住宅ローンの巻き戻しってなに?
住宅ローンを3ヶ月以上滞納すると、通常、保証会社に代位弁済されて債権者が保証会社に移行します。しかし、個人再生の住宅ローン特則を利用すれば、保証会社の代位弁済前の状態にまで『巻き戻す』ことができます。これを『住宅ローンの巻き戻し』と言います。
巻き戻すことができれば、もし競売が始まっていても、競売手続を中止することができるよ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
住宅ローンの仕組み
個人再生の住宅ローン特則については、下記の記事と合わせて考えていきましょう。
ここでは、『住宅ローンの巻き戻し』について考えます。その前に、『住宅ローン』についておさらいしましょう。
『金銭貸借の知識とQ&A』にはこうあります。
住宅ローンの仕組み
住宅ローンとは、住宅を買うために資金を金融機関(主として銀行)から借りることです。数千万円する住宅を現金で一括して変える人はごく少数です。多くの国民は住宅を購入する場合には、住宅ローンを利用し、月々の返済をしていくことになります。
これが住宅ローンですね。多くの人が住宅を購入する際にこれを利用します。しかし、その支払いが他の借金やイレギュラーな事態によって滞ってしまうことがあるわけです。人生何があるかわかりませんからね。
住宅ローンは便利だから、大勢の人がそれを利用しているね!一軒家を買いたいっていう人は大勢いるからね!買った方がいいか借りたほうがいいかっていうのはまた別の話で!
ぴよ(ふむ)!
住宅ローンの巻き戻しとは
住宅ローンを3ヶ月以上滞納すると、通常、保証会社に代位弁済されて債権者が保証会社に移行します。しかし、個人再生の住宅ローン特則を利用すれば、保証会社の代位弁済前の状態にまで『巻き戻す』ことができます。これを『住宅ローンの巻き戻し』と言います。
民法第204条にはこうあります。
保証会社が保証債務を履行した場合の取扱い
住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定した場合において、保証会社が住宅資金貸付債権に係る保証債務を履行していたときは、当該保証債務の履行は、なかったものとみなす。ただし、保証会社が当該保証債務を履行したことにより取得した権利に基づき再生債権者としてした行為に影響を及ぼさない。
つまり、既に住宅ローンの返済を滞納していて、保証会社による代位弁済がされてしまった後でも、6か月以内に個人再生の申立てをすると、保証会社の代位弁済前の状態に戻すことができるというわけです。このことからわかるのは、個人再生には有効な申し立てのタイミングがあるということですね。
住宅ローンの巻き戻しができれば、代位弁済前の状態に戻すことができ、ある種リセットができるということになるね!
ぴよぴよ(うーむ)!
個人再生は住宅ローンを所有する個人の再生を助けるための制度
普通、延滞をすると『期限の利益』を失い、下記の記事に書いたように一括請求を受けます。
期限の利益
債務者は『いつまでに返済しなくてはならない』という期限と同時に、『いつまでは返済しなくてもいい』という時間の猶予が与えられている。
つまり、
- 1.住宅ローンの延滞をする
- 2.期限の利益を失う
- 3.保証会社が代わりに支払う
- 4.債権者が保証会社に移行する
- 5.更に延滞をする
- 6.保証会社が抵当権を行使して住宅を競売にかける
という流れがあるわけですが、保証会社が代位弁済をしてから6カ月以内に個人再生を申し立てれば、『住宅ローンの巻き戻し』が出来るわけですね。こうなれば、『1』の前に戻せる。つまり、
- 期限の利益喪失
- 保証会社の代位弁済
- 抵当権行使による競売
等が全て白紙になります。文字通り、時間が巻き戻って『なかったこと』になります。
その6ヵ月以内ということに関しては、民事再生法第198条にこうあります。
1.住宅資金貸付債権については、再生計画において、住宅資金特別条項を定めることができる。ただし、住宅の上に第53条第1項に規定する担保権が存するとき、又は住宅以外の不動産にも同号に規定する抵当権が設定されている場合において当該不動産の上に第53条第1項に規定する担保権で当該抵当権に後れるものが存するときは、この限りでない。
2. 保証会社が住宅資金貸付債権に係る保証債務を履行した場合において、当該保証債務の全部を履行した日から六月を経過する日までの間に再生手続開始の申立てがされたときは、第204条第1項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなる者の権利について、住宅資金特別条項を定めることができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
なぜこのような巻き戻し措置が取られるかというと、個人再生が文字通り『住宅ローンを所有する個人の再生を助けるための制度』だからというところが大きいのです。これが自己破産ならそうはなりませんね。むしろ、『住宅を処分する代わりに借金の全てを帳消しにする制度』ですからね。
- 個人再生=『住宅ローンを所有する個人の再生を助けるための制度』
- 自己破産=『住宅を処分する代わりに借金の全てを帳消しにする制度』
この個人再生という債務整理の特徴によって、住宅ローンを所有する個人が援護される結果になるということです。
個人再生は住宅ローンを所有する個人の再生を助けるための制度だから、住宅ローンの巻き戻し措置が認められるわけだね!もし追い込むための制度ならこうはならないわけだから!
ぴよぴよ(たしかに)!
個人再生の住宅ローン特則はとても便利
これによって、もし競売が始まっていても、競売手続を中止することができますし、保証会社が代位弁済していても、銀行が弁済額を保証会社へ返すことで、再び銀行が債権者に戻ります。
ですから、住宅ローン特則の個人再生手続きによって、住宅ローンの巻き戻しを図り、一度延滞のない状態にリセットします。そして、住宅ローン以外の支払いを個人再生によって大幅に減額してもらい、住宅ローンの支払いを再開するという形ですね。
その他の借金が減額されれば住宅ローンの支払いも延滞しないで済む可能性が高くなります。それに、冒頭の記事にも書いた様に、
この場合、住宅ローン自体の減額は利息の減免はないため、他の借金を減額させてローンを払い続けることになります。ただし、延長の上限は10年であり、しかも最後の支払いが70歳を超えることはできません。この特則の利用についても債権者の同意は必要ありません。
住宅ローンの支払いが厳しい場合は、最大10年間の延長が可能となるのも住宅ローン特則の特徴です。そこまで環境を整えてもらえれば、住宅を維持したまま借金を返済できる可能性は高くなりますね。
個人再生をするということは、借金を整理するというわけだけど、そのほかの借金が5分の1程度になるから、返済は一気に楽になる!しかも巻き戻しで住宅は保持できるのさ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!