債務整理で車を手元に残す方法はある?
あります。過払い請求をすれば、車を保有しておくことができます。車には何の影響も及ぼさない債務整理ですからね。
そして次に、任意整理と特定調停です。これらの債務整理は、整理する債権者を選べるのが特徴です。従って、自動車や住宅を残しておきたい場合は、その有担保ローンは整理の対象外にすれば、その担保物件を保有することができます。
個人再生は、住宅以外のローンを全て整理の対象にする必要がありますので、自動車ローンが残っている場合は、自動車はローン会社に引き揚げられ、売却されて返済金に充てられてしまいます。『自動車ローンがない場合』は大丈夫です。
自己破産は、その車が換価20万円以上であれば処分する必要があります。20万円以下であれば、保持することが可能です。
車がどういう状態で、いくらで売れるかなどという理由によっても答えが変わるよ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
どの債務整理?過払い請求なら当然大丈夫
債務整理で車を手元に残す方法はあります。ですが、まずはその債務整理がどの債務整理なのかをハッキリさせる必要があります。債務整理は、
の5つです。そのうち、過払い請求は債務整理のうちの数えない考え方もありますが、借金を整理するわけですから、立派な債務整理です。しかし、たしかにその他の4つの債務整理と比べ、これだけは『過払い金を取り戻す』わけで、債務者が一方的にプラスになるということを考えると、少し様子が違います。
従って、過払い金だけは、信用情報機関にブラック登録されないという特徴があります。債務者が一方的にプラスになるといっても、元々は債務者のお金ですからね。それをただ取り戻すだけですから、ブラックリスト扱いはされないと判断されたわけです。
ですから、そのお金には税金もかかりません。税金は『取得』にかかるものですが、この過払い金は『自分のお金を取り戻しただけ』と判断されるからですね。
従って、この過払い請求をすれば、車を保有しておくことができます。車には何の影響も及ぼさない債務整理ですからね。
過払い請求も借金の整理だからね!それはつまり債務整理!ってことは過払い請求であれば車は影響ないね!
ぴよぴよ(たしかに)!
任意整理と特定調停
そして次に、任意整理と特定調停です。任意整理は、整理する債権者を選べるのが特徴です。複数借りている業者の中で、一番金利が高い会社だけを整理したい場合、任意整理をすればその問題が解決します。従って、下記の記事に書いた様に、
自動車や住宅を残しておきたい場合は、その有担保ローンは整理の対象外にすれば、その担保物件を保有することができます。もし、自動車ローンや住宅ローンを整理対象に選んでしまった場合は、ローン会社はこれらの担保物件を『担保権』によって引き揚げ、売却してお金に変え、返済金に充ててしまいます。
また特定調停は、『裁判所通した任意整理』ですから、任意整理と考え方は同じです。従って、任意整理と特定調停は、整理する対象から自動車ローンを外せば、自動車をそのまま保有することができるということですね。
対象から外さないと引き揚げられるんだね!空いてもそれを担保にお金を貸したんだから、それは当然だけどね!自分が逆の立場だったら、担保があったら安心でしょ!
ぴよぴよ(たしかに)!
個人再生
次に個人再生です。個人再生の場合は、
- 小規模個人再生
- 給与所得者等再生手続き
の2つがあります。
このうち、まず『自動車ローンがあった場合』で考えると、そのどちらの手続きであっても、車を保有することはできません。
それぞれの詳細は下記の記事に書きました。
基本的に個人再生は、住宅以外のローンを全て整理の対象にする必要があります。住宅だけは、住宅ローン特則によって免除されますが、自動車ローンを含めた一切の債務は全て整理する必要があります。
ですから、自動車ローンが残っている場合は、自動車はローン会社に引き揚げられ、売却されて返済金に充てられてしまいます。
自動車ローンがあるかないかによって答えが変わるということだね!
ぴよ(ふむ)!
