みなし弁済ってなに?総量規制ってなに?
みなし弁済とは簡単に言うと、『債務者の意思で支払っていたのなら、高い金利でもそれは違法ではないとみなす』という意味です。これは2010年の貸金業法改正で廃止されました。
総量規制とは、『年収の3分の1までしか借りられない』規制のことです。同じくこれは、2010年の貸金業法改正で制定されました。
みなし弁済がなくなり、総量規制ができたんだ!これによって、様々な金融トラブルが減ったから効果はあったんだよ!詳しく解説するね!
ぴよぴよ(親分に任せれば大丈夫っす)!
Contents
みなし弁済とは
みなし弁済とは簡単に言うと、『債務者の意思で支払っていたのなら、高い金利でもそれは違法ではないとみなす』という意味です。普通は違法ですが、債務者自身が
好きで払っているんです。
と言った場合、
じゃあそれは合法だとみなそう。
ということになるわけですね。というか『なっていた』と言った方が正しいですね。今はもうそうではありません。みなし弁済規定は、2010年の貸金業法改正で廃止されました。現在では、利息制限法の上限金利を超える貸付はできません。
みなし弁済が存在することによって、法の網をかいくぐる事例が多々あったので、これをまず廃止することにしたんだね1
ぴよ(ふむ)!
グレーゾーン金利の実態
上記の記事でも書いた様に、債務者は、それまでグレーゾーン金利と呼ばれている、高金利を支払うことを余儀なくされていました。グレーゾーン金利というのは例えば、
- 18%~29.2%
の間の金利のことです。つまり、『利息制限法』では年利18%までの金利を取っていいことになっていたのですが、『出資法』で年利29.2%まで許されていた。その間に、『グレーな金利があるじゃないか』ということで、大手金融会社もこぞってこのグレーゾーン金利を客から絞り取っていたんですね。
- 利息制限法:20%
- 出資法:29.2%
つまり、冒頭に『高い金利』という言葉が出てきましたが、これは例えば、この出資法の最大利息である29.2%がこれに該当するわけです。
29.2%の利息を支払うよう債権者から命じられたとき、債務者が、
いいですよ。
と言ってそれを支払ったのなら、それは合法である。という解釈があったということですね。当時横行していたグレーゾーンの支払いというのは、この『みなし弁済』という法律を盾にしながら行われていたということなんです。
この『いいですよ』という債務者の同意は、必ずしも口頭で、自らの口でそう言っているわけではなく、『知らぬ間に』、何らかの同意書で、っていうこともあるからね!
ぴよぴよ(うーむ)!
みなし弁済規定が適用される条件
そのみなし弁済にも適用される条件がありました。
債務者が利息として支払う・任意で支払った
まず、債務者が利息としてそれを支払っていて、さらに、出資法と利息制限法の上限金利の違いを理解していて、任意でそれを支払っていることが条件でした。
まあ、18%と29.2%なら、18%の方が安いけど、29.2%で請求されている以上、その金額を払うしかないか…
という風に、債務者がそれを認識して、その上で任意で支払う状況がなければいけなかったんですね。そう考えると、そんな理不尽な請求を冷静な人が許諾するはずがないですから、強引に言いくるめられていたというのが現実でしょうね。
債権者は貸金業登録されている貸金業者である
それから、債権者が正規の業者であるかどうかも条件です。闇金融であればそもそも問題がいですからね。基本的に、闇金融というのは貸金業登録されていない業者のことを言います。闇金融については下記の記事に書きました。
また、下記の記事に書いた様に、
2010年のグレーゾーン金利の判決が下る6年前の2004年1月には『ヤミ金融対策法』として、『貸金業規制法及び出資法の一部改正法』が施工されたので、暴力団関係者や一定の資産が無い者の貸金業登録の拒否も可能になり、闇金融業者は肩身が狭い思いを強いられています。
貸付の際に貸金業規制法17条の要件を満たす書面を債務者に交付した
これは簡単に言うと、契約書があるかどうかですね。ちゃんとした契約書を交わしていればいい、ということです。
貸金業規制法17条にはこうあります。
貸金業者は、貸付けに係る契約(極度方式基本契約を除く。第四項において同じ。)を締結したときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項についてその契約の内容を明らかにする書面をその相手方に交付しなければならない。
