利息制限法と出資法の金利の違いってなに?違反すると行政処分を受けるの?
出資法と利息制限法の違いは、立場的なものです。
- 出資法:貸主の立場から見た考え方
- 利息制限法:借主の立場から見た考え方
利息制限法で定めて上限利息を超えた契約は無効になるだけではなく、貸金業の登録取り消しや業務停止などの行政処分の対象になります。
出資法と利息制限法と、法律が二つあることでグレーゾーン金利というものが生まれてしまっていたね!法律は不完全だからねえ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
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出資法と利息制限法の違いは立場的なもの
出資法と利息制限法の違いは、立場的なものです。
- 出資法:貸主の立場から見た考え方
- 利息制限法:借主の立場から見た考え方
つまり、出資法では貸す側に、
これ以上の金利を取ったら違反だよ。
として規制し、利息制限法では借りる側に、
これ以上の金利は取られないから大丈夫だよ。
として、ルールを作っているということですね。
法律を作るとき、様々な立場から一つ一つ作っていくから、矛盾点が生まれることがあるよ!
ぴよぴよ(なるへそ)!
グレーゾーン金利の実態
しかし、その出資法と利息制限法には金利の違いがあったんです。これはもう単純に、ミスですね。ミスだったからこそ、2010年にそれが改正されました。
利息制限法の上限
元本額が10万円未満の借金 | 元本額が100万円未満の借金 | 元本額が100万円以上の借金 |
---|---|---|
年20%まで | 年18%まで | 年15%まで |
上の図のように、利息制限法では20%が上限金利だったのですが、出資法では29.2%まで金利を取っていいことになっていたので、
一体このグレーゾーンはなんなんだ?
ということで、それぞれがそのグレーゾーンを独自解釈し、大抵は自分にとって都合のいいように曲解し、グレーゾーン金利を取っていたということになります。そして、そのグレーゾーン金利は下記の記事にも書いた様に、
2006年に最高裁判所において、『グレーゾーン金利』による過払いの返金を求める判決が出て以来、過払い金としてそれを返金しなくてはならないことになりました。当時、それがまかり通っていた理由に『みなし弁済』というものがありますが、それについては下記の記事に書きました。
また、過払い金については下記の記事に書きました。
2007年に発行された『合法的に借金をゼロにする方法―1人でできた! 誰にも迷惑をかけない「借金整理」と知って得する「過払い金請求」』にはこうあります。
大手消費者金融もグレーゾーンで営業中!
消費者金融が設定している利息はグレーゾーン金利と呼ばれているものです。消費者金融からお金を借りる場合、必ずこのグレーゾーンという問題につきあたります。グレーゾーンを簡単にもう一度説明します。
まず『利息制限法』というものが存在します。これは例えば、貸付額が10万円をこえて100万円以下の場合、利息を18%以上にしてはいけないという利息の制限です。この利息制限法を超えた利息の約束、支払い請求を行うと、民事では違法となります。
世の中に利息制限法しかなければ何も問題ないのですが、利息にかかわる法律として『出資法』が存在するのです。出資法で定められている刑罰金利というのが29.2%とされています。この『利息制限法』と『出資法』の二つの利息制限のギャップを『グレーゾーン』と呼ぶのです。
つまり利息制限法で違法となったとしても、民事上の法律違反でしかないので怖くないのです。出資法で定める29.2%を超えなければ刑罰の対象にはならないため、大手の消費者金融のほとんどがこのグレーゾーンで営業しているのが現実です。
このように、当時はこれが当たり前だったんですね。しかしこれが2006年のその判決以来、グレーゾーンが撤廃され、金利の上限はすべて利息制限法で統一されました。つまり、下記のようになったということですね。
利息制限法の上限
元本額が10万円未満の借金 | 元本額が100万円未満の借金 | 元本額が100万円以上の借金 |
---|---|---|
年20%まで | 年18%まで | 年15%まで |
それを超えて得た金利は全て債務者に返金することを余儀なくされました。
2018年現在、もう昔の話として書かなければならないけど、『そういう時代があった』ということなんだね!その時代は当たり前だったんだ!
ぴよぴよ(大手もっすか)!
