過払い金の請求の争点となる『取引の分断』、『一連充当計算』ってなに?
『取引の分断』とは、同じ会社から二回以上借りることがあった場合、それぞれを『違う取引』として数えることを言います。
『一連充当計算(一連計算)』とは、この二つは『一つの取引』だと解釈して計算します。
二つが別々の取引だと計算すれば、一度目の取引の際に発生した過払い金は、その取引が終わってから時効を計算することができ、債権者にとっては有利な計算方法となります。したがって債権者側は、『取引の分断』を主張すると自分たちにメリットがあるということを知っているということです。
取引の分断が認められれば、最初の方に終わった借金の時効が、早く訪れるよね!それでそう主張するということなんだ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
『取引の分断』とは?
過払い金の請求の争点に、『取引の分断』があります。例えば、A社からお金を借りていて、一度完済します。しかし、その後またA社から借り入れをしたケースがあった場合、債務者はA社に二回借り入れをしているわけです。
- 一回目:A社から50万円→完済
- 二回目:A社から50万円→返済中
などというケースですね。とにかく、同じ会社から二回以上借りることがあった場合、過払い金返還請求に少し影響が出てきてしまいます。貸金業社は、
二回取引をしているんだから、この二回の取引はそれぞれ、違う取引だ。一つ一つ別物として考えるべきだ。
という主張をします。それが『取引の分断』ですね。分断する。つまり、一つの取引として数えないということです。
まあ、別にこの取引の分断の考え方は、債権者側の屁理屈のようにも見えないからね!そう計算すると最初から決まっていても、特に文句はないよね!
ぴよぴよ(たしかに)!
少しでも過払い金を払いたくない貸金業者
なぜその主張をするかというと、一つにまとめて数えてしまうと、過払い金返還請求の時効が延びてしまうからです。二回目が終わってから10年ということになると、時効の成立の期間が延びますよね。しかし、この二つが別々の取引だと計算すれば、一度目の取引の際に発生した過払い金は、その取引が終わってから時効を計算することができ、債権者にとっては有利な計算方法となります。
債権者としては少しでも過払い金を払いたくありませんからね。少しでも抵抗するんです。下記の記事に書いた様な、棚上げ方式や利息充当方式についての問題だったり、
下記の記事に書いた様に、取引履歴開示請求に応じなかったり、裁判で和解しようとしなかったりして抵抗するのは、少しでも過払い金を払いたくないということに尽きます。
『クレジット/ローン業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』にはこうあります。
貸金業者にとっていちばん重要な法律はこれまで、貸出上限金利を規定する出資法と過度な営業行為を規制する貸金業規制法でした。しかし近年、出資法と利息制限法との金利差(グレーゾーン金利)で生じた返済金に対する『過払い金請求』が相次ぎ、圧迫貸金業者の経営をしていました。
その理由は、上記の通り、貸金業者にとって過払い金の支払いをするということは、大ダメージだったからですね。
まあでも、それを受けたとしても取引の分断の考え方は、別に強引でもないと思うけどね!ここはそうおかしくはないよ!
ぴよぴよ(たしかに)!
取引の分断と『一連充当計算(一連計算)』
では、こういったケースの場合、取引の分断が認められるのはどういうケースでしょうか。裁判所は、
- 前後の取引の間隔の長さ
- 両取引の内容
- 条件
- 経緯
等から総合的に判断することにしています。例えば、一度目の借金の完済から、すぐに二度目の借金をした場合は、この二つは『一つの取引』だと解釈するわけですね。このように、一つの取引だとして考える場合のことを、『一連充当計算(一連計算)』と言います。
また、取り引きの分断が認められるか、一連充当計算をするべきかということは、基本契約が一つであるかどうかもカギになってきます。基本契約が一つであれば、それらの契約は同じものであると考えることができるというわけです。
しかし、往々にしてこのように二回借りる場合、その都度契約書を結び直すものです。従って、一つ一つの債権に契約書があるという観点から、この二つの借金は別々のものであるという考え方が出来ます。
しかしそれでは、債務者にとって有利な一連充当計算が出来ないということを意味してしまいます。ですから判断基準はそれだけではなく、上記に挙げたような様々なポイントから判断していくということになるわけですね。
先ほど言った様に、一度目の借金の完済をして、間髪入れずに二度目の借金をした場合は、この二つは『一つの取引』だと解釈した方が妥当だと考えられます。その様にしてケースバイケースで状況を判断していくことになるのです。
この二つの契約の間隔は、一年以内であれば一連充当計算が適用されるという考え方もあります。ですから、もう借りて間髪入れずに、なんていうケースがあるのであれば、それは高い確率で『一つの取引』だとして数えられるということになりますね。
まあその通りだろうね!間の期間が短いか長いかによっても印象は変わるもんね!これは社会通念上の常識で考えれば、そう首をかしげることなく話ができるはずだよ!
ぴよぴよ(たしかに)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!