過払い金請求の勢いはいつまで続くの?ブームが終わるのはいつ?
過払い金請求の時効は『最後に取り引きしたときから数えて10年』です。ですから、グレーゾーン金利の判決が出た2006年から10年経った2016年が、通常通りに計算すると最後の年になります。その後、しばらく余韻が続いたとしても、時間が経つごとに勢いは衰えていくでしょう。
2011年度は5,617億円だからね!およそ10年間で5兆円以上の過払い金が返還されたんだ!でもそれももうピークは過ぎたよ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
過払い金請求の時効は『最後に取り引きしたときから数えて10年』
グレーゾーン金利、過払い金請求が発生した経緯については、下記の記事をご覧ください。
過払い金の請求ブームは、2016年を皮切りに衰退していくでしょう。当時はテレビで弁護士事務所の過払い金請求のCMがガンガン放映されていました。それは、その年が過払い金請求の時効の最終年だったからですね。ですからCMのうたい文句としても、
今年で過払い金請求の時効の10年が成立します。お早めにご連絡を!
というものでした。下記の記事に書いた様に、2006年1月に、『グレーゾーン金利』による過払いの返金を求める判決が出てから、2016年で10年の月日が流れました。
下記の記事に書いた様に、過払い金請求の時効は、『最後に取り引きしたときから数えて、10年』です。
従って、正式にグレーゾーン金利での貸付が法律により禁止されたのは、貸金業法が段階的に施行された2008年~2010年にかけてですが、実際にはこの2006年の判決以降、貸金業者はグレーゾーン金利を取ることは激減しました。従って、2016年に大勢の債務者が過払い金返還請求の時効を迎えてしまったということになりますね。
もちろん、2016年を超えても、実際にはまだまだ過払い金が出て来る場合もありますので、2017年現在においても、『まずは弁護士事務所にご連絡を!』というCMがかろうじて放送されている状態です。
また弁護士の中には、借金を完済した人の場合は、過払い金返還の着手金が無料という体制を取っているところもあります。既に完済した場合でも過払い金は請求できますので、無料であれば連絡して確認してみるのもいいかもしれません。
ただ、テレビCMを過信しないほうがいいよ!=優良な会社ではないからね!
ぴよぴよ(下記の記事を見るっす)!
消費者の無知に付け込む方法で利益を上げる
このCMがガンガン放映された時期、消費者には『サンクコスト効果』が発生してしまっていました。『経済の裏がわかる人間心理127の仕組み』にはこうあります。
サンクコストとは、既に支払ってしまって絶対戻ってこない費用のことを指し、日本語では埋没費用と訳される。もったいないと思うことで、非合理的な決定をしてしまうことをサンクコスト効果というのだ。
たとえば、数千万円の開発費を投じて作った商品がまったく売れなかった場合でも、すぐにその商品を廃棄して諦めることができたなら、不要な損失はそこからはさらに広がらないだろう。
しかし、今までかけてきた費用がもったいないからといって『少しでも元を取りたい』『もしかしたら好転するかも』という心理が働いてしまうと、結果的にいつまでも在庫を処分できずに高い倉庫代を払い続けて赤字を増やしてしまうのだ。
この効果は、費用に限ったことではなく、労力や時間でも同じである。例えば、苦労してとったコンサートのチケットだからと熱があっても無理をして出かけてしまい、その挙句に翌日会社を休んでしまったり、何日も徹夜して考え抜いた企画だからと社内で却下されてもなおそのことに固執して自らの評価を下げてしまったりすることも、ある意味サンクコスト効果といえるのだ。
『もったいないと思うことで、非合理的な決定をしてしまう』。つまり、このサンクコスト効果によって過払い金請求を焦って依頼し、拝金的な弁護士に報酬をちょろまかされたということがありました。それについては下記の記事に書きました。
本来過払い金請求の弁護士報酬は、15、20%というのが相場です。
しかし実際には15、20%ではなく、更に大きなパーセンテージを得ているケースがあったわけです。100万円戻ってくるべきところを、
5万円しかもらえなかった。
と嘘をつき、95万円を独り占めするという劣悪なケースが出てしまっていたということなんですね。もしこういう悪徳弁護士に依頼してしまった場合は、過払い金をちょろまかされ、実際には100万円支払わせることに成功しても、債務者に回ってくるお金は5万円だけ、ということもあり得たわけです。
こうした問題が浮上してしまったのは、もちろんそこに拝金的な悪徳弁護士がいたことが第一の理由です。しかしもう一つの理由は、利用者側の知識や心構えが安易であったことも挙げられるんですね。
過払い金を取り返せるとわかったら、みんなこぞってそれを取り返そうとするよね!ちなみに大阪はオレオレ詐欺の被害が最も少ないけど、『還付金詐欺』では被害が圧倒的に1位だったんだ!
ぴよぴよ(人間心理っすね)!
ブームや流行に支配される人間
大体、ブームや流行というのは、安易な気持ちでそれに乗っかる人が大勢いるのが現実です。まるである種の『脅迫』ですね。流行に乗らなければ、取り残されて孤独になる。そういうある種の強迫観念に支配されて、特に深く考えずに、その大きな時流の力に身を任せてしまうんですね。見るべきなのは以下の記事です。
『経済の裏がわかる人間心理127の仕組み』にはこうもあります。
多数の人と同じ行動をとってしまう『バンドワゴン効果』の謎
バラエティ番組を見ていると、出演者のリアクションに観客が歓声を上げたり、笑ったりする声が流れて来る。スタッフの笑い声が入っていることもある。
あまり集中して見ていなかったときでも、笑い声につられてつい画面に目をやってしまったり、ときには、さほど面白くない画面でも笑い声が流れたときには、『なんでここで笑うんだろう』と首をかしげることもある。
バラエティ番組に笑い声や拍手が入るのや今や当たり前で、あまり気に留めることはないかもしれない。しかし、この笑い声、送り手側にとっては重要な要素なのだ。スタジオの空気をリアルに伝えるだけでなく、『バンドワゴン効果』を狙っているのである。
バンドワゴンとは、お祭りやパレードで音楽を奏でる楽隊のこと。楽しい音楽が聞こえてくれば誰でも浮かれた気分になり、楽隊のあとについてパレードに参加したくなる。このように、多数の人と同じ行動をとってしまうという心理が、バンドワゴン効果である。
つまり人は、
- 多数の人の意見
- 力ある者の意見
- 流行
等の『大きな力』を前にすると、思考を停止させ、その力に身を任せる傾向があるのです。従って、この過払い金請求のブームがあったとき、拝金的な弁護士のカモにされた消費者たちは、『無知で安易に臨んだからこそ、サンクコスト効果が発生してしまった』ということになるわけですね。
まあもちろん、多少なりとも過払い金を取り戻せたことだけを考えればプラスになったと考えることもできますが、その裏で弁護士だけが消費者の無知を利用して利益をせしめていたんですから、実際には損をしてしまったと考えたほうが正確でしょう。
2017年、過払い金請求のブームのピークが過ぎた今、もうこのような混沌とした乱れは生じる可能性は少ないでしょう。しかし、人間というものは過ちを繰り返す生き物ですからね。この問題が終わってもまた次の新たな問題が発生し、同じようなことが繰り返されるでしょう。
この問題を通してそういった問題にまで思慮を張り巡らせれば、このブームが去った後も、この問題が人間にとっての貴重な経験、糧となるでしょう。
サンクコスト効果に、バンドワゴン効果、それから、『CMを打ってる会社が大きく見える』のはハロー効果と言うよ!様々な心理効果に支配されているんだね!
ぴよぴよ(うーむ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!