個人再生委員への報酬はいくら?個人再生委員って何をする人なの?
個人再生委員への報酬は各裁判所ごとに料金が違います。
- 東京地裁:15万円
- 横浜地裁:18万円
- 札幌地裁:30万円
大体15~30万円あたりが相場となります。自己破産における『破産管財人』も大体20万円くらいです。個人再生委員は公正な判断を下す中間人だと考えれば間違いありません。債務者と債権者の間に入って、公正な判断を下します。
個人再生委員は、通常の民事再生における監督委員が費用が高すぎるということで、個人再生用に用意された中間人なんだ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
Contents
個人再生委員は公正な判断を下す中間人
下記の記事で、個人再生委員について少し触れました。
大阪地裁や横浜地裁は弁護士に依頼した場合には、個人再生委員が選任されませんが、基本的には個人再生委員は自己破産における『破産管財人』のような立ち位置に居る人であり、『いたほうがいい人』ということになります。
個人再生委員も破産管財人もやることは同じようなことで、共に、
- 債務者の財産や収入の調査
- 借金状況の確認
- 手続きが適正に行われるように監督する
といったことを主に行います。厳密には、破産管財人の方が手続きを遂行していく権限があるのに対し、個人再生委員はあくまでも指導や監督に徹するという違いがありますが、大体のイメージは同じです。『間に入る人』ですね。
多くの場合、地域内の弁護士事務所に10年以上所属している弁護士が選任されますが、この辺りも破産管財人に似ています。破産管財人も同じように、弁護士が選任されます。
彼らは不正のないように、手続きが公正に行われるように管理します。財産隠しがないかどうか、財産の配当が公平に行われるかどうか等のポイントを、注意深く一つ一つ慎重に見ていくわけですね。
自己破産には破産管財人が、個人再生には個人再生委員が。それぞれ中間人として間に入り、債務者と債権者の関係性を公正に保つようにするんだね!
ぴよぴよ(平等ではなく、公正っす)!
法的に認められた存在
このような立ち位置に居る人がいた方が手続きがスムーズに行われるでしょう。
- 地域内の弁護士事務所に10年以上所属している弁護士
- 第三者
- 裁判所が選任する
この辺りのキーワードを考えただけでも、個人再生委員や破産管財人は『手続きをスムーズに行うために選任された人』というイメージがすぐに浮かぶはずです。これが逆に、
- 債務者の息がかかった人
- 債権者の息がかかった人
- 裁判所の息がかかった人
等の『偏った人』であれば、妙な違和感を覚えるはずです。手続きが公明正大に、スムーズに行われるかどうか疑問ですね。こういったことを考えたうえで、その様な選任方法を選んでいるということですね。
民事再生法第233条にはこうあります。
裁判所は、第二百二十一条第二項の申述があった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、一人又は数人の個人再生委員を選任することができる。ただし、第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価の申立てがあったときは、当該申立てを不適法として却下する場合を除き、個人再生委員の選任をしなければならない。
2 裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、個人再生委員の職務として、次に掲げる事項の一又は二以上を指定するものとする。
一 再生債務者の財産及び収入の状況を調査すること。
二 第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価に関し裁判所を補助すること。
三 再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告をすること。
これが法律ですね。個人再生委員は法的に認められた存在です。
時に意見の違う者同士の交渉は、第三者が間に入ることで和解することがあるからね!ボブ・マーリーが争いをしていたグループのボス二人をステージにあげて握手させたのは伝説だね!
ぴよぴよ(鳥肌ものっす!元々鳥だけど)!
個人再生委員の報酬の相場
個人再生委員は中立的な立場なので、
- 債権者
- 債務者
- 裁判所
といった三者の間に入って立ちまわります。言った様に、どこかに偏ることはありません。しかし、強いて言うなら最も厳しく見られるのは『債務者』ということになります。
その理由は、債務者が個人再生をするからですね。個人再生をして一番得をするのは債務者です。債権者は損をするし、裁判所はただ仕事をするだけです。ですから、個人再生の手続き自体が債務者の為にやっているものなのだから、必要以上に債務者に肩入れすることはないということです。
料金についても記事に書きましたが、個人再生委員への報酬は、自分でやった場合は25万円、弁護士に依頼した場合は個人再生委員の作業の代理を委託することができるため、15万円程度まで減額出来ます。個人再生委員の負担が減る分、料金が安くなるんですね。
この個人再生委員への報酬は各裁判所ごとに料金が違います。
- 東京地裁:15万円
- 横浜地裁:18万円
- 札幌地裁:30万円
各裁判所ごとの料金
東京地裁 | 横浜地裁 | 札幌地裁 |
---|---|---|
15万円 | 18万円 | 30万円 |
大体15~30万円あたりが相場となりますね。自己破産における『破産管財人』も大体20万円くらいです。
自分でやるか弁護士に依頼するか。あるいはそこの裁判所で行うかなどによって、料金は異なるんだね!それらを総合的に計算すると、15~30万円あたりが相場だね!
ぴよぴよ(なるへそ)!