- 一 貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所
- 二 契約年月日
- 三 貸付けの金額
- 四 貸付けの利率
- 五 返済の方式
- 六 返済期間及び返済回数
- 七 賠償額の予定(違約金を含む。以下同じ。)に関する定めがあるときは、その内容
- 八 日賦貸金業者である場合にあつては、第十四条第五号に掲げる事項
- 九 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
その他詳細もリンク先の記事にあります。
返済時に貸金業規制法18条の要件を満たす書面を債務者へ交付した
これも簡単に言うと、領収書ですね。ちゃんとした領収書があるかどうかということです。
貸金業規制法18条にはこうあります。
貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けたときは、その都度、直ちに、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を当該弁済をした者に交付しなければならない。
- 一 貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所
- 二 契約年月日
- 三 貸付けの金額(保証契約にあつては、保証に係る貸付けの金額。次条及び第二十一条第二項第四号において同じ。)
- 四 受領金額及びその利息、賠償額の予定に基づく賠償金又は元本への充当額
- 五 受領年月日
- 六 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
これらの条件を満たしているのであれば、それは『みなし弁済』に該当すると判断されていました。
債務者が利息として支払う・任意で支払ったっていうけど、『任意』って結構形だけだからね!警察の取り調べも任意だけど、断ると『え?調べられてまずいものでもあるの?』と言って無理やり調べるからね!
ぴよぴよ(うーむ)!
改正貸金業法で総量規制が導入
しかし、みなし弁済規定は、2010年の貸金業法改正で廃止されたので、現在では、利息制限法の上限金利を超える貸付はできません。また、下記の記事に書いた様に、
2010年の改正貸金業法では、その他にも『総量規制』という規制ができ、債務者は年収の3分の1までしか借りられなくなりました。第三者目線で客観視するならば、時間をかけて、少しずつ矛盾点を改善し、より洗練された法律に最適化されていることがわかりますね。自己破産者の数もピークから比べると3分の1以下になっています。
そしてこの後、過払い金の返金請求が活発に行われるようになります。
2007年6月に発行された本、『合法的に借金をゼロにする方法―1人でできた! 誰にも迷惑をかけない「借金整理」と知って得する「過払い金請求」』にはこうあります。
ただし、グレーゾーン部分は、借りた人が任意で利息制限法を超える利息と知りつつ支払った場合には、業者側でも一定の条件の下で一切変換しなくてもよいことになっていますので注意が必要です。これがいわゆる『みなし弁済』です。
みなし弁済…利息制限法の上限を超えて支払った利息について、それが債務者の自由意思で支払ったと認められるとき、一定の要件を兼備した場合には出資法の上限金利(29・2%)までは合法と認められるという例外規定。
この『みなし弁済』の規定により、現実に貸金業者側の言い分が通り、債務者側が負ける裁判もたまにあります。一部の借金整理本では、この『みなし弁済』について無視ないし軽視するような意見が書かれていますが、貸金業者の中にはこの規定をよく研究していて『うちは連戦連勝ですから、裁判所で会いましょう』と言ってくる業者もあります。
これが2007年の現状でした。そして3年後の2010年の貸金業法は改正され、このみなし弁済は認められなくなったということなんですね。
総量規制ができたおかげで、まずは多重債務者を減らすことができたよ!でもその網をかいくぐって銀行系が融資したりと、また問題はあるけどね!
ぴよぴよ(うーむ)!
どーもっ!ものしりニワトリです!この記事に書かれた情報を、補足したり解説するナビゲーターだよ!