債務者=助かった。弁護士=儲かった。債権者=うんざり。
『クレジット/ローン業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』にはこうあります。
貸金業者にとっていちばん重要な法律はこれまで、貸出上限金利を規定する出資法と過度な営業行為を規制する貸金業規制法でした。しかし近年、出資法と利息制限法との金利差(グレーゾーン金利)で生じた返済金に対する『過払い金請求』が相次ぎ、貸金業者の経営を圧迫していました。
そして過払い金ビジネスが勢いをあげたんですね。つまりこの過払い金請求というビジネスを通してのそれぞれの感想は、
- 債務者=助かった
- 弁護士=儲かった
- 債権者=うんざり
ということになります。
弁護士=儲かっただからね!やっぱり拝金的な弁護士が出てきてしまって、膨張路線を突っ走った事務所もあるよ!当然、破裂したけどね!膨張は破裂するのが相場だから!
ぴよぴよ(うーむ)!
違反者の行政処分とは
出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)第5条にはこうあります。
(高金利の処罰)
金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
2 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
3 前二項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたときは、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
つまりこういうことですね。
金利年20%超の違反
- 5年以下の懲役・1,000万円以下の罰金・または併科
高金利年109.5%超の違反
- 10年以下の懲役・3,000万円以下の罰金・または併科
利息制限法で定めて上限利息を超えた契約は無効になるだけではなく、貸金業の登録取り消しや業務停止などの行政処分の対象になります。
違反したときの行政処分は重いよ!懲役や罰金だけでも重いのにね!法律にはいくら大手企業だからといって、歯向かうことはできないのさ!
ぴよぴよ(うーむ)!
利息制限法による遅延損害金の制限
また、債務者がお金を支払えないと損害賠償金が発生するわけですが、その損害賠償金の上限も法律で定められています。
利息制限法第4条にはこうあります
(賠償額の予定の制限)
金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第1条に規定する率の一・四六倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
1.46倍ですね。つまり、下記の利息制限法の1.46倍ですから、
利息制限法の上限
元本額が10万円未満の借金 | 元本額が100万円未満の借金 | 元本額が100万円以上の借金 |
---|---|---|
年20%まで | 年18%まで | 年15%まで |
計算
20%×1.46=29.2%
18%×1.46=26.18%
15%×1.46=21.9%
ということになります。この『29.2%』という数字は見覚えがありますね。この遅延損害金の上限の最大利率は、出資法の最大利率の29.2%と同じです。
従って、当時は過払い金の返金を求められたとき、一部の債権者は『実際には出資法の最大利率29.2%』を取っていたにも関わらず、過払い金の返金をしたくないという理由で嘘をつき、
これは損害遅延金だ。
という主張をすることもありました。
しかし、それは債権者が一方的にそう主張しても、債務者が理解していなければ通用する話ではなく、実際には債務者はそのお金が『損害遅延金』だと認識しているわけもなかったので、その主張は通りませんでした。
また、現在では法律が改正されて、貸金業者が請求できる遅延損害金の上限金利は20%までと決められています。
利息制限法第7条にはこうあります。
(賠償額の予定の特則)
第四条第一項の規定にかかわらず、営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
また、これは当事者間で『1.46倍の損害賠償金を支払う』という約束があった場合のケースですが、もしそういう約束がなかった場合はどうなるかというと、法律で定められた年率の賠償金を支払うことになります。
『金銭貸借の知識とQ&A』にはこうあります。
損害遅延金とは
利息は、特別な約束が無い限り、発生しないということはすでに述べたとおりです。これに対し、遅延損害金は違います。遅延損害金とは、返済期限を過ぎたことによって当然に生じる損害の賠償金であり、特段の定めがなくとも発生します。
遅延損害金はは、民法が適用される個人間の場合は年率5%で、商法が適用される商人間の場合は年率6%となります。
- 商人同士ではない=民法により5%
- 商人同士=商法により6%
ということですね。
数字のマジックを使ったかいくぐりだね!ちょうど29.2%になるから、過払い金ではなくて損害遅延金だと主張するっていうのは!その頭をもっといいことに使った方がいいね!
ぴよぴよ(うーむ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!