申し立てから選任までの時間
彼ら個人再生委員は、通常は申し立てがあったその日のうちに裁判所から選任されます。そして、その日から3週間以内に、個人再生委員は裁判所に『再生手続きを開始していいかどうか』についての意見書を提出します。
その間に個人再生委員は申立書や債務者等の情報をくまなくチェックしますから、実際に個人再生の手続きが開始されるまでには1ヵ月ほどかかることになります。
個人再生委員の手配自体は早いんだね!だけど、そこから手続きの開始までには結果的に1か月ほどかかるから、個人再生は簡単な手続きではないっていうことがわかるね!
ぴよぴよ(たしかに)!
個人再生委員はこんなことを行う
特に個人再生委員が行うことは、下記のようなことです。
- 再生手続開始前の面談
- 履行テスト(履行可能性テスト)
- 債権認否一覧表や再生計画案のチェック
- 債権者から異議申述があった場合の主導
- 返済開始後の計画変更やハードシップ免責の調査
再生手続開始前の面談
面談では個人再生の基本的な内容を話し合います。弁護士がいる場合はその弁護士と一緒に、個人再生委員(この人も弁護士)の事務所へ行き、基本的な打ち合わせをします。これは前述した『3週間の間』に行われることが多いです。
- 個人再生がどのようなものか
- 今後どうしていくか
- 現在の債務状況はどうなっているか
等の基本的な内容を確認し合う為に行うものですね。これは当然必要になります。
履行テスト(履行可能性テスト)
履行テストは、支払いのテストですね。実際にその計画通りに支払えるかどうか、6カ月ほどテストするわけです。これは個人再生委員に支払います。
『あなたを借金返済から解放する方法』にはこうあります。
個人再生委員決定
申し立てが受理されると、個人再生委員が選任されます。個人再生委員は債務者の財産や収入の調査、借金状況を確認し、再生計画案の作成に助言を行い、民事再生が適正に行われるように監督する役目を果たします。
再生手続きが始まると、債務者は再生計画が認められるまでの約6カ月間、申立書に申告した毎月の支払予定額をリハーサルとして個人再生委員に支払い続けなくてはなりません。
このリハーサルを一般に、履行テスト(履行可能性テスト)と言います。ここで振り込まれた資金は、個人再生委員への報酬に充てられ、余った分は返却されます。
任意整理同様、3~5年で返済していくのが個人再生ですからね。その毎月の返済予定額をしっかり払えるかどうか確認しなければなりません。その確認のために行うリハーサルですね。ちなみに任意整理では、支払いができなければ『期限の利益を喪失』し、一括請求を受けます。
債務者は、支払期日までに支払いを待ってもらう権利を持っている
債権認否一覧表や再生計画案のチェック
個人再生の許可を受ける為には、再生計画を立てなければなりません。その再生計画が理不尽なもの、理にかなっていないものであれば、下記の記事に書いた様に、申し立ては棄却され、あるいは不認可となります。
ですから、まずその再生計画が正しいものかどうか、債権者の合意を得られるものであるかどうかをチェックします。3~5年で返済していくのが個人再生の基本ですからね。その返済計画がしっかりしているかどうかを見極めるわけです。
そして債権者一覧表をチェックし、申告漏れがないかどうかも見極めます。財産隠しや虚偽申告があれば『詐欺再生罪』ですからね。発覚すれば十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金です。もちろん、個人再生自体も不認可となります。
債権者から異議申述があった場合の主導
小規模個人再生は申し立てた際に債権者の過半数、債権額の過半数の借入先が反対した場合、認可されません。その場合は、民事再生手続きは終了となるので、再生計画案を練り直して再申し立てを行うか、自己破産等のその他の債務整理を検討するしかありません。
このような場合において立ちまわるのも個人再生委員です。同じように、債権者から意義申述があった場合は、その異議内容をしっかりと確認して、それ相応の対応をします。
ちなみに、小規模個人再生手続きは再申し立てが可能ですが、給与所得者等再生手続きは、自己破産同様、7年間申し立てができません。ですから、そもそも異議申述がないように努めなければなりません。読むべきなのは以下の記事ですね。
返済開始後の計画変更やハードシップ免責の調査
返済開始後の計画変更やハードシップ免責の調査に関しても下記の記事に書きました。
再生計画が通って個人再生が認められても、途中で支払いができなくなった場合、あるいは、やむを得ない理由で支払えなくなった場合等の対処をするのも、個人再生委員です。
民事再生法第234条にはこうあります。
小規模個人再生においては、再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは、再生債務者の申立てにより、再生計画で定められた債務の期限を延長することができる。この場合においては、変更後の債務の最終の期限は、再生計画で定められた債務の最終の期限から二年を超えない範囲で定めなければならない。
これが法律ですね。きちんと確認しておきましょう。
個人再生委員は公正な中間人であり、双方にとってのいい相談相手であり、教師のような役割かもしれないね!彼らの指示に素直に従えば、滞りはないはずだよ!
ぴよぴよ(たしかに)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!