自動車ローンがない場合
では今度は、『自動車ローンがない場合』のケースで考えてみましょう。この場合、ローンが支払終わっている、あるいは一括で購入した等の理由で、自動車がすでに自分の名義となり、手元にあった場合、その車の所有権は完全にその人にあります。ですから、債務整理をしても誰かにそれが引き揚げられるということはありません。誰の担保でもないですからね。
しかし、個人再生でその車を保持しようとすると、『その車を売った時のお金と同等の額』を支払う必要があります。それを『清算価値保障の原則』と言います。個人再生は、『最低でも自己破産をする場合よりも多くの金額を債権者に支払わなければならない』というルールがあるんですね。
もし、個人再生で500万円の借金が減額され、100万円になっても、車が100万円で売れる場合は、100万円多めに支払わなければなりません。200万円ですね。自己破産をすれば車も全て売るわけで、そうすると財産を全て売ったお金が、債権者に支払われるわけです。
全て売って、例えば400万円になるなら、個人再生をしたときは、『400万円以上』の支払いをする必要があります。それをしてはじめて、財産を家に残しておくことができるんですね。自己破産の場合は有無を言わさず、換価20万円以上のものは全て処分することになりますから、残しておける選択肢があるだけ、個人再生は恵まれていると考えることもできます。
しかも、今は『小規模個人再生』の場合です。『給与所得者等再生手続き』の場合は、そこに更に、『可処分所得の2年分』が加わりますから、支払う金額は更に大きくなる可能性があります。ただ、お金を払えば車を残しておけるということは確かですね。
自動車ローンがない場合は、その車は誰の担保でもなく、債務者の財産だから、個人再生では保持できるよ!でも、清算価値保障の原則があるから注意だね!
ぴよぴよ(うーむ)!
『別除権協定』と『担保権消滅』
ただ、個人再生では『別除権協定』、あるいは『担保権消滅』というやり方が通用します。例えば債権者が、
僕は所有権留保を持っていますので、支払いが滞った場合は別除権によってその自動車をいつでも売ってお金に換え、返済に充てる権利を持っている。
という主張をすることは当然です。しかしそれに対し、
申し訳ないが、別除権を行使しないでほしい!その代わりに自動車の時価相当額の金額を分割で支払うから!
とお願いするのです。つまり、別除権を行使できる権利者に対し、『その権利を使わないでくれ』と主張するんですね。それが承諾されれば、別除権協定は締結されることになります。詳細は下記の記事に書きました。
また、別除権協定で折り合いがつかなければ、『担保権消滅請求手続き』をして、裁判所に自動車の時価相当額の金額を支払えば、別除権を強制的に消滅させることができます。つまり、車を保有できるということですね。
まずは別除権協定、それがだめなら、お金を払って担保権消滅。結局そのお金は債権者に流れるから、債権者は損することがないよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
自己破産
最後に自己破産です。これは今も言った様に、車を残しておける可能性は低くなります。自己破産は、『ほとんどの財産を処分する代わりに、借金を全て帳消しにできる』という債務整理ですから、逆に言うと、借金が100億円あっても全て帳消しになるので、それだけの金額で悩んでいる人には、車の保有なんてどうでもいいかもしれませんね。
実際に個人が100億円の借金を背負うことはほぼありませんが、1億、10億ならありますからね。そこまでの借金を負っている人にとっては、車を所有できるかどうかよりも、その借金がチャラになるかどうかが一番のポイントですね。
ただ、自己破産は、
- 換価20万円以下のもの
- 99万円以下の現金
- 生活に必要最低限の家財道具
という『自由財産』以外は全て処分の対象です。
ですから、もし車が換価20万円以下であれば、所有することができるということですね。
また、上記記事にも書きましたが、結婚している場合は、その妻や夫が車を所有している場合があります。その場合は、破産した本人が持っている車には該当しない為、処分する必要はありません。
しかし、だからといってそれを援用(えんよう。つまり、その事実を自分の都合のいいように解釈し、悪用する)し、自己破産をする前にわざと自分の車の名義を他の家族の名義に変更するようなことをすると、これは資産隠しです。資産隠しをすると免責不許可になる可能性も飛躍します。それが悪質である場合は詐欺破産として、詐欺罪となることもあることを覚悟しましょう。
それは、個人再生においても同じことです。個人再生の場合は『詐欺再生罪』となります。
自己破産をするとほとんど財産はなくなるからね!ただ、車が廃車同然だというケースもあるからね!ケースバイケースさ!
ぴよぴよ(うーむ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!