の返済額の計算方法です。
最低弁済額基準はこうやってあらかじめ決まっているものだから、この表を見ればすぐにわかるようになっているよ!
ぴよ(ふむ)!
清算価値保障の原則について
しかし、記事に書いた様に『清算価値保障の原則』 がありますから、債務者が財産を所有していた場合は、それを全て売っていくらになるか、という計算をして、それ以上の金額を返済しなければなりません。
- 家=500万円
- 車=100万円
という単純な財産だった場合は計算が簡単ですね。売ると600万円作れるわけです。自己破産になるとそれを売って債権者に配当することになります。 個人再生では『清算価値保障の原則』により、債権者に渡る配当金が自己破産よりも低くなってはならないと定めています。従って、
- 自己破産の場合=600万円用意出来た
- 個人再生の場合=600万円以上返済する必要がある
という考え方になりますね。これが 『清算価値保障の原則』です。
ですから、先ほど『500万円が100万円に減額された』と計算しましたが、これが『清算価値保障の原則』によって、このケースの場合は、
清算価値は600万円だから、600万円の方を選ばないといけないよ。
ということになるわけです。そして実際には、『600万円以上』の返済をする必要があるということですね。しかしこの計算の場合だと、借金が500万円なのに600万円払うなんておかしいですよね。ですからこの場合は個人再生は適した債務整理ではないという考え方になります。財産を売ってお金に換え、それで返済をした方がいいということですね。
自己破産をすると財産をすべて処分して、お金を債権者に配当するから、財産を特に処分することを強要されない個人再生は、その代わりに自己破産をしたとき以上の支払いを求められるよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
住宅ローン特則と任意売却
ただ、
家や車を売りたくない。個人再生だと、それが可能だって聞いたけど。
という意見もあるでしょう。住宅ローン特則ですね。
詳しくは下記の記事に書きました。
しかし、もしアンダーローンであれば、『清算価値保障の原則』によって、清算価値以上の額を返済する必要があるのです。
- オーバーローン=不動産評価額が住宅ローンより低い
- アンダーローン=不動産評価額が住宅ローンより高い
詳細は下記の記事に書きました。
もうこうなったら個人再生は諦めるしかないんですね。オーバーローンであれば問題ありませんので、時価評価額が住宅ローンより低く、資産として数えられないような状況であることを願うしかありません。
つまり、アンダーローンの場合はもはや個人再生をする必要はないので、任意売却によって不動産を売却し、お金に換えて返済するか、任意整理等の債務整理を選ぶしかないということですね。
任意売却で不動産を売れれば、お金を作れるね!だからその場合は家を売って返済金を作って整理をするしかないんだね!それも債務整理の一つと言えるかもしれないね!
ぴよぴよ(うーむ)!
清算価値のある財産として評価されるもの
この清算価値のある財産として評価されるものは、ざっと考えて以下のようなものになります。
先ほどは車と住宅について考えましたが、その他にも財産はありますからね。自己破産の場合は、
- 換価20万円以下の財産
- 99万円以下の現金
- 生活に必要最低限の家財道具
以外のものは処分することになりますが、個人再生においてもこの考え方は通用します。基本的に、現金なら99万円以下。保険の解約返戻金や換価20万円以下の財産は、財産として数えられません。
清算価値のあるもの、つまり、売ってお金に換えたら価値のあるものは全て財産として考えるからね!自己破産も個人再生も、換価20万円以上の財産は全て財産として考えるよ!
ぴよぴよ(うーむ)!
財産を残せる場合
また、個人再生の場合は、『個人再生手続きによる返済額までの財産』は、手元に残すことができます。例えば、500万円の借金を100万円に減額出来た場合、その『100万円以下の財産』は手元に残せるのです。
つまり、解約返戻金が20万円以上なら財産として数えられるわけですが、例えばこれが30万円だった場合で、更に、車の換価が60万円だった場合、間違いなくこれは二つとも『財産』として数えられます。
- 解約返戻金:30万=財産
- 車:60万=財産
しかし、自己破産と違って個人再生なら、このケースにおけるこの2つの財産は、『100万円以下』であるため、残しておくことができるのです。これが自己破産と違うところで、融通が利きますね。
ただし、自動車ローンの残っている車に関しては、個人再生は基本的に引き揚げられるのが相場です。下記の記事と合わせて考えていきましょう。
支払う額以下の財産だね!100万円支払うことに決まったなら、100万円以下の財産を所有することができるということさ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
可処分所得の2年分
個人再生には、
- 小規模個人再生
- 給与所得者等再生手続き
の2通りがあると言いました。
そのうち、小規模個人再生は、
- 最低弁済額基準
- 清算価値
のどちらか高い金額が、最低限返済しなければならない金額だと書きました。
ですが、給与所得者等再生手続きの場合は、
- 最低弁済額基準
- 清算価値
- 可処分所得の2年分
の3つの内で、最も高い金額を返済しなければなりません。
給与所得者等再生手続きになると、可処分所得の2年分が選択肢に加わるよ!だから支払い額は小規模個人再生よりも多くなることを覚悟する必要があるね!
ぴよ(ふむ)!
可処分所得算出方法
この計算は簡単です。
- 可処分所得=収入額ー(税金+社会保障料+生活維持費)
となります。
例を考えてみましょう。
- 借金総額:500万円
- 年間給与収入(税金、社会保険差し引き後):450万円
- 最低限必要な年間の生活費:250万円
という状況があった場合、
450万-250万=200万円(可処分所得)
200万×2年=400万円(可処分所得の2年分)
ということになりますね。500万円の場合、最低弁済額基準で計算したら100万円まで減額出来ますが、給与所得者等再生手続きの場合、このようにして『可処分所得の2年分』の計算をする必要がありますから、この場合、
- 最低弁済額基準=100万円
- 可処分所得の2年分=400万円
ということで、400万円の方を選ばなければなりません。また、その他に清算価値についても計算する必要がありますね。その3つの内で、最も高い金額を返済しなければなりません。
可処分所得の2年分を計算に入れると、これがどうしても一番高い支払いになり、給与所得者等再生手続きになると小規模個人再生よりも支払い額が大きくなるということがあるね!
ぴよぴよ(あるね)!
扶養者が少なくて年収が多い人ほど可処分所得は高額になる
下記の記事に書きましたが、
この可処分所得を算出する際に控除される生活維持費は最低限の生活維持を基準にした金額を参考にしているため、扶養者が少なくて年収が多い人ほど可処分所得は高額になり、多くのケースで小規模民事再生を選択するよりも返済額が多くなります。
『あなたを借金返済から解放する方法』にはこうあります。
給与所得者等再生手続き(結婚して扶養者が多い人に有利な制度)
給与所得者等再生手続きを申し立てるには、小規模個人再生の対象となるために必要な条件に加えて、『継続的収入の変動幅が小さいと見込まれる』ことが必要です。
この変動幅は過去2年間の念ごとの年収の変動幅が20%を超えていても、その理由が転職や再就職の場合は、例外となります。
下記の記事に書きましたが、
こうしてみると、小規模個人再生の方が敷居が低く、その代わりに債権者の過半数以上の合意が必要であり、
給与所得者等再生手続きの方が敷居が高く、返済額も大きくなり、その代わりに債権者の同意は不要である、ということがポイントであるとわかりますね。
更に詳しく、可処分所得の計算方法を下記の記事に書きました。
扶養者が少ないと生活費も少なくなるはずだから、そうなると収入からマイナスできるお金も低くなり、結果的に支払う額が大きくなるね!
ぴよぴよ(たしかに)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!