自己破産をした後に過払い金請求はできる?
できます。しかし、自己破産後というよりは、自己破産の最中ということが多いはずです。自己破産後に請求をするということは、自己破産の前、最中に、自分に過払い金返還請求の権利があると理解していなかった、ということになります。
しかしそれはあり得ません。自己破産の際に、自分に過払い金返還請求の権利があるということを知ることになるからです。しかし、もし万が一自己破産の手続きを全て終わった後に過払い金返還請求の権利があると発覚した場合は、それを行使することができます。
ただ、もし知っていてわざと隠したのであれば、『財産隠し』として疑われ、詐欺破産罪に問われる可能性があります。
自己破産をした後というか、『最中』に発覚してそれを請求することが多いはずだね!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
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自己破産後というよりは自己破産の最中に行う
自己破産をした後に過払い金を請求することはできます。しかし、自己破産後というよりは、自己破産の最中ということが多いはずです。自己破産後に請求をするということは、自己破産の前、最中に、自分に過払い金返還請求の権利があると理解していなかった、ということになります。
しかしそれはあり得ません。自己破産の際に、自分に過払い金返還請求の権利があるということを知ることになるからです。自己破産をすると、債務者の持っている財産や債務状況を徹底的に調査します。自己破産をすると財産を処分しなければなりません。厳密に言うと、
- 換価20万円以上の財産
- 99万円以下の現金
- 生活に必要最低限の家財道具
以外は全て処分します。
その代わりに借金を全て帳消しにできるわけですね。債権者としても、自己破産をして借金をゼロにするのに、破産者が財産を持っているということは納得がいきません。
そんなお金があるなら借金の返済に回せ!
ということになるからですね。住宅や車や高級時計などは、売ればお金になります。保険も解約すれば返戻金がありますし、有価証券があるならお金に換えられます。そのようなものは全て『財産』として考えますから、お金に換えて債権者に配当し、返済金に充てるべきであるという基本的な考え方があるんですね。
この徹底的な調査によって、本人に過払い金返還請求の権利があるかどうかは大体浮上するからね!そうなると自己破産後にまでこの権利を放置するということはないよね!
ぴよぴよ(たしかに)!
財産の隠蔽は詐欺破産罪
自己破産自体は債務者にとって一方的に有利な制度ですから、せめて随所に債権者への配慮を詰め込まないと平等ではありません。従って、財産を所有している場合は漏れなくそれを報告し、もしそれを隠蔽するようなことがあれば、『詐欺破産罪』として数えられ、罪に問われます。
破産法第265条にはこうあります。
破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者について破産手続開始の決定が確定したときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 債務者の財産(相続財産の破産にあっては相続財産に属する財産、を隠匿し、又は損壊する行為
二 債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
三 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
四 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為
これを考えただけでも、財産調査が徹底的に行われるということがわかります。
『過払い金返還請求できる権利』は、財産として数えます。お金に換わるものは全て、財産として数えるわけですね。ですから、自己破産後というよりは、自己破産の最中、手続き中にこうした過払い金返還請求の権利が発覚することになり、その時に過払い金返還請求をすることになるわけです。
『過払い金返還請求できる権利』は、財産として数えるんだね!貯金も返戻金も、換価20万円以上の物も、全て財産だね!
ぴよぴよ(うーむ)!
過払い金が20万円以上であれば破産財団に組み込まれる
ここで得たお金は、この自己破産の考え方で言うと、破産財団に組み込む必要があります。
破産財団
破産者の処分するべきだと定められた財産
車や保険の解約返戻金が差し押さえられて、過払い金が差し押さえられないということはありませんからね。
しかし、解約返戻金にしろ何にしろ、『換価20万円以下』であればそもそも差し押さえの対象にはなりません。過払い金が20万円以下であれば、破産財団に組み込まれることはありません。
では、20万円以上であった場合はどうなるでしょうか。その場合は破産財団に組み込まれますよね。しかし、破産者はその過払い金返還請求をする権利があります。従って、その権利を行使して、99万円以下の現金を手にした場合は、その現金は破産財団に組み込まれることはありません。
過払い金が100万円を超えることはそうありませんから、往々にして、過払い金を請求した後にその現金を所有することができることになります。
換価20万円以下の物、99万円以下の現金、生活に最低限必要な家財道具は処分の対象ではないからね!自由財産として、保持が認められているんだ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
クレジットカードには相殺がある
ただし、下記の記事に書いた様に、
クレジットカードには、
- キャッシング
- ショッピング
の2つの機能が備わっています。このうち、キャッシングによってもし過払い金が発生していても、ショッピング機能を利用していた場合、その料金と相殺されて、結果的に過払い金が返ってこないということがあります。例えば、
- キャッシングでの過払い金:10万円
- ショッピングの利用料金:10万円
だった場合、これが相殺されて、0円となります。従って、過払い金という形でお金が返ってくることはないということですね。
これと同じような考え方で、もしキャッシング枠で過払い金が発生していたとしても、自己破産の際に、ショッピング枠での支払い義務を免責してもらっていた場合は、そこから差し引かれて計算することになります。
- キャッシング枠での過払い金:30万円
- ショッピング枠への支払い義務:20万円
だった場合、過払い金として返還されるのは10万円という考え方ですね。
クレジットカードのショッピングとキャッシング機能について、再確認しよう!
ぴよ(ふむ)!
出来るなら自己破産の前に過払い金請求をしてしまった方がいい
また、もし自己破産をすることが決まったなら、そもそもその前に弁護士に、自分に過払い金がないかどうか調べてもらうことが大切です。もし過払い金が発生している場合は、そのお金に頼れば、もしかしたら自己破産をしなくても済むかもしれませんからね。
それから、自己破産には2つの手続きがあります。
- 処分する財産がある場合=管財事件
- 処分する財産がない場合=同時廃止事件
そして、管財事件となると、その手数料や終了するまでの期間に大きなロスが出ます。圧倒的に同時廃止事件として処理した方が、メリットがあります。管財事件は予納金だけで50万円かかりますし、期間も半年~1年かかります。同時廃止事件なら、1万~5万円で済みますからね。期間も3~4か月です。
もし過払い金請求権を持ったまま自己破産をしようとすると、『財産を所有している人 』とみなされ、手続きが管財事件になってしまう可能性があります。ですから、
- 自己破産の際中<自己破産の前
ということで、出来るなら自己破産の前に過払い金請求をしてしまった方がいいということになりますね。過払い金にも時効がありますので、自己破産にかかる時間のことを考えても、自己破産後に過払い金請求をする、ということはナンセンスだと言えます。
自己破産の後よりも最中、最中よりも前、ってことだね!早め早めに対応しておけば、受けるダメージも軽減できるよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!